第149話

 お、サベローがいるな。

 ちょうどいいや、あいつも付き合わせるか。


「サベローッ」


「なんでしょうか、村長」


「エチゴラさん、ナセルリナさん、私直属の部下サベローシラです。サベローお客様に村の案内をするところなのだが、手伝ってくれ」


「かしこまりました、村長。エチゴラ様、ナセルリナ様、私はサベローシラと申します、以後お見知りおきを」


 サベローの真面目な挨拶を見ると笑いそうになる俺は、多分失礼なんだろうな。


「村長どうかしましたか?」


 うーむ、違和感が。

 まあ、なれるしかないか。


「いや、なんでもない」


「それでは村長。さしあたっては、エチゴラさんを元に戻して差し上げるのが第一かと思うのですが」


 確かにその通りだな。

 流石サベロー、生首の先輩だけはあるな。




「なかなか貴重な体験でしたよ」


 エチゴラさん、若干名残惜しそうだね。

 この人、生首状態でもあんまり違和感ないんだよな。

 サベローと同じだな。


「村長なにか?」


「いや、なんでもない」


 またそのうち生首にしてあげると喜びそうだね。

 二人並べるてあげたら仲良くなりそうだ。


「エチゴラさん、ナセルリナさんこちらへ」


「浮遊島は初めてですが、特に普通の地面と変わらないんですね」


 ナセルリナさんは初めてなのか。

 エチゴラさんはそんな感じでもないな。

 他にもこういう国や街があるってことなのかね?


「あちらに見えている湖の畔に建っている建物が、私たちの屋敷です」


「その後ろにある大きな施設は?」


 うん、まあそうだよな。

 屋敷よりデカイ建物と屋敷より広い建物だしな。

 気になるよな。


「あれは書庫と鍛治場と鍛練場ですね」


「書庫? あの大きな建物が書庫なんですか? 一体どれだけの蔵書が……。それにあれだけの大きさの鍛治場、一体なにを作っているのですか?」


 ナセルリナさん、興味津々だね。


「ヒダリ様、鍛練場の回りが座席のように見えるのですが。あちらでなにか見せ物でも?」


「今のところそういったものは行っていませんね。妻達の鍛練を見ている者が希にいるくらいですね」


 あれ、ルルあたりの入れ知恵でスタジアムとか模倣しただけだからなぁ。

 そもそも今は見せ物にするものがないしな。


「ヒダリさま、その鍛練を見せてもらうことはできますか?」


 ナセルリナさんも食いついてきたか。


「どうぞ。ただ先程の騒ぎの為、今は使用している者もいません。後程、ご案内させていただきます」


「わかりました、ありがとうございます」


 招待すると言ったが、どうすりゃいいんだろな?

 今の二人の感じだと、施設やら農地の視察みたいな感じでいいのかね?


 まあ、適当に紹介してりゃ、色々聞いてくるか。

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