第165話 ザーバレナの混乱 その2

 

 りゅ、竜だと。

 それも二頭!

 一頭だけでも国一つ簡単に消し去れる存在が二頭……。

 終わったな、こんなものどうにもならん。


 しかしあの竜達降りてこないな。

 なにか争っているのか?

 そして奴は全く動じていないな。


「あ、あのヒダリ様。竜が二頭上空で暴れているように見えるのですが」


「ん、ああ。大丈夫ですよゼラマセンさん、あれは喧嘩しているだけで、日常の一環だと思っていただければ」


 日常の一環?

 ここではあれが普通の光景なのか?


「大丈夫ですよ、ザーバレナさん。ああ見えてお互いに加減はしていますから」


 加減?

 あれが加減なのか?

 あの火球一つでどれだけの被害が出る……。

 火球が消滅した!?


「それに、あの二人ではこの村を覆っているフィールドを破壊することはできませんし」


 は?

 竜の攻撃が通用しないだと?


「あははは。ザーバレナ、どうやら僕たちは本当にとんでもないところに来てしまったみたいだね」


「パンナート、笑い事ではないぞ」


「だって竜がその辺で喧嘩してて、その竜の攻撃をあっさりと防ぐ村だよ。あり得ないでしょ、もう笑うしかないよ」


「確かにあり得ない。ですがあり得ているのですから、そう受け止めるしかないですね」


 ゼラマセンまで。


 ひっ!

 竜がこちらに!?


 ?

 姿が……。

 竜が人型になったのか!?


「皆さん、失礼します。妻達を受け止めますので」


 妻達?

 受け止める?


「兄貴〜」


「旦那様〜」


「っと」


「おかえり〜」


「おかえりなさいませ」


「ただいま」


 今妻達と言ったよな。

 竜が妻?

 どういうことだ?


「旦那様、お客様ですか?」


「ああ、今からレイラさん達の所に案内するところだ」


「そうなんですか。はじめましてアスクリス・ヒダリと申します」


 アスクリス?


「オレはジスジャージル・ヒダリ」


 ジスジャージル?


 ……。

 竜、アスクリス、ジスジャージル……。

 まさか!?


「はじめまして、僕はパンナートといいます。奥様方、初対面でこのようなことをお伺いするのは失礼かと思うのですが」


「なんでしょうか?」


「ん、なんだ?」


「狂竜と焔竜という言葉に聞き覚えはありませんか?」


「知ってるぞ。というか狂竜がクリ姉で焔竜ってのはオレのことだな」


 やはりか……。

 そういえばこの男、狂竜と焔竜が妻だといっていたな。

 まさか、いや、この男ならばあり得るのか。


「さて、そろそろみなさんをご案内させていただきますね」


 本当にとんでもないところに来てしまったようだ。

 ここまで来たら、なるようになれだな。

 とりあえずはその面接官とやらに気に入ってもらえるように、努力するとするか。

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