第38話

「じゃあ取りあえずギルドから出ようか、兄ちゃんよぉ?」


と言って、ギルドから創太の背中を押し出ていく、創太は出たことを確認し、オッサン5人組と向かい合う。


「で、何か用か?俺忙しんだが、手短に頼む」



「じゃあ簡潔に、さっきのインチキで貰った金を俺たちに全部渡せ、あの金はどうやってインチキしたか分からんが、そんな事でランクを上げる奴がいないでもないからな、俺たちが取り締まってんのよ」


という欲望丸出しの虫唾が走る考えを言い放つと、取り巻き共がおだてる。


「よっ!ランクA」

「ヒューヒュー」

「やっちまいな!」


等の言葉を創太に投げつける。そして


「おい~何か返事しろよ、イ・ン・チ・キ、よお~」


オッサン5人衆のリーダー格であるそいつが、創太の肩に手を掛けそういい吐き捨てた。だが・・・・











そう言った瞬間、そいつの腕が無くなった。











「お、お、おれの腕がァァァァ!!痛え!痛えよおぉぉぉぉぉぉ!!」


「よくお前がそんなこと言えんな、まあいい。最後に一つ、お前らが死ぬ前に言っとくぞ。お前らは、選択を、間違えた。」



そして創太は取り巻き4人の腕を無くす。5人が喚くがどうでもいいことだ。そして創太は唱える



「足よ、消えろ」



その瞬間5人組の足が消え、痛みに襲われる。それでも創太は、



「腰回りから下、消えろ」



そしてまた消える。



「ふ、ふざけんなよォ!こんなことして楽しいのかよォ!」


「お前らが言うなよ。もう顔も見たくない、じゃあな」



そう言い残した瞬間、あの5人組の体は無くなった…と思われたが、



「ふう、俺はここに来てからああいうのが一番嫌いだからな、少しお灸を据えてやったぐらいでバチは当たらないだろうしな、しっかしイライラしたな~。まあもうそこでギルド職員に見つけてもらうまで地獄の責め苦に耐えておけよ、俺に絡んだ罰だと思って、な」



創太は幻覚を見せていたようで、見かけはただただおっさん5人が痛みでわめき散らしているという事実だけが残る。そうして創太は何食わぬ顔をしてギルドに報告した。



「こいつ、Aランクのタイラか!しかしどうして…」


「この少年はランクEか、どうして」


「しかも魔術?か?これは、見たこともないぞ、こんな魔術は」



訂正、少しバチが当たったみたいだ。


ちなみにあの魔術は「暗黒支配ー(ブラックインペル)-」という神術で、相手に幻術をかけてその五感を奪い、操ることのできる能力で、さっきみたいに痛覚を刺激したりなどの事が簡単にできてしまう魔術だ。


ギルドには事のあらましを一部改変して教えた。これぐらいはしないと俺が異端児に見られる。それは少しきついだろうから自然な感じにアレンジする。


「そうか、ありがとう。では今回の処分は厳重注意とする」


「何故だ?理由を教えろ」


「実はこのタイラとそのグループである5人組は何かと理由をつけてはルーキーであるE,Dランクの冒険者たちに脅迫まがいの事をしていてね、ギルドも何度も注意や処分をしているが何かと理由をつけてはギルドの為と話すもんだから大きく出られなかったんだよ」


「そうか」



と事情聴取が終わったところですぐに宿に帰った。そして戻ると




「あっソウター!お帰り、どうだった」


「ソウタ、お帰り」



そしてある程度のあらましを話し、



「それはやっぱりひどいね、やって正解だったと思うよ」


「うんっ…その通りだと思う」


「そうか…それと今後の事だが、まずはここの宿が今日泊まるともう一回払わなければ無理なので宿を変えよう」


「うん…それはそうだと思うよ」



それもそうだろう。だって地上に出て右も左もわからず、ここしか宿が空いてないという状況にまで陥ってしまったので、仕方なくここにしたはいいものを、部屋は6畳ぐらいに雑魚寝で、食事もカッチカチのパンに味の薄いシチューというもので、日本の生活が最低基準の創太だったので思わず<WORLD EDIT>を使って創ってしまったほどだ。ちなみに食料を作れることを知り、迷宮のあのレイルボアはなんだと思わず叫んでしまったほどだ。



「ということで一雫の作戦で稼いだ金が約10000コルぐらいはあると思うが、もう少し稼いでいこうと思う、そして一雫は宿でも探してくれ、というかもう探してるんだろ?」


「YES。マスター。もう何件かのアポはもう取っていますので気楽にどうぞ」

「それと一雫、後で2人で話そう、話したいことがある」

「YES。マスター、ではマスターの世界で、ということでどうですか?」

「いいね。分かった」

「じゃあ今日は寝ようか、おやすみ」

「「おやすみ」」






創太の世界にて



「一雫、俺の能力は把握してるだろ?」


「YES。マスター、あなたが何を言いたいのかも予測が37個前後ありますが…予測できました、創無神眼の視野拡大と移動の問題ですか」


「話が早くて助かる、一雫の精霊を使って俺が指定する範囲を精霊でマッピング的なことをしてもらいたい、何処を埋めるかは一雫に任せる、俺にもやりたいことがある。一雫と同じようにな?まあ俺の役に立ちたいという一雫の事を信じている、だからこそある程度の権限を与えている。分かるな?」


「YES。マスター、御心のままに。この体から魂の一欠片まで、全てを貴方のもとへ」


「期待している、一雫」


「失礼いたします。マスター」



そうして一雫は創太の世界から消えた。



「一雫が何をしているかは……まあいいか」



こうして創太も自分の世界から消えた。一雫の行動に若干の不安を残しながら―――








「これであのグリューン王国も終わりだ、キヒヒヒ!!」


そんな声が夜の森に木霊する。そんな雲行き怪しい夜になったことを一雫を除いては知る由もなく、夜が明けていく……。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る