第34話
創太は街に入って10分の大通りを歩いていた。
「ギルドは確か…」
創太達は王国の門番から様々なアドバイスと地図を貰っていた。そして創太達は数あるアドバイスの中から創太の強い希望によりギルドに登録することになったのだ。
ちなみに創太は、異世界と言ったらギルドという地球の時の思い出を、少しでもかなえてあげたいというその一心でギルドを探しているが、そしてギルドにいざ行かんというときに、それは起きた。
「おっ 良い女いるじゃ~ん、ちょっとコッチで遊ばな~い?イイことしようよ。あっ そっちにも上物がいるね~、あっ 男は消えろよ。死にたくなかったらな」
「最もそこの女たちは壊れるかもしれないがな」
「アッハハハハ!!!、そうだな」
という防具、武器を着込んだ冒険者の様な6人組が現れた。しかもそこは町並みのど真ん中、住民は巻き添えを恐れて目も合わせようとしない。しかも創太に最初に話しかけられたのがこんな糞野郎で、内心怒りが渦巻き始める。
「僕は男だ!!」
アルがそう叫ぶが、男たちは冗談だと勘違いしたようだ。盛大に笑っている。だが反対に創太の顔は怒りでうつむいている。
「誰が?えっ、お前が、アッハハハハ!!、冗談もいい加減にしてくれよ。思わず笑っちまったじゃねえか」
◇
(なんで、俺はこんなにも怒ってるんだ?)
創太は怒りに身を任せながら、それでも考える。けど考えても考えても、答えは出ない。
(予想以上に、大事だったのかもな、ユリアや、アルの事が)
それを心の中で唱えた瞬間、ゆっくりと様々な思いでがフラッシュバックする。
(嗚呼、こんなにも思ってたんじゃねえか、俺は、お前らの事)
その瞬間、全てとはいかないが理解する。
(まあ、せっかく俺が”怒って”るんだ。この感覚に身を任せても、悪くは、ねえか…、精々懲らしめてくれ、俺)
そして、冷静な、知性を持った創太は消えて、怒りによってタガが外れた創太が、この異世界に降り立って初めての”怒り”を見せる。
◇
…創太はこの話をきいてどこから来たかもわからない怒りに驚きを覚えながら、それでも理解した。
この者共は俺たちの…俺の道を邪魔していることに…そしてアル、ユリアを俺から引き裂こうとしていることも、そして創太は完全に理解した。なぜかは分からない、どうなっているのかも分からないが、ただ一つ創太が言えるのは、今ここで何かしなければ、この先の旅に2人がいなくなるようなそんな気がすることだけ。最後に分かることは…それを守るためにはもう自重なんていらないことも創太がこの下衆どもを…滅ぼせる力があると…そして一人創太は思った。
こいつらは俺…いや俺たちの道を阻んでいると。そしてそんな哀れな子羊の様な奴は…俺が殺そうと…。
そうして「中宮創太」が、この世界の力の源である魔力を纏い動き始めるのに、1秒もかからなかった。
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同時刻 場所?????
どこか いつか 何もわからない。ただひとつわかることはこれが創太に関係することというだけ、そしてこの無限にある空間の中にただ一つ、下手したら地球ほどの体積が有るのではないかと言われてもおかしくないぐらいの卵の様な形をした「何か」がそこにあった。
そしてこの「何か」には強い魔力を持った札の様な者が数えるほどに貼られており、1枚1枚が全てアルの魔力…いや創太の魔力の何倍…いや創太よりもはるか何千京ものの魔力を持っている…そんなものがなぜこんなところにあるのか、どうやって作られたのか…それすら一切合切不明。
そしてもう一つ分かっているのは札の中の魔力が一番高い7つの札があるということだけ。
そしてその封印の札の一つに亀裂が入った、入ってしまった。
亀裂が入ったことにより、卵は魔力を吸って大きくなっていく…………。
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やれやれ、マスターは遂に第一ステップを突破した…フフフ ハハハハ!!‼まあ少し感情の操作がマスターの中から、マスター以外の誰かが干渉しているのが見えましたが、十中八九この卵の形をした何かでしょうが……やっぱり面白い、マスターという存在は実に私を楽しせていただけますね。だからこそ骨の髄一滴までお慕いし、そのすべてを献上したくなる。
こうして一雫は消える、薄気味悪い笑みを残して。
創太は完全に理解し、そして行動に出た。創太はその下手をすればこの街そのものが壊れるほどの魔力を自重無しに解放した。
