第16話 サジェステッド クリスマス・・・

そして土曜日。

十二月にしては少し暖かい。猫も元気に走り回っている朝の九時。

ふいに進也の部屋の呼び鈴が鳴る。ドアを開けると、そこにはリナが立っていた。

突然のサプライズに声も出ない進也。

「へへへ、ビックリした?いきなり来て女がおったらしばいたろと思っとってん。」

「よかった、独りで。」

進也は笑顔でリナを部屋に招き入れる。

「かまへんけど掃除がまだやから、ちょっと汚いで。」

「まんまのシンちゃんの生活見たかったし。」

進也はリナの上着を脱がせて、久しぶりの抱擁。

いつもの様に首筋の匂いを確認する。

「とりあえずキスしてもいい?」

「うふふ、ええよ。」

首筋の匂いの後は、唇の甘さを思い出したかった。

「じゃあ、少しかたずけるから、テレビでも見てて。」

「一緒にお掃除してあげる。」

進也の掃除は至って簡単だ。窓を開けて掃除機をササッとかけるだけ。外気を入れたおかげで室温は一気に下がる。

エアコンとコタツのスイッチを入れて、さらに抱き合って暖を取る。自然と唇は触れ合って、女神も戯れ、息が乱れて心音が高まる。互いに肌のぬくもりが愛おしい。

「もう我慢できひんねんけど。」

「えへ。エッチやな。」

「リナがボクをそうさせんねん。」

進也の少し強引な抱擁にも、特に拒むことなく受け入れるリナ。口づけの時間はいつもより長い。

「愛してる。」

「リナも。」

リナの肌は今日も滑らかだった。そして曲線はいつもの通り美しかった。その美しさに魅了され、さらにリナの気持ちに愛おしさを感じている進也がいる。

リナはそんな進也の優しさに惹かれていた。少し大人の進也には同年代の異性とは違う優しさを感じていた。それを言葉で言うと『包容力』とでもいうのだろうか。

進也はリナを自らの腕の中に抱ける喜びを感じていた。同時にリナも自分を愛してくれる進也に抱かれる幸せを感じていた。

久しぶりの逢瀬に二人の体温はいつもよりも早く燃え上がる。

進也はリナを抱いてベッドへと移動した。より大切な時間とするには、カーペットの上よりもマットの上の方がゆっくりできる。冷たいと感じるのは最初だけだ。すぐに二人の熱く燃える体温がシーツの表面を温める。

柔らかく滑らかなリナの肌は、今日も進也の躍動を奮起させる。それを優しく見守りながら受け入れるリナ。今日のリナの微笑みはいつもと少し違っていた。それは進也が間もなく大団円を迎えるときにわかる。

