18. ※オッチマ=watchmanってことです。わかりにくいね
◆
オッチマ:つまり、本当は うー・みん なんですか?
:そうです😁 中国語で
:オッチマさんはもう知らない世代カナ😖
:だから
:ワタシもその頃を引きずってて、、、😋
:最近の子はソウでもないみたいけど、個人を特定されるような
オッチマ:そうですね…
うっ。
ボクの
元の話から随分
オッチマ:それで言えば、クラスタのメンバーの名前は
:ええ、私から見れば不思議なのですが、、、😅
オッチマ:多分ですが、うーみんさんとはネットに対する感覚が違うんです。つまり
:
オッチマ:まあ、だから利用できたわけですけど
◆
火曜の朝、ソコツネクラスタの
普段なら優ッキーナが来ることは無い時間。SHRにはまだまだあるし、部活の
教室に入れば生徒が三人。
二人は後方真ん中辺りで雑談をしている。オタクで太った男子と、何かと
それどころじゃないのだ。
残る一人、クラスタの構成員:2-4レフト@bertoltbooverは教室の窓より前側の席。強張った表情で優ッキーナを出迎える。
「なに?」
2-4レフトは、なるべく短く早く喋ろうとしていた。サブ・ターゲットがいるし、昨晩急に呼び出してきたこの相手を強く警戒している。
優ッキーナのフォロワーは百十三で2-4レフトの倍近いし、㊙情報と距離の近い
ピクと眉を
「今日のやつさあ」
案の定、2-4レフトが
「うちのボール使うの止めてよ」
この会話を理解するには、先週
ソコツネさん㊙情報@sokotsunemaruhi
ソコツネさんはゴムの区別がつかないので、校内にあるボールというボールを
ソコツネクラスタが㊙情報のお
一つ目は
二つ目は計画。ほとんどの場合、
三つ目は説明。末端の構成員に個別にDMで説明が行われ、彼ら彼女らが
狙い目は『計画』を
teilorのような幹部が
「
優ッキーナ本人はバスケ部の部長やキャプテンではないが、彼が声を掛ければ部員は活き活きと動くし、黙っていれば
「でも、あー、大丈夫って聞いてたんで」
「大丈夫? 誰が言ったの?」
「ヒラ、いや、ルイス……」
優ッキーナが舌打ちする。
今回の場合、案を出した幹部:ルイス@CarpLewis0は中級構成員上がりで特に運動部系の人脈が広い。バスケットボールが選ばれたのは、バスケ部の構成員にも
通常ならソコツネさんに対し使われた
だがルイスはそうしない、とボクは読んだ。
「は? 特殊なカーボンがあれば
「な、なるほど……奥深いんだね二次創作って……」
末端の実行役でしかない2-4レフトに取れる手と言えばこれしかない。
「は、何してんの」
「悪いけど……ルイス呼んだから」
2-4レフトがスマホを操作すると、隣の教室の戸が開く音。
「バスケ部とバレー部のことは二人でやってくれよ」
四組の教室に入ってきたルイスは
2-4レフトが身を退き、向かいあった二人の間にピリっと緊張が走る。
「もう決まっちゃってんだよね。そっちの後輩君も今ボール持ってくるところだから」
ルイスのにべもない言葉に優ッキーナは歯を振り乱して怒りの表情をつくる。
「アンタんとこのボールにしてよ。アンタが言い出したことなんだから」
「いやバレーボール、ゴムでできてねーし。見たこと無いの?」
「皮剥けばゴムでしょ!」
ルイスはここまで突っかかってくることを意外に思ったろう。バスケ部とバレー部の仲が険悪なのは周知のこと。練習場所の体育館を共有していることに
が、部員数の差でいつもバスケ部が
今回もそれで済むはず、ルイスはダメ押しの事実を告げる。
「あのさ、知らないのかもしれないけど、タシロにももう話は通してあるから。お前が騒いでるだけ」
「関係ねーよ」
「は?」
2-4レフトが思わず口を挟み、更に優ッキーナの怒りを
「お前ら女子が調子こくんじゃねえよ!!」
そして、優ッキーナこと、男バスのエース・ネモトユウタはルイスを突き飛ばした。
ガシャンガシャン!!
