第117話
「村長、大変だ!」
「どうしたサベロー、騒がしいな」
「竜だ竜がでた」
「クリスならもう見慣れてるだろ」
「竜を見慣れてることもあれなんだが……。クリス様じゃない」
クリスじゃない?
「見たことのない竜が二頭、島の回りを飛んでやがる」
竜が二頭ねぇ。
多分あの二頭な気がするな。
「左様、お客様です」
やっぱりそうかな?
「ダルダロシュ様とディラグラシア様とおっしゃるご夫婦のようですが」
予想通り、クリスのご両親か。
「クリスのご両親だ、客間に案内してくれ。あとクリスを呼んできてくれ」
「わかりました」
ピョン次郎さんは仕草の一つ一つが様になるよな。
ゴツい体に燕尾服が似合いすぎるだろ。
誰だよあの服作ったの。
「では、失礼します」
これでウサ耳とウサギの尻尾がなきゃ完璧なんだがな。
ウサ耳、スキンヘッドのゴツい執事……。
一度みたら二度と忘れられないわ。
「そういうことだ、サベロー。その2頭はクリスのご両親だよ」
「クリス様のご両親、ダルダロシュ……って神代竜か! ということはもう一頭は神竜妃!?」
一々騒がしい奴だな。
「今度は神代竜かよ。村長の元に来てからあり得ない体験が多すぎるんだが」
「クリオネに食われたこと、まだ根に持ってるのか?」
「当たり前だろ、いきなりあの気持ち悪いのがでかい口で開けて迫ってきたんだぞ。生きた気がしなかったわ!」
「あれはクリオネの安全性を村の皆に伝えるためだろ?」
うん、あれは良いデモンストレーションだった。
「俺でやるなよ、せめて事前に教えてくれよ」
「いや、それだと驚きがないだろ? 敵を騙すにはまず味方からって言うしな」
サベローが本気で驚いてくれたお陰で皆かなり驚いていたからな。
ただ捕獲されたときの騒ぎよりも、吐き出された時のほうが騒ぎになっていたけどな。
「知らねーよ、そもそも敵がいないだろうが!」
「細かいことを気にする奴だな」
「気にしろよ、こまかくねーよ。いいか、お」
「左様、皆様客間の方でお待ちです」
お、来たか。
確か後日また来るって話だったし。
娘の様子見がてら寄ってくれたのかな?
「ピョン次郎さん、いきなり話をぶった切るなよ」
「申し訳ありません、サベローシラ様。ですがお客様が優先かと思いまして」
「まあ、そうだな」
ピョン次郎さん、マジ優秀。
サベローの話が長くなりそうな所で上手にぶった切った。
どっかで様子見でもしてたのか?
「そういう訳で左様」
「わかった、客間に向かう」
たしかサベローもピョン次郎さんもダルダロシュさん達とは初対面のはず。
今後も付き合いがあるだろうし、顔合わせぐらいはしといてもらうか。
「サベロー、ピョン次郎さんも一緒に来てくれ」
「わかったよ」
「わかりました」
はてさて久しぶりのお二方、変わりなければいいんだけどね。
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