進也もリナも充分に互いの息遣いと温もりを確かめると、やがて進也がフィナーレを宣告する。そのときだった。

「シンちゃん、今日はもういいねんで。リナの中でイッて。」

進也はリナの口づけを求め、彼女の息遣いをこれ以上ない至近距離で感じながら、リナの中で果てたのである。

「リナ大丈夫?」

「うん。先月から準備してたけど、先週はまだギリギリやってん。今日はもう大丈夫やで。リナもシンちゃんを最後まで感じられてうれしい。」

進也は増々リナを愛おしく思う。

理屈などない。理由もない。ただただ愛おしいのだ。

この時進也は、少しでも早くリナと一緒に住みたいと思った。そのためにはいくつかの壁があるけれど、その壁に立ち向かう覚悟はできた。そう思った瞬間だった。

「リナ。愛してる。ずうっと一緒にいたい。」

「リナも。ここへ引っ越してきていい?」

「お父さんとお母さんの許可は貰わなな。」

朝の情事は二人の幸せな雰囲気を築いて、時間だけは過ぎていく。まだこの一日は始まったばかりだった。

ゆっくりとした午前中、情事のあとのコーヒーを楽しむ二人。テレビのスイッチを入れ、人気のクイズ番組を見ていたときだった。


=運命とも言える扉が開く・・・・・。=


それはクリスマスの夜、カップルを北海道に招待するプレゼントのお知らせだった。

「シンちゃん、札幌ホテルのクリスマスパーティにカップル十組ご招待やって。リナ北海道行ったことないから行きたい。応募してイイ?」

「ええで。まあ当たらんやろうけどな。」

「宝くじも買わな当たらへんねん。プレゼントも応募しな当たらへんねんで。」

「そうかもね。」

リナは応募サイトから申し込んだ。

そして二人は昼ごはんのための買い物へと出かける。


「お昼は何にする?」

買い物中も手をつないでいる二人。

「寒いし、うどんにするっていうのはどう?」

「かまあげ?鍋焼き?それともきつね?」

「昼やし、釜揚げでええで。」

「なあんや、張り合いないな。茹でるだけやん。」

腕を振るうつもりで来たリナは少ししょんぼり。

「じゃあ、天ぷらしてくれる?かき揚げ大好きやねん。」

「ほな、そこが腕の見せ所やな。美味しいかき揚げ作ったげる。」

必要な買い物を終えた二人は部屋に戻り、リナの完璧なかき揚げとともにうどんをすすった。幸せなひとときだった。

ランチの後は部屋でまったりとした時間を堪能する。なりたてのカップルにとって、最初の三カ月は夢のような時間である。ただ一緒にいるだけで幸せな気分になれる。

進也も果たすべき欲望の部分は午前中のうちに満足しているので、無理に求めたりはしない。それよりも、可愛い笑顔のリナを腕の中で抱いていたかった。

それでも若いリナは行動を起こしたがる。

「ねえ。散歩に行かへん?天気もいいし、淀川の河川敷、どう?」

「リナが行きたいんやったら、ボクはどこでも行くで。」

午後の腹ごなしにも丁度良い。中年に差し掛かる進也にとって、適度な運動は必要不可欠なアイテムでもある。

部屋から河川敷まで徒歩で十五分程度。日差しもあり、なかなか心地よい。

勿論腕を組んで歩く二人。すれ違う何人かは、怪訝な顔で二人を凝視する。不倫の匂い漂う二人はいい話のネタになりそうだ。

河川敷には多くの人がいた。家族連れ、友人同士、そしてカップルたち。進也とリナもカップルたちの群れに紛れ込む。

進也は流れゆく川の水面を眺めながらリナに話しかける。

「この川の向こう岸に引っ越そうと思う。もっと近くでリナを感じられるように。」

「えっ。」

「いつでもリナに会えるように。年が明けたら探しに行こうかな。」

「近くに来てくれるん?うれしいな。」

「リナがこっちに来ると職場が離れるけど、ボクが向こうへ行っても大して変わらんからな。少しでも近くでリナを感じられるようになった方が、ボクも安心やし。」

こうして年明けの進也の引っ越しプランが決定した。

「ところで、そろそろお父さんには話しした?」

「うん。彼氏ができたってことだけはな。まだ、どんな人やとか聞かれてないから、詳しいことは話しできてないけど。けど、彼氏がおること自体には反対やなかったで。」

「リナも大人やって認められてるってことやな。」

「エヘヘ。」

十二月ともなると日が落ちるのが急激に早くなる。午後の三時を過ぎると、元気そうだった太陽も疲れたような表情を見せる。

「夜は親方んとこ行こか。ヒデちゃんは呼ばんでもええやろ。」

「あのおっちゃん優しいな。前にアカネと行った時もだいぶサービスしてくれたで。」

「どうやらリナのことを気にいってくれたみたいやな。」

「うふふ。」

さても夕方のプランも決まった二人は、来た道を手をつないで歩いて帰る。

少しぬるめの北風が二人の背中を後押ししていた。


冬は流石に陽が落ち始めると早い。

それでもどっぷりと陽が落ち切った時には、二人はすでに店の前まで来ていた。

暖簾をくぐり、見慣れたカウンター席に座る進也とリナ。

親方が笑顔で近づいてくる。

「いらっしゃい。リナちゃんが来てくれると、なんかうれしいな。店の中が華やぐ感じがするな。」

「そんなん言われたら照れるやん。」

実際、おじさん連中がほとんどを占めるここの客層の中に、リナほど若くて可愛い女の子は自然と目立つ。勿論、一緒にいる進也も同様である。何度か連れて行くうちに、常連客の間で話題になり、二人の存在が注目されていた。

丁度その日、進也の隣に座っていた客もその一人である。

「あんちゃん、えらい可愛い子連れてきてるな。彼女か?」

「そうですよ。」

「どっかの飲み屋のねえちゃんかと思た。これから同伴出勤でもするんかなと。」

するとリナが割って入る。

「おっちゃん、恋愛に年齢は関係ないねんで。男の人は年齢より中身やで。」

「こら一本やられたな。」

大阪の客人たちは皆一様に馴れ馴れしい。こういった会話が日常茶飯事でもある。

「どこでそんなかわいい子見つけてくんねや?」

「お兄さん、それ聞いてどうすんの?奥さんおらんのやったら教えてあげるけど。」

「それが残念ながらおんねやん。五月蝿くて怖いヨメさんがな。」

周りの客が一斉に笑い出す。どうやらみんなその奥さんを知っているようだ。しかも、そんな話をしているうちに、後ろに人の気配が。

「その五月蝿くて怖いって、ウチのことちゃうやろな。」

なんと驚いたことに噂をすれば影である。

どうやら仕事をさぼって飲みに来た主人を連れ戻しに来たようだ。可哀そうに、腕っ節の強そうな奥さんに首根っこを掴まれて連れ戻されていったとさ。

「お、親方、お勘定は明日持ってくるしな。た、たすけてくれー。」

それだけ言うのが精いっぱいだったようだ。

「あの人も飲まんかったらエエ職人さんやねんけどなあ。」

見送る親方の目線が今日もあったかい。

「さ、お二人さんは何食べる?今日は取って置きの肉を用意してあるで。もしかしたら来るかも知れんと思てな。ほれっ。」

そう言って見せたのは骨付き肉だった。

「専門用語でTボーンっちゅうねんけどな、骨ごと焼いたるさかいに、頬張って食べたら旨いで。」

「すごいな。ほんならそれを二つ焼いてえな。それとビールと塩キャベと煮込みを二つ大急ぎでな。」

その会話を聞いたリナは大喜びだった。

「やっぱりシンちゃん親方さんに愛されてるなあ。ちょっと妬けるな。」

「リナがおるからやんか。親方が愛してんのはリナかもよ。」

「ほんならその愛に応えなアカンやろか。」

「頼むからやめてな。もうボクだけのリナになってくれたんやろ。」

「うふふ。冗談やん。妬いて貰えるって嬉しいもんやな。」

そして親方が大急ぎで運んできたビールと煮込みで今宵の宴がスタートする。厨房の奥では親方が大きな網の上で大きな肉を焼いているのがわかる。

そんな状況の中、進也の背中をポンと叩く者があった。秀雄である。

「シンちゃんつれないなあ、ここへ来るんなら声かけてくれたらええのに。」

「あのなヒデちゃん。たまには家族サービスしとき。ちゃんと家族とコミュニケーションをとっとかんと、ボクんとこみたいに家庭崩壊になるで。」

「望むところや。早ようにそうならんかなと思てるとこや。」

「それに今日はれっきとしたデートやから邪魔せんといてな。」

すると秀雄はリナに泣きつく。

「リナちゃん、こいつこんなこと言いよんねん。な、オイラも仲間に入れてえな。」

都合の悪いことに、進也の隣に座っていたオッチャンが今しがた奥さんに連れ戻されたところなので席が空いていた。秀雄はちゃっかりとその席に座り、親方の姿を探すが、親方は奥で肉を焼いていたので、そばにいた女将さんに注文する。

「女将さん、ビールとミックスと塩キャベな。ほんでリナちゃんにユッケをオイラからの奢りで出したげて。」

「ヒデさん、えらい気ぃ使うてくれてありがとう。遠慮なく御馳走になるわ。」

「おっ、リナちゃんの方が話がわかるやないか。そやそや、後でマヤちゃんの落とし方教えてな。」

「そんなんわからへんで。そやけどマヤさんも恋人募集中やから、頑張ってアタックしてみたら。」

「なんか勇気わいてきたな。おかげでビールも進むわ。」

やがて奥から親方が大きな肉が乗った皿を持ってきた。

「はい、お二人さんお待たせ。おう、ヒデちゃん来たんかいな。鼻が利くな。」

こんがりと焼けた肉は香ばしい芳香と共に食欲をそそる。

「親方、オイラもその肉焼いてな。」

「すまんなヒデちゃん、これでお終いや。シンちゃんとリナちゃんの分しか用意してないねん。」

「ええ?えこ贔屓やな。」

「まあ、すねなさんな。ボクのん半分あげるし。」

「リナちゃん聞いたか?シンちゃんはな、こうやって優しいとこ見せて、女を落としていきよんねん。」

「そんなこと言うねやったら、やらん。一人で塩キャベ食うとき。」

「ゴメン、ウソやウソや。そやけど、シンちゃんのエエとこをリナちゃんにPRしてやってるんやんか。」

「シンちゃん、エエお友達おって幸せやな。ウチも気ぃつけとくわ。」

進也に肉のおすそ分けを貰った秀雄は、ガッツリと肉を頬張りながら、いつの間にかちゃっかりと仲間入りを果たしていた。

リナも大胆に肉を頬張っていた。元来肉が大好物のリナである。笑顔がほころばないわけがない。

打ち解けた雰囲気は親方も含めていい雰囲気が盛り上がる。そんな楽しい話で盛り上がっている最中のこと。突然リナのスマホにメールの着信音が鳴った。

メールの送信元を見て目を見張るリナ。中身を開いた途端に飛び上がっていた。

「シンちゃん、札幌ホテル当たったで。十二月二十四日土曜日の夜、航空券付きやで、お二人様ご招待やって!」

突然のことに唖然とする親方と秀雄。進也に抱きついてはしゃぎだすリナ。その半径一メートルほどだけが、ちょっとしたパニック状態に陥っていた。

「今日の昼のテレビで、カップルを対象に募集してたクリスマスパーティの企画に応募してたんが当たってん。」

ようやく真意が読めた親方がリナに声をかける。

「リナちゃんおめでとう良かったな。誰と行くん?聞くだけ野暮か。」

「もちろん、シンちゃんとやんか。シンちゃんスケジュールは大丈夫やろな?」

「ボクは土日休みやからええけど、リナは?日曜日も仕事あるんちゃうん。」

「絶対休む。大丈夫や。理由を言うて無理してでも休む。今から楽しみやなあ。」

意外にも不服そうなのは秀雄である。

「なんやシンちゃんばっかしハッピーで、神様っていうのは不公平やねんな。」

すると親方は秀雄にお代わりのビールを出して、

「ヒデちゃんもそのうちエエことあるって。順番やねんって。次はヒデちゃんかもしれんから、とりあえず何かに応募してみたら。」

「そうやでヒデさん。応募しな当たらへんで。」

リナが追い討ちをかける。

「オイラが言うてんのはプレゼントだけやないし。そや、マヤちゃんがアカンかったら、リナちゃんの地元のお友達とか紹介してえな。」

「結局ヒデさんはエッチのことばっかししか考えてへんのやろ?そら無理やで。」

「性根入れ替えるために寺に修行でも行った方がエエかも知れんぞ。」

「それだけは勘弁してや。」

今宵も笑い声が絶えない宴となった。サプライズの連絡と共に歓喜の声が響き渡った夜もやがては更けて行く。


「さあ、そろそろ帰ろうか。」

「うん。帰って色々と支度をしなアカンからな。」

リナの声はまだ上ずっていた。

「今日の夜は眠られへんのと違うか?」

親方も心配そうに尋ねる。

「リナちゃんは明日も仕事か。大変やろうけど、お楽しみがあるんやさかい頑張れるやんな。」

「ほんならボクもリナを見送ってそのまま帰るわ。親方おあいそね。」

「なんやシンちゃん帰るんかいな。シンちゃんは明日も休みやねんから、もうちょっと付き合いいな。」

遊び盛りの秀雄は途中で帰る進也に未練が残る。

「ヒデちゃんはどうせこの後『エロナイ』へ行くんやろ?ボクは行かへんから。またここへも来るし、今日は帰る。」

「寂しいな。彼女が出来ると付き合い悪なるってホンマやな。」

「はよ家に帰って、たまには嫁さん孝行しとき。何かご褒美があるかもしれんで。」

進也はそれだけ言い残して店を出た。途端にリナと手をつないで。

それを見ていた秀雄がまたぞろ焼もちを妬いてみせた。

「ああ、羨ましいなあ。若くて可愛い女の子。もう色々やっとんねやろな。」

それを聞いて親方は窘める。

「ヒデちゃん、あんましヤラシイ目で見とったらアカンで。欲求不満になるで。」

「おかげさんで、ずーと欲求不満や。さて、オイラはシンちゃんの言うとおりエロキャバへ行って来るわ。」

それぞれの想いが交差する土曜日の夜。

親方はこの時、何かしら一抹の不安を感じていた。それがなんだかわからぬまま・・・。



次のリナの休みは木曜日だった。

昼間に用事を済ませたリナは、夕方にはA駅の近くで進也を待つ。既にメールは打ってあり、待ち合わせは出来ている。

十七時三十分――。

早々と退社してきた進也と秀雄が改札に揃って現れる。

「デートやって聞いたから、便乗しに来たで。」

「邪魔しにくんのが生きがいみたいやな。」

「ヒデさんやったらしゃあないな。ほんなら行き先はホルモン屋やな。」

「リナちゃんが嫌やったら、別のとこでもええで。『エロナイ』でもええけど。」

一瞬目を合わせる進也とリナ。

「なんでウチがそんなとこへ一緒に行かなあかんの?そんなことばっかり言うヒデさんは大嫌い。」

この一言は効いたらしい。リナの少しエスの部分が発動したようだった。

「ゴメン。もう言わへん。せやから怒らんといて。」

「一回だけ許したる。ほな行こ。」

リナは進也と秀雄の間に入って、両腕を組んだまま歩き出す。腕を組んでもらった秀雄は少し顔がにやけている。

懸賞が当たってから機嫌のいいリナは自然と口数も多くなる。

「あれからテレビ局から電話がかかってきてな、名前と住所と誰と行くかって聞かれて、その方は恋人ですかって言わはんねん。ほんで、そうですって答えたら、歳の差カップルですねって言わはって、別の番組でもエントリーさしてもうてエエですか、やって。もちろんエエって言うといたけど。アカンかった?」

「ボクはかまへんけど、お店の時のお客さんに本名バレるで。それに、そんな番組やったら、馴れ初めとか聞かれるけど、答えられへんのと違う?そんなんは言わん方がエエと思うし。お父さんとかお母さんも知らんやろ。」

