第三章『地上復活』編
第33話
「じゃあ、準備はいいか2人とも」
「「ああ うん」」
「俺たちは様々な事があって、今は地上を目指した。ある者は仲間に裏切られ、ある者は5000年以上もこの迷宮に閉じ込められ、そしてある者は国に裏切られ、途方もない。自分では分からない時間をここで過ごした奴もいる」
そう創太が言うとアルとユリアは顔をしかめたが、怒っているわけでもなく、覚悟を持った目をしていた。
「でも俺たちは生き残った。時に苦しい時もあったが生き残った。そして生き残りさえすればこっちの勝ちだ。俺たちはなんとしてでも生きて、俺たちのやりたい事を全力で、理不尽なまでにやらなきゃいけない。
「もう俺たちは楽しんでもいいんじゃないか?喜んでもいいんじゃないか?時に楽しみ、笑い、そして空を見上げ、時に海をみて、あの大地で過ごしてもいいんじゃないか?だから俺はもう自重しない、俺は俺の為だけに生きる。俺のために、俺の為だけに。だから俺はいく、あの地上に」
「うんっ!」
「ああっ!」
「じゃあ出るか、俺たちの望みに向かって」
こうして創太は迷宮の権限を発動し、第3層。裏道の扉前に転移する。
そして一雫に調べてもらった「ファンネル大谷」から俺たちの地上への冒険が始まる。それは中宮創太という者の存在が、世界というちっぽけな存在に遂に姿を現す時であったことを、この時はまだ、一雫しか知らなかった……。
「それではお気を付けください、そして行ってらっしゃいませ」
「ああ、行ってくる。ここの管理は一雫の元でやってくれ、任せたぞ」
「ありがとうございます」
そういって創太は権限を発動させ3層に行き、裏道の扉へと転移した。そしてついに
「創太っ!!あれ見て!」
そこに見えたのは地上の……太陽の暖かい光が一部見えた。
「遂に…遂に…」
「ああ やっとだ、やっと光が見えた――――」
創太とアルが感動しながらも声を紡ぎ、ユリアは声も出せていないがそれでも創太の腕をギュッと掴んでいる。そして太陽の光が見えたと同時に創太の腕を握る強さが強くなっていった。きっと喜んでいるのだろう。
創太達は走った。そして太陽の下の地面という物を・・3人は踏み、そして心を一切の感情を「喜び」というものに染めた。
「やっと帰ってきたぞー!!!!!!!!!!」
「んっーーーー!!!!!!!!!!!」
「僕、帰ってきたぞーーー!!!!!!!!!!!!」
その創太が踏んでいる大地「ファンネル大谷」は辺り一片が黄土色のごつごつした岩が見渡す限り見えていた、それでも創太は焦らずこれからの事を考える
「で、これからどうする?」
「まあ近い町とかを目指した方がいいんじゃない?僕は最近の町は知らないから意味ないけど」
「んっ、どうする?」
「もう創太のチート力で何とかしてくれない?」
「えっ、いいのか?じゃあ使おう」
といって創太は創無神眼Ωの透視を発動、約150kmを透視で確認する。そして。
「ここから北に約120km地点にグリューン王国がある、とりあえずそこに向かうか」
「どうやって?」
「ああユリア。どうやってでも、だ。例えば転移、もしくは俺がみんな抱えて走破」
「それも…いい、でも…久しぶりに歩きたい」
「うん ああ それもいいな、どうする?アル」
「僕も全然かまわないよ、創太」
「じゃあ決まりだ、歩くか」
こうして創太が歩いて約10分。視界はうっそうと茂った木で覆われ、地上で初めての魔物と遭遇した。
「どうする?創太?」
「うん、こうする」
ここで神剣『無』(創太の略称)を出し光速で切り倒す。魔物は声を出す暇もなく倒れる、もちろん当たり前なのだろう。
「やっぱ創太は強いね~もう感覚がマヒしてきたよ、所であの剣は・・・」
「おれが創った、それとほれ」
「えっと…これ何?」
「俺が来ているコートだ、最強の着心地と最高の防御力を持っている。あとユリアにも」
「んっ。創太、ありがとう」
「じゃあまた歩くかっ」
こうして創太は歩く、目指すは王国、グリューン王国だ。
◇
そうして歩くこと1時間。時に創太の全力疾走で運んでもらったものの、グリューン王国を囲む城壁がようやく見え始めた。
遂にグリューン王国を覆う壁とその門が創太達の視界に入った。そしてその門で並んでいる人たち、神眼で見てみると商人などが並んでいたので創太もその列に入り、そして創太達の順番になった。
「次の人はステータスプレート見せろ」
<おいアル、ステータスプレートって、何だ?>
<僕も分からないや…>
<じゃあユリア、アル、俺の話に合わせろ、いいな?>
<OK、分かった>
<んっ、分かった>
「すまないが俺たち大分遠い所からきてな、多分東の方からなんだが、ステータスプレートって何なんだ?」
「そうかお前知らないのか、じゃああの辺か、チャカ村あたりか?」
「そんな所は知らないが、もっと遠い所からだと思うぞ」
「…うむ。合格だ、犯罪歴が無いかどうか知りたいからこの水晶に手をおいてくれないか」
ちなみにチャカ村というのは無いらしい、そこではいと答えると怪しいということだ。
「ああ、分かった」
創太は神眼を使いその水晶を確認する。どうやらステータスの犯罪歴だけを見る道具だ、嘘はついていない様だな、ちなみに犯罪歴があると水晶が赤色に光り 逆は青色とのことだ、そして創太達は全員青色の様だ。
「あと1000コルをここを通るときの税を徴収させてもらっている、そして仮の身分証を発行するのにもう1000コル必要だ、合計6000コルの税を徴収する」
「俺たちお金もないんだが、この魔物の皮と肉がこのバッグの中に入ってある、これは6000コル分になるか?」
「こ…これは『アリゲー』じゃないか、あの森にいて討伐ランクBだぞ、どうやって討伐したんだ」
「で、どうなんだ?」
「うむ。問題ない、少し多いぐらいだ、大丈夫か?生活は……」
「ああ、見るからに怪しそうな俺たちを通してもらった礼だ」
「そうか…わかった。ありがたく受け取らせてもらう、じゃあ仮身分証を発行する。ついてきてくれ」
こうして創太は無事仮身分証を発行してもらい、街に入ることが出来た。
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