第11話 ガンドラル史

 レポート作成の為に書庫を使えと言われたが……。

 すさまじい量の書物だな。


 でかい図書館なんて次元じゃない。

 あり得ないほどの物量だ。


 ルドが言うには屋敷の9割が書庫でさらに拡張中。

 屋敷の広さについては拡張続きでよく分からんて言ってたしな。


 この膨大な量の本やら資料から探すのか。

 とりあえずこの辺の古そうなところからかな?


 くっ、文字が読めない。

 こっちの本もだ。

 ガンドラル語だけじゃないのか?


 しかも最初のやつと今のやつ、あきらかに文字の種類が違うぞ。

 くっそ文字の解読からかよ。


 この文字に関する文献はどこにあるんだ?

 そもそも何語だよこれ。



 最初の本はヤトラ語で書かれていて、このヤトラ語を解読するために古代エルフ語ってのが必要で、んでなんとか解読できた中身がはるか昔のご令嬢の日記かよ。

 恋愛ってのはいつの時代も難しいのな。


 次の本。

 こいつは鳥言語ってやつで書かれていて、この鳥言語っていうのがまた面倒で、ユド族っていう部族が鳥から情報収集した際に暗号として記入していた文字らしく、暗号の解読もあってアホほど時間がかかった。


 しかも中身は天気予報。

 明日は多分晴れでしょうって、多分て予報じゃねーだろ。

 晴れる根拠も書いてないし野生の勘頼みか?


 どの本も曲者ばかりだよ。

 これなら殴りあいの方がまだ楽だったか?

 まあ、文句を言っても始まらない、とことんやってやるのみだ!


 本当に厄介な本ばかりだよ!

 おかげでここの空間のことがわかってきたけどな。


 最初に会ったあの爺さんは邪神扱いされている。

 何故なら、ガンドラル中に迷惑をかけまくっているからだ。

 爺さんは戦いを求めてガンドラル中を飛び回り、天変地異をおこす戦いをあちこちで繰り広げガンドラル中を大混乱におとしいれていたらしい。


 しかもかなり長い間。


 最初に見た令嬢の日記は、あの爺さんの起こす天変地異がいつあるかわからない中で自分も相手もいつどうなるかもわからない。

 リアルに難しい恋愛の悩みについてだった。


 その次の鳥言語の天気予報。

 あれも文字通りの天変地異が身近で起こっていれば、天気だってその場で変わってしまう。

 なら多分としか言いようもない、そんな時代の天気予報だった。


 調べれば調べるだけそんな文献が大量にでてきた。

 それぞれの文献は時代も場所も全く異なっており、爺さんが時代を越えてガンドラル中に大迷惑をかけていたという歴史を物語っていた。


 んで、ランガー、リシャル、ルド、レーブの四人はいわゆる眷族ってやつだと思われる。

 多分爺さんが戦い終わって気に入ったやつを眷族にしていったんだと思う。

 眷族化については爺さんではないが他の神々の記述に眷族化の話が何度か出ている。


 まあ、ランガーに確認したら


「その通り」


 といっていたので予想は間違っていなかった。


 最後に何故この空間に5人だけなのかというと、爺さんがやり過ぎたからだ。

 あんだけガンドラル中を荒らし、邪神あつかいされてる存在が、いつまでも放置されるはずもない。


 8柱の属性女神を中心に全ガンドラルが爺さんの敵に回った。

 爺さんはそれに嬉々として立ち向かい、すべて粉砕していった。


 しかしそんな爺さんもとうとう止められてしまった。

 そして8柱の女神全員の力によって封印されてしまう。

 その時眷族の四人も一緒に封印されてしまったようだ。

 

 封印された空間がこの場所なのだろう。


 ただ疑問なのが、それまで粉砕され続けてきた女神側が急に封印に成功した理由がわからない。

 そんな事ができるなら、もっと早くに封印はなされていたはず。

 女神側が協力してから封印までの間が長すぎる。


 力を隠していた?

 封印後を見越しての権力争い?

 どれもありそうで今一ピンとこない。


 権力争いをしていたのであれば、邪神封印を全面にだすような何らかの動きがあるばすなのだが。

 たとえば邪神封印の勇者の血を引くみたいな。

 だがまったくそういう話が存在していない。


 ということはそれまでとはまったく違うなにかが起きた?

 たとえば、裏切りとか……。

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