机や椅子が倒れ、ルイスこと女バレ部長・ヒラタミズキさんが床にくず折れる。
「お前何やってんの!?」
「ムカつくんだよアンタらよお!」
2-4レフトことうちのクラスのヒラバヤシさんが制止するが、
「クラスも部活中もネットでも群れてギャーギャー騒いで俺の邪魔しやがって!!」
「え、先輩!?」
そこにボールを抱えた男バスの後輩がやってきて
普段は気さくな先輩が声を荒らげ女子を殴ろうとしていたのだから。
後輩は止めに入るが、怒りのままネモトは暴れ、他のクラスにも広まる。
「どうしたの?」
「い、いや……」
ボクの目の前で、タナカは呆気に取られてネモトのヒステリーを眺めていた。
「まあ、いいじゃない。話を続けてよ」
「あ、ああ。な、何の話だったか……」
まだ目を白黒させるタナカにボクは唇を一舐め。
「忘れちゃったの? ならさ、オカルトの話でもしない?」
「オカルト?」
「ハラダ君が詳しくてね……タナカ君も知らない? ボク、興味があるんだ。ほら、ハラダ君のことでも、できることがあるかもしれないから」
ちょうどそう言った時、教室に先生達が駆け込んできた。
◆
やったことは簡単。
土日の間に特定したソコツネクラスタのメンバーにメッセージを送っただけ。
LINEでクラスタに悩まされていると相談の態だったり、ツイッターで潜入していた
内容は誰が何をしているとか、どう言っていたとかそれだけ。
無論クラスタ内に対立関係を持つ子達が
元々ソコツネクラスタに参加する子達は攻撃性が高い。
だから、送る相手のあまり知られてない対立構造を利用した。
優ッキーナは
男女、
何かに見せかけて何かの対立。そういう関係性の
朝ほど大きいのは少ないが、昼休みにも幾つか火を
本人のコンプレックスと混ざり合った他人への
これはアルガ先生から習った。
「先生、クラスタ、やっぱり大変なことになってしまいました」
「そうね、どうしてでしょう」
先生はボクを見ず、窓を見ながら答えた。
組んだ脚をフルフルと
今日の国研はいつもより寒い。学校で起きた幾つかの揉め事の為に先生らも忙しいのだろう。アルガ先生の足元のストーブも
「まあ、数日あれば表向きは落ち着くと思います」
「そう思うんだ」
「はい。クラスタの子達もそろそろ末端まで何かされたという空気が行き渡ったことでしょう。新しい対策が幹部か㊙情報から発せられて
「……」
少し口を止めたが、沈黙。
フルフルと衣擦れの音。
まだ喋る。
「でも、代わりにクラスタ全体に攻撃されたという
ピクリと先生が肩を揺らした。
畳み掛ける。
「そう言えば、聞いた話ですけどソコツネクラスタに、いや、その
ボクはグッと身を乗り出した。
「乗り換えるんなら、早いうちが、いいんじゃないでしょうか?」
貧乏ゆすりが止まる。
先生はものすごくゆっくり椅子を回して、最後にボクに顔を見せた。
「モロズミさん」
いつも通りの、ひまわりのような笑み。
「今日ルイスは失敗したけれど、彼女はクラスタを利用し友達を拡大していた。その伝手で先生達相手でも上手にやりとりし、クラスタだけでなく部活や自分の
ソコツネクラスタは今や単にソコツネさん㊙情報のツイートを現実にする
一人の女子生徒を中心に、生徒・教師・地域住民が相互に行動を監視し干渉し合うことで、結果的に校内の平穏を保つ
ボクは唇の端をほんのり曲げ、口を開く。
「わかりません」
先生は少しの間、黙って微笑んでから机の方に目を反らした。
「ごめんなさい、今日はこの後ソコツネさんが来ることになっているから。もういいかな?」
「はい」
ボクは軽く頭を下げ、教室を後にした。
◆
少し気分が良い。
明日もまだ“爆弾”が
もう一つ、ついでに進めている方も順調だし…………。
上手く行ってる!
ふふふ、と思わず笑い声が出かけてマナちゃんと目が合った。
彼女はコートのポケットに手を突っ込んでふんと鼻を鳴らす。
「何笑ってんの、キモいなあ」
「別に?」
大丈夫、今日は余裕を持って返事できた。
気持ち反っくり返って、偉ぶって言う。
「じゃ、行こうか」
「はいはい」
ボクから歩き出し、マナちゃんがそれに続いた。
「ミハルちゃんさ、頑張ってるみたいだけどさ、大丈夫なの、色々」
先に喋るのは彼女。心なしか浮かない声。
クラスタへの被害に対する
「うーん、まあそうだけど。マナちゃんを止めないともっと大変なことになるから」
背後からくぐもった苦笑が聞こえる。
「ずいぶん好かれちゃったな」
「まあね。それで、マナちゃんおハナシの調子はどうなの?
土日の間にネットと図書館に行って少しは御柱や
御柱
ただし、それはカエルだ。正月にカエルを小さい弓で射るのだそうだ。昔だってシカとか動物だけ。人身御供説を裏付ける
マナちゃんはハーと溜め息。
「まだわかってないの? 大事なのは」
「あれがあって……それからハナシがある、でしょ?」
何故だかすっと記憶から言葉が蘇った。
うーみんさんにも似たようなことを言われた気がする。
「ハナシ自体は嘘でも良い、わかるよ。でも、怖いハナシを作るのにまずあれが必要だとするならば……今度のそれは何?」
良い感じに繋げられた。
誇らしげに後ろを向くとマナちゃんは立ち止まっている。
すごい怠そうな顔。
ハッと振り向き直すと下駄箱からユキが顔を覗かせていた。
……。
わっわっわっ。
「じゃ、じゃあ今日は、ここで!」
ボクは駆け出してユキの元に向かう。
「ど、ど、どうしたの!! は、早く帰ったんじゃなかったの!?」
「知らないけど」
飛びっきり不愛想に返事するとユキはしゃがんで靴を履き始める。
「どういうつもり?」
ぼそっと聞いてきた。
ボクが答える前に彼女は外へ歩き出す。
「あ、あのね」
「ミハル、一体何がしたいの?」
「何って……」
風が強い日で、乾いた唇がピキッと引きつった。
ユキは数歩歩くと立ち止まり、
アーモンド形の瞳が鋭く光って、まっすぐ見れない。
「守りたいだけだよ……」
「誰を?」
ボクは口ごもり、その後、家に着くまで二人とも何も言わなかった。
◆
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