第158話

 俺もなれたなぁ。

 ピョン次郎さんのウサミミも。

 チョコ太さんの猫耳も。

 気にならなくなったからなぁ。


「左様」


 というかピョン次郎さん、なんでもできすぎだろ。

 秘書関係の仕事の他に屋敷の管理までしてるからな。

 だか流石にな、あれもこれも任せすぎだよな。


「左様、どうかされましたか?」


 そろそろザーバレナさんの所へ行くか。

 屋敷の中がそろそろやばい。

 ピョン次郎さんが頑張ってくれているが。

 流石に秘書業との掛け持ちじゃあ無理がある。


「いや、いつも色々と申し訳ないなと」


「左様が何を気にされているのかは存じませんが、私はここで楽しくやらせていただいていますよ」


 そうはいってもな。

 あきらかにオーバーワークだろ。


「ピョン次郎さん、派遣協会の本部に行ってくる」


「わかりました、お気をつけて」


 さて何処に飛ぼうかね?

 また門番と揉めても難だしな。

 直接ザーバレナさんと会った建物の前に飛ぶか。




 えーと、こんな建物だったか?

 形が変わってて、分かりにくいな。

 ん、こっちに来るのは守衛か?


「こちらは協会本部となりますが、なにか御用でしょうか?」


 前の門番とは違って、丁寧な感じだね。


「ザーバレナさんにお願いしていたことがあるので、お会いしたいのですが」


「失礼ですがお名前をお伺いしても?」


「サシチ・ヒダリといいます」


「な!? しょ、しょ、しょ、少々お待ち下さい!」


 そんなに慌てなくても。

 流石に、なにもされてないのに暴れたりしないから。



 お、帰って来た。


「どうぞこちらへ、ご案内させていただきます」


「ありがとうごさいます」


 天井がない、というかなんにもないな。

 外側はそれなりに屋敷ぽかったけど、中身はまだまだ壊れたままみたいだな。

 お、ここら辺からは天井も壁もある。


「統括代行、お連れしました」


 代行?


「入ってもらってください」


 男?

 ザーバレナさんじゃないのか?


「ヒダリ様、どうぞ中へお進みください」


「失礼します」


 知らないおっさんだ。

 ザーバレナさんは……いないな。

 まあ、依頼が遂行されるなら誰でもいいんだけどさ。


「はじめまして、私はタルホロ。こちらで統括代行を勤めさせていただいております」


 嫌そうな雰囲気だね。

 顔に出しすぎだろ。


「ご依頼いただいていた執事とメイドの件ですね」


 さらに嫌そうな顔になった?

 嫌なのは俺じゃないのか?


「外に待たせてありますので。おい、入れ」


「失礼します」


 おいおい、また凄いのが出てきたな、おい。

 免疫ができてきたとはいえなぁ。


 今度は鶏かぁ。

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