「そうやな。また今度連絡あったら断っとくわ。」

ちょっと沈んだ様子だったが、すぐに元通りの笑顔に戻ったところでホルモン屋の前に到着する。

「いらっしゃい。おお、また愛しのリナちゃんが来てくれたんやな。今日は何をサービスしよかな。」

「おっちゃん、あんまし気ぃ使わんでもええねんで。リナもここの雰囲気が好きやから来てるんやし。」

「優しいな。ほんなら今日はサービスでアイスクリーム出したげよ。」

「やったー、それはそれでうれしいな。」

リナもどんどん店の雰囲気と親方の人柄に馴染んでいく。いつの間にか、この店が二人の待ち合わせ場所、そんな感じになりそうだった。

「もう札幌行きの準備は出来たんか?」

おおよそ十日後に迫った懸賞旅行のことをリナに尋ねた。

「うん。飛行機のチケットも送られてきたし、ホテルのクーポンも送られてきた。あとは失くさんように大事にとってあるだけ。」

「ご両親にはどんな説明してるんや。」

「お母さんにはちゃんと言うてある。お父さんにも彼氏と行くっていうてある。もうリナも子供とちゃうし。せやけど、旅行に行くぐらいの彼氏やったら、一回家に連れておいでっていわれたけど。」

「それは大変やな、シンちゃん。」

親方も秀雄も一大事でもあるかのように進也の顔を凝視する。

「ちゃんと覚悟はできてるし。いつでも行ける用意はあるで。」

するとリナは進也の方を向いて手を握る。

「あんな。お母さんがな、旅行から帰って来たら連れておいでって言うてた。旅行の前やったら、ややこしなったら面倒やしって。」

すると秀雄がすかさずチャチャを入れる。

「やっぱしややこしなるんやな。お父さんいくつ?」

「シンちゃんよりはだいぶ年上やけど、今年五十五歳やったかな。」

「理解のある人やったらエエけどな。とりあえずはお母さんがそう言うてはんねやったら、旅行から帰って来てからでええやん。さあ、問題は解決したで、ガッツリとホルモン食うて、わっと楽しい騒いでえな。」

このところ、リナの休みに合せてホルモン屋でのパーティが開かれる。

親方も秀雄もそんな時間が楽しみだった。リナも心安い新しい仲間に囲まれて、楽しい時間を過ごせていた。

そんな折、親方が進也とリナに忠告する。

「シンちゃん、今日はリナちゃん連れて早ように帰り。めったに会えんのに、こんなとこでばっかし時間を使ってたらアカン。もっと二人の時間を大事にな。」

進也とリナは互いに目を合わせて合図を送る。そして親方に礼を述べて席を立つ。

「ヒデちゃん、後を追いかけたらアカンで。」

「そこまでオイラも野暮やないで。二人の時間を楽しんでおいで。」

進也とリナは親方の気持ちに感謝して店を後にした。


少しアルコールが入った二人。腕を組んで大阪の地下街を散策する。

「親方さんって、ホンマにエエ人やな。惚れてまうかも。」

「妬けるな。でもホンマにエエ人やねん。リナもわかってくれてうれしいな。さて、どこへ行きたい?」

「あんなシンちゃん。もういっぺん行きたいとこがあんねん。」

「どこ?」

「空中庭園。リナがシンちゃんに告白した場所。あのキスがそうやってんで。今度は同じ場所で、シンちゃんから告白を聞きたい。」

進也はニッコリ笑ってリナの肩を抱く。

「わかった。行こか。」

見覚えのある高い建物は今夜も月を背景にそびえていた。

長いエレベータを昇りきると、以前と同じ風景が広がっていた。但し、あの時よりも抜群に寒くて風が冷たい。だからではないだろうが、そこで佇んでいるどのカップルもシルエットはそのほとんどが重なっている。

あの時と同じ場所。明確には覚えていないが、だいたいの背景は記憶にあった。

大阪市内の夜景を背後に、進也はリナをがっちりと抱き寄せて、いつものように首筋の匂いを堪能している。目を瞑るリナ。ここはカップルの楽園であるかのように、皆一様に口づけを交わしている。

それに見習うわけではないが、進也もリナの柔らかい唇を求めた。互いの吐息が白い水蒸気となって風に舞う。

そしてリナの体を離し、じっと瞳を見つめて愛の言葉を宣する。

「リナさん、愛しています。ボクの恋人になってくれませんか。」

「うふふ。あらためて言われると恥ずかしいな。」

「ん?告白してくれって言うたのはリナやで。」

「うん。リナも愛してる。」

師走、大阪の天空の園で冷たい風に打たれる二人。

まだまだ難関はあるのかもしれないが、多くの人に祝福されて愛を育む事になるのである。

「シンちゃん、わがままなリナやけど我慢してな。リナももっとシンちゃんに愛されるように頑張るし。」

進也は胸が一杯だった。やはりまだ年齢差のことは気になっている。リナは歳の差のあるカップルなんていくらでもいるとは言うものの、少なくとも進也の周りでは見たことがない。そんなカップルは芸能人だけだろうと思っていた。

