第192話 ナセルリナの想い その2
やっぱりヒダリさまとお話するのはすごく楽しい。
どんなに拙い言葉だったとしても、バカにしたり、途中で話を遮ったりせずにしっかり話を聞いてくれる。
「私としては、二つ目の案がとても素晴らしいと思うのですが」
「ヒダリさまもそう思いますか!」
よかった。
ヒダリさまも二階建ての案を気に入ってくれたみたい。
好きな人と考えが一致するって凄く嬉しい!
え?
好きなヒト??
私、ヒダリさまのことが……好き?
「技術面や設備面で心配なところは、遠慮なく言って下さい。その代わり妥協は無しです。ナセルリナさんの作りたいもの、やりたいことを、余すところなく教えて下さい」
ああ、うん、そうだね。
いつも楽しいけど、ヒダリさまの側が一番たのしいもんね。
私、ヒダリさまのことが好きなんだ。
……。
い、意識したら急に緊張してきた。
「ナセルリナさん?」
えっと、なんだっけ。
そう、お店の配置の話だよね。
と、兎に角返事をしないと。
「は、はい! よろしくお願いします!」
「ここまでくると、後は本格的な技術関連の話も交えてになりますので、これ以上は博士達がいる時にしましょうか」
やっぱりヒダリさまとのお話は楽しい。
あっという間に時間が過ぎちゃう。
それにお話してると、自分の考えが上手くまとまっていく感じがするんだよね。
でももう少しお話もしていたいな。
「それでは失礼しますね」
「あ」
しまった!
つい声に!
「どうかしましたか?」
どうしよう。
えっと、なにか言わなきゃ。
何て言えばいいんだろ?
「い、いえ、えっと、なんだろ」
「?」
ああぁぁぁ。
何て言えばいいのかわからないよ!
えっと、えっと、えっと。
「ナセルリナさん、落ち着いて下さい」
そうだね。
まずは落ち着かないと!
……落ち着いたところでどうすればいいの!?
「ナセルリナさん、もしまだお時間があるのであれば、もう少しお話しませんか?」
え!
ほんと!
「ひゃい、喜んで」
ひゃいって。
折角誘ってもらったのに、ひゃいって。
「ありがとうごさいます、では少し歩きながらお話しましょうか」
あれ、気付かれてない?
「ナセルリナさん?」
「よらこんで!」
まただぁー。
よらこんでって……。
あ、ヒダリさま笑ってる。
このちょっと子どもっぽい笑いかた、なんかいいなぁ。
「も、申し訳ありません。お気を悪くしないで下さい」
「大丈夫です。私の方こそ見苦しところを」
「いえ、特に見苦しくはなかったですよ。むしろナセルリナさんが可愛らしくて」
か、かわいい!?
可愛いって言ってくれた!
まずい!
嬉しくて顔が……。
「では、行きましょうか?」
「……はい」
なんだが凄く幸せな気がするよ。
奥様達も、みんなこんな気持ちでいるのかな?
毎日がこんな気持ちになのかな?
ヒダリさまが許してくれるなら、奥様達が許してくれるなら、私ももっとずっと一緒にいたいかも。
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