第164話 ザーバレナの混乱
「ゼラマセン、レザラオル、ウロフロス、アシアウェス、片付ける!」
?
なんだ、パンナート。
何かあったのか?
「は!」
……。
なにも起こらない。
「パンナート、ゼラマセン、急にどうしたんだ?」
「えっと……」
「……」
この二人が揃って要領を得ないとは。
何がどうなっているんだ?
「ザーバレナ、外を見てごらん」
?
外がどうしたというのだ?
「!?」
隣の家がない、それどころか景色そのものが違う
「申し訳ありません。揉め事になりそうだったので、少々乱暴な手を使わせていただきました」
どういうことだ?
「皆様が滞在していた家ごと私の領地に、ご招待させていただきました」
家ごと招待しただと?
この男は何を言っている?
「ヒダリ様、これがあなたのお力の一端ですか」
「そう思っていただいてよろしいかと」
この男の力?
一体何の話をしているんだ?
「ザーバレナさんが混乱しているようなのですが」
「どうやらそのようですね。これは見てもらった方が早そうですね」
見る?
一体何を見るというのだ?
「ザーバレナ一緒に外に出ようか」
さっぱりわからん。
だがパンナートが一緒ならば問題ないだろう。
……。
「なんだこれは!?」
「落ち着いて、ザーバレナ」
「ここはどこだ? 私は一体何処にいんるんだ?」
湖に畑?
意味がわからん。
協会本部は何処に行ったんだ?
「いいから落ち着いて、ザーバレナ」
「落ち着けといわれてもな、パンナート」
「大丈夫心配ないよ。さっきヒダリ様が言っていたでしょ、家ごとヒダリ様の領地に招待したって」
いや、確かにそう言いはしたが。
だか、こんなことが本当にあるなんて。
「ザーバレナ、どれだけ悩んでも無駄かな。文字通りに受け止めるしかないんだよ」
そんなことを言われても。
というか今のはどうやったんだ?
魔方具を使った様子もないし。
「だから色々考えても無駄だよ。ヒダリ様は僕らの想像の及ばない範囲の人だよ」
「パンナート、この状況が不思議ではないのか?」
「僕? 僕だって信じられないさ。でも実際に僕たちがいる場所は変わってる訳だし」
「それでもだ」
「協会本部のあの惨状を一人で引き起こした人でしょ? ならこれぐらいはやれるのかなと妙に納得しちゃってさ」
そうなのか?
いや、だがしかし。
「皆さん、そろそろ落ち着きましたでしょうか?」
落ち着く訳などないだろう!
「かなり驚きましたが、どうにか……」
は?
ゼラマセン?
「ほら、ザーバレナも、そろそろ落ち着いて」
そろそろもなにもない。
訳のわからん理屈で落ち着けるパンナートがおかしい。
「それは良かった、では面接担当の者のところへご案内させていただきます」
ちょっと待て。
私は全然落ち着けてないぞ。
「ザーバレナ行こうか」
く、パンナート。
その笑顔はずるいぞ。
なんか凄く適当に誤魔化されてるはずなのに、ついていきたくなるじゃないか。
って、パンナート?
笑顔が青くなってるぞ。
「パンナート、どうした?」
「あ、あれ……」
うしろを指差して?
今度は何事だ?
後ろに何がいるんだ?
「竜!? しかも二頭!!」
くそ、今日は一体なんなんだ、訳がんからんことだらけじゃないか!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます