テスト
@hasegawatomo
1人目
出来たてのポップコーンの香りがした。しかも家のフライパンで作ってまだなんの味付けもしてない、ただの弾けただけのポップコーン。それが第一印象だった。
髪の毛は、落ち着きのない子供が、病院でうろうろして母親に怒られ、どっちにしたって救いようのない色を
眉も目も鼻も口もバランスを失ってはいるものの、それを神様に許されこの世に
父親は言うだろう「お前は母さん似だな。目じりなんか特にそうじゃないか。若い頃の母さんの目じりはよく笑っていたよ。なに、今がそうじゃないわけじゃないんだ。ただ思い出してな」煙草をやめると言って
母親はこう言うだろう「その口のきき方、父さんに似てきたわね。育てたのは私なのにねぇ。そういえば、最後に家族で撮った写真はいつだったかしら。年賀状にあなたの写真が無くなったって、おばあちゃん淋しそうに毎年言ってるのよ」食器を洗う音であまりよくは聞こえないが、それを気にする母親ではなかった。
父親似でも母親似でも構わないその鼻は、意味のない呼吸を、意味のないなんてあえて言う事もなく、
首筋に年輪は少なく、一筆書きで腕と繋がっていた。その先には、都会の森の中で生き残りをかけて建ち続ける、古びた一軒家のような手のひらがあった。そこには三百年相当の苦労が
はて、ずいぶんとここだけ印象が違う。音を立てて閉まるしかない玄関。いったん消えて点灯する部屋の明かり。かつては現役であった、手油の上に
だがその手は生き方を変えられない。己を貫き、どこかで自分は不器用だと感じているのだ。その手以外の上半身は
花火。
そう、その年で一番早い祭りの打ち上げ花火だ。
「こっちで自己紹介を」
そう言われて少し冷めたポップコーンが近づいてくる。足元はちかちかと昼間の線香花火。
「初めまして」
真綿に音符が絡まった。月光のごとき声に、私は驚くばかりだ。全身がかもちだす雰囲気に比べたら、なんと落ち着いた
だが私は偶然にも、か細い目の奥のあった一瞬の眼光をとらえた。それは火打石のような竜巻のような。ただ
「コダマアオイです」
宜しくお願いしますとその男は言って、その場を去った。ずいぶんと訳ありな若者だと私はカミサマと言われるナニモノカに嫌味を含んで言うのだった。
テスト @hasegawatomo
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