第115話

「セブン、完成しまシタ!」


 ?

 ルル、いきなり過ぎて何の話かさっぱりわからないよ。


「オジイチャンが情報収集するためのユニットでス」


 ?

 オジイチャンて誰?

 ユニットって何だ?


「ルル、申し訳ないがもう少しわかりやすく説明してもらえないか?」


「エートですね。セブン、博士と教授に頼ンデ情報を蓄積して利用するためのハードとシステムの開発をお願いしましたヨネ?」


 108号の改良のことか。


「ソレデ集めた情報に意味付けする作業をオジイチャンにお願いしたでショウ」


 オジイチャンてのは爺さんのことか。

 オジイチャンて……。

 爺さんなんて呼ばせ方してんだよ。


「ソレでオジイチャンがどうせなら自分で色々情報収集がしたいと言い出しマシテ」


 封印の意味ってあるのかね?

 もう、外に出てこりゃいいじゃねーかよ。


「オジイチャンが外で自由に動かせるユニットを作ったのデス」


 作ったのですって。


「完成したのがコレでス」


『私とおんなじくらいの大きさね』


 パーカーのフードで寝ていたポピーが横に並ぶ。

 手のひらサイズで色も透明じゃないが、これってあれだよな。

 流氷の下にいるやつ。


「オジイチャン専用情報収集ユニット、クリオネでス!」


『クリオネ?』


 そのまんまじゃねーか。

 確かになんかロボットぽい名前ではあるけどさ。

 ルルさん、少しは捻ってもいいのではないでしょうか?


「可愛いデショ?」


『なんか白くてフワフワしてる』


 中身が爺さんでなけりゃな。

 中身の見えるマスコットとか勘弁してくれ。


「早速試運転デス。オジイチャンお願いシマス!」


 お、浮いた。


『浮いた!』


「ほう、これは凄いな」


 話もできるのかよ。


「ルーシェルよ、見て話て動かせるのはわかった。肝心の情報収集はどうするのじゃ?」


「口の部分から採取して分析用の空間に放り込んで下さい」


 ルルさん、時空属性じゃなかったですよね?

 なんか普通に時空属性使いこなしてるんですが。


「こうか?」


 手みたいな部分がにょろにょろ伸びるのか。

 机の上の紙を掴んで、待てよクリオネの食事ってたしか……。


『いやああああ、なにこれぇぇぇぇ』


 やっぱりか。

 頭がパカッてなって、取り込むのか。


「ドウデスカ?」


「自分の体より大きいものでも大丈夫なのか?」


「大丈夫デスヨ、大きく口を開いてみてください」


「こうか?」


『いやあああああああああ』


 椅子を食っちまった。

 これは流石にグロテスクかな。

 多分なにも知らずにこれ見たら速効で退治するわ。


「なるほど、よくわかった。これは面白い」


「面白いじゃねえよ、爺さん外に出て来て大丈夫なのか?」


「問題ないじゃろ、儂は外には出ておらんしな」


「爺さん達の契約だかがそれでいいなら、いいんだけどさ」


「それよりも、遠出をする際は今後は儂も一緒に連れていくのじゃぞ。それが今までの仕事とこの情報収集全般の報酬じゃな」


「わかったよ、ただし身内に迷惑かけるなよ」


「わかった」


『ちょっと、何で普通に話してるの? あれ、なんか凄く気持ち悪いんですけど』


「そのうち慣れるだろ」


『無理無理、絶対無理。なんなのよあれは』


「地球にいるクリオネって生き物だよ」


『あれがいたの? チキュウに? チキュウには魔獣なんかいないって言ってたけど、いるじゃない!』


 まあ、魔獣に見えなくもないのか?

 確かに20cmのクリオネとか、モンスターだな。


「騒がしいやつじゃな」


「そのうち馴れるさ」


「そんなものか」


「そんなもんだ」


 俺もいろんなものに慣れたからなぁ。


「それでは儂は早速色々見回ってくる」


「しばらくはルルと一緒に行動しろよ」


「わかった」


「デハいきましょうか、オジイチャン」


「よろしくたのむ」


 また、大騒ぎの種が増えた気がするよ。


『サシチ、あれどうするのよ』


「どうしようもないだろ、みんなに慣れてもらうしかないさ」


『そういえばあれ、取り込んだ物はどうなるの?』


「どうなるんだろうな?」


 ん?

 ルルが戻ってきたか。


「忘れでいまシタ。情報収集の終わった物についてデスガ」


『いやぁぁぁぁぁぁぁ』


 口から出てくるのかよ。


『あんたの回りはほんと滅茶苦茶ね』


「ホントにな」


 なんかこんなのばっかりだよ。

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