第133話 エチゴラ衝撃の一日 その3

 

「わかりました、会頭」


「ヒダリ様、このように男装をしていて可愛げがないかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします」


「? 最初にお見かけしたときから、魅力的な女性だと思っていましたが」


「な!」


 ナセルリナ、動揺しすぎですよ。


「ほう、良くお気づきになられましたね」


「?」


「いえ、上背もありますし、あのような格好をしていますから」


「身長は性別に関係ないでしょう? 服装も細かいところに手の加えられた素敵な服装かと思いますが」


「このお屋敷に入った最初の一瞬しか見てないよね? よく気が付いたね、佐の字」


「そうか? これだけの美人なら気にもなるだろ?」


「なっ」


「先生は相変わらずですね」


「美人に美人と言っても問題ないだろ?」


「&#?%」


 ヒダリ様、その辺でご勘弁を。

 姪の顔が見たことのない色になっています。


「ナセルリナさん、後程ここにくる二人の女性と話してください。採用については基本的にその二人に一任してあります」


「わ、わかりました」


「ナセルリナさん、先生はあなたのことが気に入っているようです。もしその気があるのなら頑張ってくださいね」


 ケイト様、気に入るとはどの程度のことなのでしょうか?

 ナセルリナも第一印象はまんざらでもないようですし。

 望み薄のつもりでしたが、これはもしかするかもしれませんね。


村長、ぴゅいぴゅい、このお二人は?ぴゅいぴゅいぴゅい?


「支部長はこっちで連れていく」


ラオケ様が消えた?

私と同じ状況になったということでしょうか。


こちらのぴゅいぴゅい女性は?ぴゅいぴゅい


「そっちはレイラさんとナディにまかせる」


わかりましたぴゅいぴゅいぴゅい


「それでは行きましょうか?」


 やはり私はこのままなのですね。

 ヒダリ様が私の頭を持って移動すると。

 先ほど腹はくくりました、さあ行きましょう!




 これは。

 なんという速さ。

 飛行船よりも遥かに速い。


「海が見えて来ました。この海と山二つ、更に海と山を越えた先でいいんですよね?」


「はい」


 しかし不思議ですね。

 これだけの速さで移動しているのに、私には一切の風が来ない。

 どういうことでしょう?


「ヒダリ様。これだけの速さにも関わらず、私には風が一切来ないのですが」


「ああ、それはですね。以前に同じことをした相手が風圧で気絶を繰り返しましてね。その事でえらく怒られまして、それ以降は風避けを展開するようにしているんですよ」


 その方に感謝ですね。

 私ではこの速度で起こる風に耐えられませんからね。


「エチゴラさん、翔びます」


 翔ぶ?

 ああ、海ですものね。


「舌を噛まないように気をつけてください」


 え?

 そ、空?

 と、翔んでる。

 というかこれは空を走っている?


「どうやら、大丈夫のようですね」


「は、はい。なんとかですが」


「それでは速度を上げますよ」


「はい?」


 速度を上げる?

 今までのは全速ではなかったのですか?


「行きます」


「少々お待ち下さい」


「大丈夫ですよ」


「いえ、ヒダリ様お願いいたします。こ、こころの準備をおおおおおおおおぁぁぁぁぁ」

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