第193話

 新しい発明品のお披露目ねぇ。

 作ってるのがあの面子だがらな。

 それだけで不安が5割り増しだ。


 農場の方に来いってことだったが。

 農場も一面土だけだったのが、色々植えられて本格的な農場らしくなってきたねぇ。

 そして多分あの農場に似つかわしくないやつが、今回お披露目されるやつなんだろうなぁ。


「セブーン、こっちデス」


 ルルだけ見てれば、嬉しそうに手を降る美女なんだけどな。

 後ろの四人と、その後ろの二匹、さらにその後ろの三機のお陰で、なんとも言えない絵面だよ。


「ルル、見せたいものってのはコイツらか?」


「ハイ、これこそ汎用魔動機兵G02タイプ農作業デス」


 02て01もまだいないのに、なんで02なんだよ。

 魔動機兵に鍬って……。

 タイプ農作業とか、汎用にもほどがあるだろ。


「どうですか、私達の作ったG02は」


 嬉しそうだな教授。


「あ、ああ。なんというか凄いものを作ったな教授」


「凄いのはこれからさ。よく見ていてくれ」


 たしかに、見れば見るほどすごいよ博士。

 なんせ鍬もった魔動機兵だからな。


「村長あいつはすげえぜ」


 チョコ太さんの三毛猫耳と尻尾の破壊力も十分凄いですよ。

 一度見たら、絶対忘れられません。


「セブン! G02の勇姿を見てクダサイ!」


 ……。

 うん、まあ、あれだ。

 人型のトラクターとかコンバインみたいなものか?


「そう言えば、あれは誰が動かしてるんだ?」


「巴とケイトとパポールでス」


「三人とも魔動機兵を動かしたことがあったか?」


「イイエ、今日が初めてデス」


「初めてで、あれだけ自由に動かせるのか!」


 性能云々はよくわからん。

 だがコックピット周りのシステムについては……。

 多分だが……とんでもねえぞ、これ。


「村長さん。私達の凄さが、わかったようだね」


 ああ、博士。

 あんた達は凄いよ。

 セフィやナディの話だと、普通に魔動機兵を動かそうと思ったら歩くのに一月、まともに動くのに半年はかかるって話だからな。


「もちろん外敵対策も、しっかりと施してありますよ」


「外敵対策ですか」


 教授の自信ありげな笑顔。

 嫌な予感しかしないんだが。


「はい。ある程度の外敵に対して、防衛できる程度の戦力を持たせました」


「ちなみにどの程度の戦力なのでしょうか?」


「飛竜程度ならば、一機で複数の相手ができますね」


 ……。


「下級の竜であれば、一対一でもいい勝負ができるのではないでしょうか?」


 いや、これ。


「流石にアスクリス様やジスジャージル様が相手ですと、一対一では厳しいですね。ですが五機もあれば、中々良い勝負ができると思いますよ」


 完全に不味いやつだろ。

 誰でも簡単に操作できて、竜を一対一で対処できるとか。


「大丈夫なのか?」


「特に制御不能になるとか、暴走を引き起こすといった不具合はありませんよ」


 いや、そっちの心配じゃなくてだな。


「こいつが、他の国の手に渡ったりした場合の話だ」


「それなら問題ないですよ。この機体は登録された操縦者にしか動かせませんし、108号を介した強制帰還命令でどこにいても、格納庫に強制帰還させられますしね」


 強制帰還か。

 これまた凄い機能がついてるな。


「強制帰還の機能については、セブンの好みかと思いマシテ」


 うん、まあ、な。

 世界中の人間とは流石に言わないが、自分の身内くらいは、長生きしてほしいからな。


「ありがとうな、ルル。博士達も」


 新戦力、ゲット!?

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