第148話 サベローシラの呑み友?

 

 全部落としたか。

 相変わらずデタラメな強さだな。

 ん、誰だ?


「エチゴラさん、ナセルリナさん、お待たせいたしました」


 村長の客か?


「相手が多数の竜でも結果は変わらずですか。予想はしていましたが相変わらず桁外れですねぇ」


「お騒がせしてしまい、申し訳ありません」


 なあ、村長。

 多分それより先に謝るところがあると思うぞ。


「ヒダリ様。私の願いを聞いていただけませんでしょうか?」


 いや、村長気付こうぜ。

 なんですか?みたいな顔してる場合じゃねぇだろ?


「私の体をそろそろ元に戻していただきたいのですが……」


 いつからあの姿にされてんだ?


「流石にこの姿で人前に出るのはなかなか厳しいかと」


 だろうな、俺もなかなか大変だったからな。


「商談なら相手に強い印象を与えられそうですが」


 商談の相手が頭部のみとか怖すぎるわ。

 気が散って話に集中できないだろ。

 上の空でサインとかしそうだわ。


「たしかに、昨日の宿の主人はこの見た目のお陰で取り乱していましたね。お陰で良い部屋に、安く泊まることができました」


 このおっさんもとんでもねえな。

 転んでもただでは起きないってやつか?

 まあ、転ばせたのがうちの村長なのは問題だけどな。


「ただですね、この姿、自分で移動すると目が回るんですよ」


 あのままで移動したのかよ。

 そら転がるしかないしな、目も回るだろうさ。

 というかその姿で移動しようとするなよ、頭部だけが自力で移動してる光景とか怖すぎるだろ。


「申し訳ありません。昨日は急用ができてしまい、外に出ることもできなくなっていまして」


 昨日?

 なんかあったのか?


「奥様達から愛されていらっしゃるようで」


 なるほどねぇ。

 あの人数だからなぁ。

 一回捕まるとしばらく解放されないだろうしな。


「お恥ずかしい限りです」


 村長よく体がもつよな。

 毎回全員一緒らしいし、そのへんも規格外なのかねぇ。


「そこに私の姪も入れてもらえると嬉しいのですけれどね」


 まだ奥方様を増やすつもりなのか!?


「叔父さん!」


 ナセルリナさんだっけ?

 上背はあるが綺麗な女性だね。

 村長は別に興味なしってわけでもなさそうだな。

 というか村長分かりやすすぎるだろ。


「それでは村を案内させていただきますね」


 話の切り方が強引すぎるだろ。

 こりゃ、駄目だな。

 彼女が本気になったら、村長落ちるな。


「よろしくお願いします!」


 女に弱いってよりは惚れやすいのか?

 それに極一部の女性にはえらい好かれやすいんだよな。

 通り名に『狂』とか『凶』とか入ってる方々を筆頭に、なかなかの方々ばかりだがな。

 同じ男として全く羨ましくないのがすごいところだな。


「あの、ヒダリ様、その前に私を戻してくださいませんか?」


 うん、俺も忘れてたわ。

 頭だけなのが自然すぎるな、おっさん。

 この人とはいい酒が飲めるかもしれないな。

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