第118話

 

「サベロー、ピョン次郎さんも一緒に来てくれ」


 俺も一緒かよ。

 神代竜とか、本当に信じられないことばかりだな。


「わかったよ」


「わかりました」




 ……あれが神代竜か?

 なんで変な座り方してるんだ。


「久しぶりだな婿殿」


「お父様、誰が膝をくずしていいと?」


「いや、はい」


 神代竜、娘に頭上がらないのかよ。

 いや、俺もナノン相手だとあんな感じか。

 人のことは言えんか。


「ご無沙汰してます。ダルダロシュさん、ディラグラシアさん」


 あっちの女性が神竜妃か。


「今日は先日の約束通り、遊びに来ていただけたのですか?」


 神代竜と神竜妃が遊びに来る村か。

 ありえねーだろ。


「それがねぇ」


「聞いてくれ婿殿」


「お父様」


「はい、このままですね」


 よえええ、神代竜よええ。

 なんか同類を見ているようだ。

 ダルダロシュ様か。

 一緒に良い酒が呑めそうだな。


「なにかあったのですか?」


「申し訳ありません、旦那さま。私のいとこがこちらに向かっているそうなのです」


 また竜が増えるのか?

 神代竜に神竜妃、狂竜の次は何竜だよ。


「何か問題があるのか?」


「それが婿殿」


 ん? なんだ?

 外が騒がしいな。


「クリス、いとこってのはあれか?」


 咆哮あげてるし、どう見ても友好的ではなさそうだな。

 おいおい、いきなりブレスぶっ放してきたぞ。

 こりゃ不味いな。


「サベロー、大丈夫だ」


 どういうことだ?

 どう見ても街一つ、ふっ飛びそうな火球なんだが。


「あのくらいじゃルドの障壁は抜けない」


 本当に大丈夫……みたいだな。

 なんだろうな。

 今までの常識ってやつが音をたてて崩れていくような気がするな。


「ダルダロシュさん」


「婿殿?」


「今回までは話を聞く。だが今後は例え竜族だろうが、クリスの身内だろうがこちらに刃を向けてくるなら」


 おいおい、なんだこれ。

 体が動かねえよ。

 変な汗が止まらねえ。


「こちらも全力で迎え撃つ」


 神代竜や神竜妃、ピョン次郎さんも俺と同じような状態か。

 怒気だけで神代竜も黙らせるか。

 とんでもねぇな。


「わ、わかった。今の言葉しかと受け止めた」


 クリス様は?

 あれを受けてあの顔になるのかぁ………。

 あっちはあっちでいろんな意味でとんでもないな。


「とりあえずあの阿呆を止めてくる」


 消えた?

 お、竜が落ちた。

 竜も一撃かぁ。


 色々あり得ない事だらけの村だな、本当に。

 なによりも一番あり得なくて、一番危険なのが村長だがな。

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