第39話

こうして夜が明け、今度はユリアと一緒にギルドへと向かうところであった。



「こうしていると、デートみたい」


「ああ、そうだな」



と言いながらユリアは自然に腕を組みはじめ、まるで創太の妻の様に振る舞うその姿ともともと整っていた容姿に町の人々がその可愛さに引かれクイッと首を向けては「ほわあ~」となっている様子と同時に創太への嫉妬の目線が死ぬほどに浴びせられており、創太は別に恋人でもないのにと若干面倒な気持ちと一緒にため息をはいていた。



「なあなあそこの可愛いお嬢さn」


「おい、俺の連れに用か?」



と威圧と魔力を解放させ面倒事になる前に回避させる。最近の創太は少し学んだことがある、それは「やられる前にやる」だ。そうすれば大抵の問題はスルー出来ることに気付いた。と同時に



「し、失礼しましたー!」



そういう叫びと共に濡れた股間を抑えながら走っていく姿を見て先ほどまで憤怒や嫉妬の目を向けていた人々が一斉に目をそらし始めた。前の解放で創太がやったとは知らずとも本能は警笛を鳴らしているのだろう。面倒事が多すぎて創太は最近おかしいなと思いながらギルドへ着いた。




「ようこそ、グリューン王国ギルド本部へ」



というもうおなじみになった定型文であいさつされ、ユリアを連れているので冒険者の目線がきつく刺さる中、創太達はカウンターの方に行き



「ランクアップ試験を受ける旨を伝えに来たんだが」


「あら、ソウタ様。ランクアップの件、了承していただけましたか、ではこちらに」


「その前に俺の連れも連れて行っていいか?」


「ええ、構いませんよ」



そして創太はランクアップの試験を受けにユリアと2階に上がったのだが、そこにあったのはミニ闘技場みたいなそんな施設だった。



「今回ランクアップの試験として受けてもらうのは模擬戦です、我々の用意するAランク以上の方にある程度の合格点がもらえるまでの5分間戦ってもらいます。武器はお互いに木刀を支給し、魔術も認める事とします」


「ルールは分かった、で相手は?」


「どうぞ、フエルさん」


「は~い、今回試験官を担当しますフエルです~」


「では審判は私とフエルさんが務めます」


「よろしく~」


「では早速ですが始めましょう、どうぞおあがりください」




「では掛け声は私が、――――双方っ。はじめっ!」



そういった瞬間にフエルの木刀はまるで槍を連想させるような突きを放ってきたが創太には見えているので軽く躱し、防御の甘い急所を叩こうとするが防がれる。



「へえ、結構やるね~、これだけでもすごいと思うねー」



そういいながら突きを軸として斬撃の嵐が降って来るが創太は難なく躱し攻撃に移る。躱し攻撃する、それを躱される。それの繰り返しが続き、そして膠着状態が続き始めたその時だった、創太は



「じゃあ、本気出すんで」



その一言で創太は一瞬どころではない程に加速しフエルの今いるところでトップスピードになるよう計算してギアを上げ木刀を無駄がない動きで振りぬく。


だがそれでもAランクの名は伊達ではなく、一撃を何とか意地で押し返すことが出来たが余計に態勢が悪くなる。そこを創太は逃さず木刀をフエルの首元に当て



「終わりだ。」


「しょ、勝者!ナカミヤ ソウタ!」



その掛け声で、勝負は決まった。

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