それでも今現在、干支で言うと自分より一回り以上も若い乙女が自分の愛を受け入れようとしてくれている。

他の何にも代え難い愛がここにはある。そう信じることにした。


楽園にいるかのような時間は過ぎ、二人は現実の世界に戻らねばならない時が来る。

「さあ帰ろう、明日も仕事やし。今度の土曜日はどうする?」

「またシンちゃんとこへ行く。お部屋きれいにして待ってて。札幌の相談もゆっくりしたいし。」

そしてリナは北行きの電車に、進也は東向きの電車へと別れていく。

二人の心は繋がったまま。



社会人同士の恋人のデート回数は平均で週に二回位らしい。進也とリナのデート回数もほぼデータに合致している。つまりは多くもなく少なくもないという理想のパターンであるということだ。

今は互いに川を挟んで北と南に分かれており、簡単には会えない地域事情がある。進也が年明けに計画している北地域への引越しは、二人をどのように変えて行くのだろう。まだ始まったばかりのカップルにそれを聞くのもどうかとは思うが。

そして、二人ともに休日となっている土曜日がやってくる。

先週は朝の九時に呼び鈴がなった。後ろめたいことは何もないが、今朝も早くから準備万端を整える進也である。

このあたりは彼の性格のマメさを表している。

果たして呼び鈴が鳴ったのは九時半を少し回ったところだった。

「おはよー。今日も女の人が泊まってたりしてない?」

「リナが泊まってなかったら、誰もおったりせえへんで。」

玄関を閉めるなり、いち早くリナの唇を奪う進也。

リナの両腕も既に進也の首に巻かれている。

「部屋の中はあったかい?」

「いつ来てもええ様に、七時から温めてあるで。」

リナは上着を脱いでソファーにかける。そして進也をソファーに座らせて、膝の上に乗ってきた。

「お店の時みたいやろ。」

「いいや、リナ服着てるもん。」

「うふふ。ほんなら。」

そう言って服を脱ぎ始めるリナ。やがてビキニの姿になると、

「これでどう?」

「そうやな。お店みたいやな。シンちゃん座りしてもらおかな。」

二人の間でいきなり始まったお店ごっこ。これもこの二人ならではのシチュエーションだろう。唇と唇がつながったまま、進也の手はさらにビキニの中へと侵入していく。ふくよかな膨らみを弄び、大きな弧を描いている。その頂点へのあいさつに反応した吐息は、いつものように甘い芳香を放ち、進也の大黒様を奮い立たせる。

それに気づいたリナは、進也のベルトのバックルを緩めて、中から勢い余る直立不動の大黒様を引きずり出していた。

熱くいきり立つ大黒様はリナの介助により、さらに高い所を目指すが如くそびえようとする。それをそっと祠の中に納めるリナ。ネットリとした快感が進也を急襲し、進也を犬から狼に変えていく。

進也はリナを抱き上げ、隣の部屋に連れて行く。そこはリビングより少し薄暗い、まだカーテンが開け切られていない空間だった。

「愛してるって言うて。」

「リナ、誰よりも愛してる。」

「シンちゃん。」

ベッドの中にもぐりこんだ時には、既に二人は生まれたままの姿だった。

熱い息遣いと立ち上る体温が、あっという間にその空間をツンドラからサバンナへと変えていく。

リナは大黒様への愛撫を続けていた。進也も洞窟の奥底で湧き上がる泉への参拝と入り口の呼び鈴を押し続けていた。

やがてリナは進也の洞窟への参拝を遠慮願い、大黒柱へのあいさつに集中する。貫くような快感が進也を襲い、リナへ降参の伝令を発信したが、それは許されなかった。

やがて大黒天は力尽き、リナの祠の中でご祈祷の溜息を吐くことになる。

「うふふ。まだいけるやんな。」

リナは妖艶な笑みを見せて、さらに大黒様を奮い立たせる。進也も前回の情事から一週間も開いているので、連投は可能な体勢を整えていた。想定内の登板である。

進也は美しく輝くリナのボディラインを膝の上に抱き、柔らかくネットリとした女神様を呼び起こす。彼女も応戦するが、息遣いは既に乱れている。

進也の手は探検隊を派遣することとなり、早急に洞窟内の探検を始めた。奥深くの泉からは熱い湧き立ちが発見され、ゆっくりとした掘削が始められる。その動きに合い重なったオルガンの響きが漏れるように奏でられる。

やがて虚ろな目となったリナの瞳が進也を求めた。

既に狼と化している進也の大黒様は、やや強引に侵入を試みる。いきなり激しい動きから始まった舞踏会は、前後左右に舞台を入れ替えてリズムを刻み、リナのダンスも華麗な動きから妖艶な動きへと変わっていく。

