第114話

「これが108号です」


 高さ1メートルくらいの立方体。

 上の面に二つの突起。

 変わり種の冷蔵庫みたいだな。


「初めて見た時に比べると、小さくなっている気がするのですが」


「私も村長殿が見た108号を見ていないので何とも言えませんが、元々はその大きさですよ」


 色々取り込んで成長?した結果があの姿だったのかね。


「情報を送り込む入り口は、その突起の先になります」


 ここか。

 送られてくる情報のの経路を突起に繋げるようにしてっと。

 これで行けるか?

 とりあえずは視覚情報のみを集めて送ってみるか。


「どうですか?」


「なにかが送り込まれているようではあります」


「私の部屋の様子を視覚情報として送っているのですが、何か確認する方法はありますか?」


「少々お待ち下さい。たしか、あ、ありました。これを上手く繋げば確認できるかもしれません」


 移動式天幕で窓代わりに使っていたモニターみたいなやつか。

 これなら直ぐに繋げそうだ。


「中から情報を引き出すのはどこからですか?」


「先ほどの突起のもう片方になりますね」


 こっちか。

 なら、こっちにモニターを繋いでっと。


「あ、何か写りますよ」


 お、見えてきた見えてきた。


「これは?」


「今の私の部屋ですね」


 どうやら成功したみたいだな。

 後はこの情報に意味付けするして、何時でも引き出して使う方法だな。


「村長殿、誰か部屋に入ってきたようですよ」


 ん?

 あれはセフィか。


「何をするつもりなのでしょうか?」


 何するつもりなんだろね?

 映像を切った方がいい気がしてきた。


「きょ、教授。実験はこの辺で終わりにしませんか?」


「あ、何か見つけたようですよ」


「あれは左様のパーカーでしょうか」


 セフィさん、何をするつもりなのかな?


「あの短いローブのようなものはパーカーというのですね」


「お、村長さんのパーカーとやらを着込んだぞ」


「なにか嬉しそうなお顔ですね」


 セフィ、何してんだよ。


「今度は移動し始めましたね、何処に行くのでしょうか」


「あれはベッドか?」


 ベッドですね。


「パーカーを着たまま、ベッドに入って行きましたね」


「毛布にくるまったな」


「セフィル様、なんという至福の笑み」


 セフィー!


「また誰か入ってきましたね」


「今度は誰だ」


「杏華様とポピレナシア様ですね」


「ベッドの方に行きましたね」


「なにか揉め始めたぞ」


 何してんだよ三人とも。

 音が聞こえないから、何揉めてるかわからんな。


「どうやら落ち着いたようですね」


「今度は三人でベッドに入って行ったぞ」


「杏華様が毛布でポピレナシア様が枕、セフィル様がパーカーですか」


 みんなで仲良く分け合ったのか。

 というか三人とも何やってんだよ。


「皆幸せそうな顔で眠っているな」


「村長殿は相当好かれているようですね」


 なんだこれ。

 妻達のちょっと恥ずかしい所のはずなのに、俺が一番恥ずかしいんですが!

 三人のいい笑顔が見える度に、悶絶しそうなんだが。


「さて、実験はこの辺でいいですかね」


「面白いものも見られたしな」


「お二人ともこの事は他言無用でお願いします」


「わかっていますよ、ピョン次郎さん。まあ、こんな可愛らしい映像が外に漏れても何の問題もないと思いますけどね」


「いろんな意味で楽しい実験となったな」


「続きはまた後程にしましょうか」


 そうですね、そうしてもらえると助かります。

 なんかスゲー疲れたよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る