第131話 エチゴラ衝撃の一日

 

 ヒダリ様、何を見せていただけますかね。

 これ以上落胆させられたくはないのですが……。


 おや?

 手元に何か。

 ここからだと良く見えませんね。


「エチゴラさん、動くのは構いませんが屋敷からは出ないように注意してください」


 背中越しで私の動きが?

 何かのスキルでしょうか?


「まだ微調整ができないので、屋敷の外に出られた場合は命の保証ができません」


 命の保証ときましたか。

 一体なにをするつもりでしょうか?

 おや?


「くそ、守銭奴のくそオヤジ! ここまでやって、ただで済むと思うなよ!」


 どうやら協会の皆様は立ち直ったようですね。

 ただラオケ様。

 ここまでと言われましても、私は特に何もしていないのですが。


 ?

 ヒダリ様の周囲になにか……。

 複数の小さな球体?


 !!!


 や、屋敷の壁が……失くなった!?

 あれだけいた魔動機兵達はどこへ?

 い、意味がわかりません。


 本当に跡形もなく消えています。

 ほんの一瞬で全てが消滅するなど。

 これがヒダリ様のお力。


 あはははははははは。

 目が曇っていたのは私ですね。

 この方の強さは私達の常識を大きく逸脱しています。


 竜が暴れた後のほうが遥かにましでしょう。

 なんせ燃えかすや瓦礫くらいは残りますからね。


 こんなものどうしろと言うんですか。

 逆らうなんて論外ですよ。


「ひ、は、ひ!?」


「な、き、貴様なにをやった?」


 フィーラリア様とラオケ様はご無事のようですね。


「んー、まだまだ改良の余地ありか」


 改良?

 何を改良するのでしょうか?

 この世界ごと消滅させるおつもりですか。


「これが兄貴の戦い……」


「こんなものまだまだ序の口じゃぞ。竜の小娘」


 これが序の口……ですか。


「エチゴラ、お主も色々考えていたようじゃが、お主の今までの価値観で奴を見ると見誤るぞ」


 クリオネ様おっしゃる通りです。

 今まさにそれを実感しております。


「な、き、貴様それを返せ」


 ラオケ様、あなたは別な意味ですばらしいですね。

 あれを見てまだそのような話し方ができるとは。


「エチゴラさん、この協会本部という場所がどこにあるか知っていますか?」


「はい、知っていますが。それが何か?」


「いえ、やれるときにやれることをしっかりとやっておこうと思いまして」


「はあ?」


「爺さん、こいつを複写できるか?」


「ふむ、108号の力を使えばなんとでもなるじゃろ。少々まっとれ」


 ひ!?

 クリオネ様の頭が!


「ひいっ」


「な、なん!?」


 おっとフィーラリア様とラオケ様が気を失われてしまったようです。

 まあ、この状況でクリオネ様のあのお姿は、さすがに刺激が強すぎますね。


「できたがどうするつもりじゃ?」


「それをレイラさんとナディに見てもらい、二人をここに連れて来てくれ」


「わかった」


「そして二人に伝えてくれ、好きなように取り立てろと」


「ふむ、わかった」


 取り立てですか?


「エチゴラさん、協会本部の場所を教えていただきたいのですが。ご協力いただけますか?」


「わかりました、ご協力させていただきます」


 ここで断る度胸は流石にありませんね。


「では、少々失礼して」


 意味がわかりません。

 ヒダリ様に頭を抱えられているのですが……。

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