第179話

 何故か一晩かけた激戦だった。

 ルルのお風呂講義だったはすが、いつの間にか裸体の妻たちに囲まれてたからな。

 ザーバレナさんもいつの間にか消えてたし。


「おはようございます、左様」


「おはようございます、ヒダリ様」


 スキンヘッドの厳ついウサミミ。

 渋いロマンスグレーに立派なトサカ。

 キュートな尻尾と豪華な尾羽付き。

 一気に肌色の思考が吹っ飛ぶな。


「絵面が凄いな」


 そして、どんどん慣れていく自分が怖い。


「どうかされましたか? 左様」


「いや、なんでもない」


「朝食はこちらで召し上がりますか?」


 そうだな、どうせみんな夢の中だしな。


「お願いします、ゼラマセンさん」


「それではお持ちしますね」


 うーん。

 一部を除けば爽やかな朝なんだが。

 一部のお陰で賑やかな朝だな。


「ピョン次郎さん、何か変わったことは?」


「特に今のところは」


 天下泰平、事もなしか。


「ヒダリ様、お客様です」


「通してくれ」


「わかりました」


 事もありだったか?


「ノーナ女王をお連れしました」


 ノーナさん?


「陛下、失礼します」


「こんなに朝早く、どうしました?」


 ピョン次郎さんとゼラマセンさん、俺の両隣に立つのね。

 これ側近に守られた領主というより、色物のパレードの一団て感じだな。


「陛下?」


「っと申し訳ない。それでどうされましたか?」


「陛下はノーゼノン帝国という名を覚えていらっしゃいますか?」


 なんだったかな。

 たしか……。


「ガウンティ王国に従属を迫ってる国、でよかったでしょうか?」


「そうです、その国です」


「そのノーゼノン帝国がどうかしたのでしょうか?」


「武力を背景に従属を迫ってきました」


 なかなか天下泰平とはいかないってとこか。


「それで今はどのような状況ですか?」


「砦が一つ消し飛びました」


 ?

 消し飛んだ?


「落とされたではなく?」


「言葉通り消し飛びました」


 砦一つが消し飛ぶか。

 戦略兵器?


「幸い人的被害は無かったのですが」


 は?

 砦が消し飛んで人的被害が無い?


「砦の指揮官が機転の利く者でして。相手を上手く言いくるめて、撤退の時間を稼ぎました」


 引き時を心得てるってことなのかね?

 それにしても人的被害無しは凄いな。


「他に被害は?」


「他には特にありません」


「その砦から王都までの道中に、他に砦などは?」


「ありません。王都自体が帰らずの森から侵入する魔獣への最終防壁なのです。その為防壁の後ろ側である国境方面への守りはあまり意識されていません」


 あの街まで壁だったわけか。

 その壁を取りに来るってのはどういうことだ?

 自分達で壁の運営がしたくなったか?


 違うだろうなぁ。


 となると王国の技術狙いか?

 でもほとんどが未完成のトラブルだらけだしな。

 国ごと取りに来るってのもなぁ。

 それなら技術者関係を引き抜いた方が早いだろうし。


 となると森か?

 強力な魔獣が多いらしいし、地下資源なんかもあるかもだしな。

 強力な武器を手にいれたから、手付かずの資源の宝庫を取りに来たってとこかね?


「それでノーゼノン帝国はなんと?」


「砦のようになりたくなければ、直ちに帝国に降れと」


「この村のことは?」


「ガウンティ王国がガンドラル村の属国だということは、以前から伝えてあります」


「その件について帝国は?」


「そもそも話を信用していないようです」


 国が村の属国とか普通は信じてもらえないだろなぁ。

 でもまあ信じる信じないは自由だしな。


「わかりました。ピョン次郎さん、ゼラマセンさん、ちょっと出てくる」


「左様、御武運を」


「いってらっしゃいませ」


 売られた喧嘩は買わないとね。

 何よりも、守りたい人やらなんやら沢山あるからな。


 やるべきことはきっちりやりますか。

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