連投であるがゆえに、どの舞台への続投も可能であったが、リナの唱える魔法の呪文によって、狼が満月から視線をそらすことになる。

「リナの中でイって。」

進也はその呪文により狼の化身となった姿から解放される。満足感と達成感を誇る咆哮とともに。

冬だというのに、二人の体からはもうもうとした湯気が沸き立っていた。それだけ熱く燃え上がった二人の体は、二人の愛の深さを意味していた。

「もしかして毎週土曜日の朝はシンちゃんに犯されるん?」

「人聞きの悪いこと言うたらアカン。リナのこと欲しくなったんは間違いないけど、先にもろ肌を見せたのはリナの方やで。」

「シンちゃんの顔みたら、抱いて欲しくなったんやもん。」

「もうしばらくこのまま抱いててもええかな。」

「うん。」

二人の余韻は半時ほど続く。


やがて少し冷めた体を夢から覚醒させるように奮い起こす。

「さあ、今日の目的を果たさな。」

「そうや、札幌のプランを立てんねん。」

やや名残惜しみながら互いの肌を離して、進也はコーヒーの準備を、リナはパンフレットの準備を始める。

「シンちゃんは北海道に行った事あるん?」

「出張で何回かね。」

「札幌も行った?」

「一回だけな。でもウロウロしたわけやないから、あんまりわからんで。」

そこでリナは札幌の観光案内と地図を取り出す。定番の時計台や雪祭りの写真などが前面に押し出されている。

「クリスマスやから、町中はサンタさんで溢れ返ってるんやろな。」

「大阪のサンタも札幌のサンタも変わらんと思うけど。」

「まあそれはそれとして、初めてやから時計台だけは見ときたい。噂ではしょぼいって聞いてるけど、どんだけしょぼいか確認しとかなな。」

「後はどうする?札幌市内って他に見るとこあんまりなさそうやな。小樽まで行って海産物鱈腹食べよか。」

「そんなんしてホテルのディナー食べれんようになったら嫌や。」

「ほんなら、お昼はススキノでラーメンでも食べるか?」

「そんなんでええで。温泉は?どっか近くにないんかな。」

「調べてみよか。どれどれ。」

進也はパソコンを使ってインターネットで検索してみる。

「あったあった、露天風呂で真駒内からバスが出てる。」

「それええな、ほんで日帰りできるんやったらベストやな。」

「初日は時計台とテレビ塔ぐらい行って、温泉を翌日にしたらええねん。飛行機のチケットは何時?」

「行きは朝の十時、帰りは夕方の六時のチケットやな。」

「ゆっくりできそうやな。リナ様様やな。」

リビングでも二人の抱擁タイムは尽きることはない。普通の恋人たちが部屋の中でイチャイチャしている光景とさほど違いはないだろう。

「札幌のプランも決まったことやし、お昼食べに行こ。」

「うん。」

そして進也はクルマでリナを連れ出した。

「どこへ行くん?遠いとこ?」

「そんな遠くない。肉食女子のために探しといたランチスポットへ行こかなって。」

「なになに?」

「それは行ってのお楽しみ。」

二人を乗せたクルマは国道を京都の方面へ向かって走る。そしてお目当ての店は二十分程で着いた。

なんともアメリカンチックな風貌の建物だ。

「ここはね、ハンバーグが美味しいんやって。」

「誰から聞いたん?ネットで調べたん?」

「実はな、ここは親方の知り合いがやってる店らしいねん。一回行ってやってくれって言われててん。」

「絶対に美味しいって言わなアカンな。」

「ウソは吐かんでエエねんで。」

二人は手をつなぎながら扉を開いた。

店の中は瀟洒な絨毯と高貴なカーテンで豪華に装飾が施されていた。真っ白なテーブルクロスと赤いナプキンのコントラストが眼に飛び込んでくる。

するするとウエイターが近寄ってきて、二人を窓際のテーブルへとエスコートした。

お昼のランチはハンバーグのセットとビーフシチューのセットとメンチカツのセットから選ぶことになっている。クルマで来ているので、もちろんワインはお預けだ。

「リナはハンバーグのセットにする。」

「じゃあボクはメンチカツのセットにしようかな。」

「後で分け分けしよな。」

リナのこういったところも進也の好きなところである。たまにシェアするのを嫌がる人がいる。フードアナリストではないけれど、食べるのが好きな進也はできるだけ同伴の人と違うものを注文して多くをシェアして食べたいタイプなので、リナが率先してシェアしてくれると、ますます楽しみが広がるというものだ。

「札幌の予行演習になるかな。」

セットなのでサラダとスープもついてくる。今日のスープはミネストローネだった。野菜たっぷりのスープは肉料理のセットについているとありがたい。サラダはポテトとパンプキンのマッシュにアボカドとセロリのスライスをレタスの上に添えたものだった。酸味の利いたドレッシングが妙にマッチしていた。

サイドメニューを楽しんでいると、やがてメインディッシュが運ばれてくる。

「うん、ハンバーグ美味しいよ。」

「メンチもいけるよ。」

後は半分ずつを分け合いながら楽しいランチを堪能した。

「どうやらウソは吐かんでもエエ感じかな。」

「そうやな、親方にエエ報告ができそうやな。」

後はデザートのアイスクリームを平らげて、本日のランチタイムは終了となる。

「ちょっとランチにしては贅沢やな。まあ札幌行きのお祝いと思えばええか。」

「ボクは無駄遣いしてないから、そんな心配せんでもええねんで。」

「うふふ。」


ランチの後、一旦部屋に戻ってイチャイチャする時間を過ごしてから、二人で親方の待つホルモン屋に出かける。このパターンが土曜日のデフォのスケジュールになりつつあるようだ。

この夜も親方はリナの訪問を待ちわび、同様に秀雄も手薬煉を引いて待っていた。

そんな土曜日が終わろうとする頃、親方が一つのプランを提案する。

「来週の土曜日はクリスマスイブやけど、シンちゃんとリナちゃんは札幌へ行ってまうやろ、せやから金曜日の晩にここでクリスマスパーティーやらんか。」

「親方、店はどうすんの。」

「店は普通に営業するで。ワシとお前さんらとだけのパーティーや。リナちゃん何時に来られる?」

「そうやな、七時ごろやったら来れるで。」

「ほんならクリスマスパーティーは七時開演や。七面鳥用意しといたるさかい、楽しみにしとき。」

こうしていつもの賑やかな土曜日はお開きとなった。翌週のパーティーを予告して。



翌週の水曜日。進也は会社で秀雄に呼び止められる。

「シンちゃん、昼飯一緒にどうや?奢るで。」

突然の申し出に戸惑う進也。

「いきなりどうしたん。」

秀雄にしては珍しく、なんだかもじもじしながら言い出しにくそうに話し出す。

「実はな、オイラも真剣にマヤちゃんとご飯に行きたいと思っててな、いやホンマにご飯だけでエエねん。そんときにな、どうやって言うたらエエか教えてもらおうと思てな。」

秀雄の魂胆は理解できた。しかし、それをそのまま賛同するわけにはいかない。

「ヒデちゃん。気持ちは解ってあげたいけど、やっぱりそれは順番が逆やで。奥さんおるうちは本気で誘ったらアカン。マヤさんにも迷惑がかかるんやで。本気で誘うってことはそういうことやと思うねん。ボクも本気で誘ったのは、離婚がほぼ決着してからや。相手のこと思うんやったら、それぐらいの気は使わなアカンで。女の子はみんな解ってるから、アホなお誘いに乗って来ないんやで。」

進也の眼差しが本気だったので、秀雄もそれ以上は聞かなかった。

「なるほど、本気で誘うってそういうことやったんか。相手の迷惑のことまでは想像できんかったわ。」

「下手したらヒデちゃん両方から訴えられて、両方の裁判に負けるで。」

「そらイカンな。ほんならさっそく離婚の準備しよ。」

結局のところ話の方向は別のところへ行ってしまうのだが、・・・。

「まあええやん。ええこと聞かしてもろたお礼に昼飯奢るわ。」

秀雄は何としてでも進也と一緒にランチをしたいのか。断る理由もないまま進也は秀雄について行く。

いつものようにグロテスクな店に連れて行くのかと思いきや、普通の蕎麦屋だった。

「ココの天丼が美味いねん。シンちゃんは上天丼にしぃ、オイラはアナゴ天丼にするから。」

そして注文を取りにやってきたのは、この店の娘かと思われる可愛い女の子だった。進也の上天丼と秀雄のアナゴ天丼を注文し終わると、秀雄は進也に耳打ちをする。

「どうや、可愛い子やろ?あの子もええなあって思ってんねん。」

進也は呆れかれるしかなかった。

「マヤちゃんの話は何やったん?」

「マヤちゃんは本命やん。あの子は押さえやん。」

「ココの昼飯、割り勘でエエから、その話は聞かんかったことにしとくわ。」

慌てて進也を抑制する秀雄。

「まあ慌てなさんな。親方も言うてたやろ。オイラの大らかなところも学べよって。」

「それは『エロナイ』の話やろ。その時期はもう終わってるで。」

「さよか。まあええわい。さっきの話の礼やから、ここは奢らせろ。それと札幌旅行の餞別もあるし。お土産期待してるで。」

このあっけらかんとした性格が進也には無いものだった。彼と長く付き合っていられるのも、彼に一種の憧れを持っているからかもしれない。そう思っていた。

さて、上天丼のお返しの土産はどうするかな。

憎めない相棒にほくそ笑む進也であった。



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