第12話 ガンドラル史 その2
「よく調べましたね。それにここに気がつきましたか」
「そうです、裏切り者がいたんですよ。というより協力者ですかね。誰か予想している人物はいるんですか?」
「予想でよければ」
「是非とも」
「多分だが。ルド、あんたを含めた4人全員じゃないのか?」
「成る程、続きをお願いします」
「いや、単純だ。今までできなかったことがあっさりできすぎてる。女神側に何らかの変化があれば、これだけの成果をあげる変化だ。何らかの記述が残っていてもいいはずだ」
無言か。
続きを話せってことね。
「でも記述がない。ということは知られたくない方法だったり、知られたくない協力者だったりがあったのではないかと」
「成る程、続きをお願いします」
「んで、知られたくない方法とはいえ方法があるならもっと早くにやるだろう。ざっと歴史をみても数千年単位で暴れてるだろ、あの爺さん」
「そうですね。私が仕えてからでも千年以上は暴れていましたね」
「数千年も暴れてるやつがいきなり封印された。んで女神側の誰かの手柄だって記録もない。もちろん誰も知らないとんでもない実力者がいきなり出て来て、あの爺さんをおさえつけて、誰にも知られずに立ち去った可能性も0じゃないが。それよりもこちら側の実力者が手を貸したって考えるほうが可能性が高い。ただ動機がさっぱりわかんねーけどな」
「そうですね、動機というほどのものでもないんですよ。あの方について色々するのは楽しかった。ただ私たち四人は元々普通にガンドラルに暮らしていたんです。繰り返される天変地異レベルの破壊行為で疲弊しきっているガンドラルを見て、自分達が住んでいた世界がこれ以上ぼろぼろになるのはしのびない。さすがにそろそろ止めないとな、となっただけのことだったんですよ」
「もうそろそろやり過ぎかな?と思ったから止めただけってことか?」
「まあ、そんな感じですね」
えらい軽い感じで歴史が動いてるなガンドラル。
「というかあの方も同意の上での封印なんですけどね」
「は?」
「いや、あの方の戦力は私たち4人が協力したくらいでなんとかなるようなレベルではないですからね。女神と名乗る存在が8柱いても手に負えない相手に対して、眷族4人が謀反を起こしたところでどうにかなるわけないでしょう」
まあ、そうなんだろうけど。
なんというか脱力感が半端ないな。
「もちろん条件はつけましたよ。一定以上の強者が出て来たら、この空間に連れてきて腕試しをさせること。情報収集に関して妨害しないこと。定期的に新しい書物を送ること。この三つですね」
物語や神話のようにドラマチックな展開ゼロ。
話し合いの上の合意で成り立ってる封印。
手に負えないのできちんと話し合いの上、望む条件を飲むことで封印されてもらいましたってか。
交渉っちゃ交渉だが、信仰は得られ無さそうだ。
なら女神側としても記録には残せないよな。
「わかってみると歴史的に大きな転換があったはずなのにあまり面白くないな」
「事実なんてそんなものでしょう。それに面白い歴史ならあの方が暴れまわった時代に山ほどありますしね」
「そんなものなのかね。ん?ということは俺がこの空間に来たのはその条件のせいか?」
「いえ、それはないかと。あなたがこの空間に来たときの能力では一定以上の基準にかすりもしてません。また別な条件なのでしょう。私たちとて神々の中での約束事をすべて知っているわけではありません。もし、気になるようであれば本人に直接聞いてみてはどうですか?」
「そうだな。その時が来て、まだ覚えていたら聞いてみるか」
「是非そうしてください。さてと話が長くなりましたが最初のレポートはこれで合格です」
「お、ありがたい」
「次のレポートはガンドラルの魔法についてです」
次は魔法か。
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