第147話 とある竜双師の困惑
島が空中に浮いてるのか。
流石にこの景色は地球ではあり得ねえな。
『神竜姫アスクリス様を誑かした下衆共に告ぐ』
お、始まったな。
『貴様らはこともあろうに、我らが姫を誑かした。その罪万死に値する!』
自分の気に入った女を手にいれたいだけのくせに、大層な言い分だな。
『アスクリス様は貴様らの下衆で下等な者共には過ぎた存在、早々にアスクリス様を解放せよ!』
微妙なセリフだな、おい。
相手を下に見たいのは構わないんだが。
なんというか、こう、頭の悪いやつみたいに聞こえるんだが。
『しかも貴様らはアスクリス様だけではあきたらす、ジスジャージル様にまで手を出した』
お、あそこにいる男が当事者か?
黒髪?
元日本人か?
『可憐なるジスジャージル様、このゾブラルシがお迎えに上がりました。もうしばらくの辛抱でございます』
連れてる女はとりあえず二人いや三人か。
なるほど、タイプは違うがどいつも泣かせがいがありそうな女だ。
『アスクリス様もジスジャージル様も貴様らのような下衆で下等なクズ共には過ぎた存在。お二人ともこのゾブラルシの側でこそ輝くのだ!』
妄想が駄々漏れだな。
『下衆で下等なクズ共よ。アスクリス様とジスジャージル様をこの手に取り戻すため、このゾブラルシの獄炎が貴様らに制裁を加える!』
初擊のインパクトは大事だからな。
増幅量を多めでぶちかます。
俺の大切なお楽しみ達、この一撃で消し飛んでくれるなよ。
『な!』
バカな。
全ての攻撃が防がれただと!?
他の雑魚どもならいざ知らず、ゾブラルシの火球は竜双で威力を引き上げてあるんだぞ!
『なかなかの障壁のようだが所詮は下等なる者共の悪足掻き! 直ちに粉砕してくれる!』
『まて、ゾブラルシ。様子がおかしい!』
『な、竜達が落とされているだと!?』
なんだありゃ。
侍?
空中を舞いながら一撃で竜達の首を斬り落としていやがる。
こっちは弓か?
眉間に一撃で次から次へと。
竜の眉間に矢をぶちこむなんざ、どんな威力の矢なんだよ!!
あっちはなんだ?
ハンマーで頭を一撃!?
馬鹿なのか!?
くそ、なんなんだ、コイツら。
?
落ちた竜が消えていく?
訳がわからん、一体何が起こっている。
『おい、ゾブラっ!?』
さっきの黒髪の男。
いつの間に目の前に!?
『何だきさばっ』
ゾブラルシが意識を失った?
『ゾブラルシ!』
一撃で殺られたのか!?
あれだけ無駄口叩いて、この体たらくかよ。
このままじゃ、こいつと一緒に海の藻屑だ。
くそったれ、こんなところで死んでたまるかよ。
ゾブラルシが生きてる間は使えなかったが同化ってやつをやるしかねえか。
元には戻れねえって話だが、死ぬよりましだろ!
ここは?
この腕、この体。
ゾブラルシの体そのものを乗っ取ったのか?
これが竜か。
さっきの火球は?
駄目だ使い方がわからん。
羽は動くが……飛べねぇな。
それにしてもここはどこだ?
逃げようにもここがどこだか見当もつかねぇ。
「む? まだ無事なやつがいたようじゃな」
「主達が仕留め損ねるとは、めずらしいですね」
爺にデカイ梟?
まあ、いい。
どうやらさっきの化け物共もいないようだし、さっさと脱出しないとな。
「む?」
『邪魔だ爺!』
二人まとめて叩き潰してやるよ。
「むかってくるか、その心意気やよし!」
「ガンドラル様。素材が重要らしいですから、きちんと形を残してくださいよ」
「心配するな、この程度では魔法も要らぬよ」
『そこをどけぇ!』
「ふん!」
『が』
この爺。
こいつも、化け物かよ。
ち、地球の、ま、まのほうが、ま、しだったかねぇ……。
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