第172話

 とりあえずギルド関係は順調かな?

 エチゴラさんも手伝ってくれることになったしな。


「人手が足りない?」


「そうだ、我が夫よ。治療院の担い手が足りないのだ」


「キョウじゃ駄目なのか?」


 キョウの薬草は書庫やらルドやら博士達やらのお陰で、かなりのレベルにあると思うんだが。


「私は薬草関連が中心なので、魔法による診察ができる人が必要なんです」


「薬草だけじゃまずいのか?」


「そうですね、全くできないことはないのですが。治療系の診察ができる人は目星がついているのですが、回復系の診察が一人ほしいところですね」


「治療系は光属性か。光属性? 誰かいたか?」


「ニノンさんとナノンさん、それに博士ですね」


 ニノンさんとナノンさんは問題無さそうだが、博士か……。

 見た目だけなら博士が一番女医っぽいんだが、中身がなぁ。


「キョウ、その面子で大丈夫なのか?」


「ニノンさんとナノンさんは、元々治療系魔法の使い手なので問題ないと思います」


「その二人はあまり心配していないんだが……博士はどうなんだ?」


「実は博士が一番の治療魔法の使い手なんです」


 ?


「博士の治療魔法は独自といいますか。そうですね、ルドさんや佐七さんに近い感じなんです」


 そういや、博士は爺さん達が暴れていた時代の人間。

 魔方じゃなくて魔法が使えるのか。

 なら適材適所で問題ないのかね?


「それで三人とも引き受けてくれそうなのか?」


「はい、皆さん喜んで引き受けてくれました」


「博士もか?」


「はい」


 以外だな。

 開発関連に支障をきたすとか言い出しそうなのにな。


「何でも治療関係の魔方具の検証に丁度良いそうです」


「大丈夫なのか?」


「過去には治療のお仕事もしていたそうなので、問題ないそうです」


 爺さん達との戦闘かね?

 なら戦場での治療経験もありなのかもな。

 そう考えれば頼もしいかぎり……なのか?


「それで回復系診察の件だが。回復系は闇属性だろ? この村に沢山いなかったか?」


「それがだな我を含めて、みな自己修復系の回復魔法しか使えないのだ」


 それじゃ駄目なのか?


「つまりだな、自分のみに影響のある回復魔法しか使えないのだ」


 なるほどな。

 その辺の魔方が強力なのがナディやカシュタンテか。

 狂戦士を支える一端なのかもね。


「キョウ、巴、ルルは?」


「私は少しだけ。巴とルルは無理ですね。子ども用と大人用で分けると考えるとかなり厳しい状況ですね」


 となるとどうするか。

 村の住人にあたってみるか?

 それともまた協会に依頼してみるか?


主殿ぬしどの、お困りのようじゃな!」


 パーカーのポケット?

 なんか出てきたぞ、おい。


「やっと出られたのじゃ。逢いたかったのじゃ、主殿ぬしどの!」


 ……誰だよ!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る