創太の魔力はその時の状態によって魔力自身が色を変える、創太の色は…黒。それもどす黒い魔力を10桁 30桁…と解放していく、あの下衆どもは3桁で足がすくみ5桁で股間部分を濡らし、そして7桁で気絶しようとしていたが創太がそれを許さない。10桁で気絶をできなくさせた、もう声も出せないだろう、下衆共の体感時間では人を超越した恐怖を何十日も味わっていることだろう。
そしてこれを感じている人はもう「死ぬ」なんて思えない。
「死神」なんて小さいものではない。
「死」なんて言う言葉であらわせるものではない。
こんなものは言葉という「概念」では表せない。それぐらいの魔力がグリューン王国に広がっていた。
「ありがとう、感謝するよ、この異世界で初めて俺は怒ることが出来た。」
言葉は冷ややかな氷の様に澄んでいるが、顔はそれどころではない、魔力を100桁 500桁…とどんどん解放していく、そしてこの解放はもうグリューン王国全土にまで被害が広がっているが創太はお構いなしに1000桁へと突入する。1100…1200……1300……1400………1500と。そして創太はようやく理性を復活させる、魔力の解放を抑え、事態を収束させる。そしてこの魔力解放事件は、のちにグリューン王国の歴史に載るほどの大事件になることを創太はまだ知らない……………。
同時刻『グリューン王国』王の間。
「おっ、おっ、おと、おと、お父様、ここ、こ、この魔力は?」
「あ、あ、あ、ああ、そ、そうだな、分からない」
「で、ですが、この魔力は…」
「や、やっと落ち着いてきたな、我が娘よ」
「そ、そうですね、そしてこの魔力は」
「かの神剣ネギュルでも、Sランク冒険者全員の魔力を合わせても足りない程の魔力…これは調べたほうが良さそうだな…」
「今すぐ手配いたします。勇者達にも声をかけて警戒、及び捜索に当たらせます」
「ああ、頼むぞ」
「魔王を討伐し、この大陸をわがグリューンの名のもとに統一させなければ…」
「はい、お父様」
◇
同時刻 勇者たち異世界者組
「な、なんだったんだ、あ、あの力は…」
「も、もしかして、ま、魔王だったり、するのか…」
「じゃあ、俺たち、あんな奴に…勝てるのか?…」
「お、おいっ!そ、そんなこと言うなよ!」
「いやああああああ!!!!」
「も、もう、おっ、俺は・・・」
「みんな!落ち着いてくれっ!俺たちはこの魔力を出すような奴を…倒さなければならないかもしれない…だがっ!俺たちにはそれ以上の力があるっ!俺たちはあいつよりも強い!」
「そうだよな…」
「そうじゃなかったら俺たち呼んでないよな…」
「ありがとう!!」
「ヒュ~ヒュ~!!!」
「「「「パチパチパチパチ」」」」
◇
同時刻 ???????
「これは…神の気っ!!何でこんなところから…そうですか あの魔力は神が…これはお会いしないといけませんわね…行きましょう」
こうして創太達は気づかずに更なる面倒の種をまいてしまった事に創太達は知らない…。
◇
こうして魔力を解放し無事(?)に事件を解決した所でギルドに入っていくとそこには……数々の気絶した人が床に、椅子にと居た。
「えっと…アル、冒険者ギルドってこんなのだったか?」
「そんなわけないでしょう、全く創太は…いいかい!普段あんな魔力を解放することなんてみんなできないし、やらないの!それを創太はほぼ放ったから多分グリューン王国全土の一般市民が今伸びてるよ…創太っ!君の魔力でねっ!」
「まあいいじゃないか、おかげで俺もすっきりした、何も問題はない」
「ま まあいいけどさ、過ぎた話をしていても仕方ない、とりあえず受付に行こうか」
そして受付に行くと、もちろん職員全てが気絶していたが、一人、たった一人だけ、可愛らしい受付嬢が一人、営業スマイルでそこに立っていたのだ。
「ようこそ冒険者ギルド本部へ、貴方たちは…見ない顔ですが、今回は登録しに?」
「ああそうだ、俺たち3人で登録をしに来た」
「そうですか、ここのギルドの仕組みは知っていますか」
「いや、3人とも知らない。教えてくれると助かるのだが」
と言いつつ、創太はラノベの知識を用いて大体の事は知っているため、正直ウキウキしていた。
「はい、まずここのギルドにはランクがあり、それぞれ下からE D C B A。そして最高ランクのSがございます。そしてこのランクを上げるためには自らが依頼を受けていただき、その貢献度に応じて我々がそれをポイントにしていき、ある程度そのポイントを貯めていただいたらランクが上がります。ここまでよろしいですか」
「ああ、構わない」
「そしてギルドが紹介している依頼にもランクがありさっきと同じくE~Sまで、それぞれのランクから±1までのランクのクエストが受けられます。そしてギルドが緊急に依頼をだす「緊急依頼」があります 緊急依頼とはその名のとおり、街が危ない、モンスターが狂暴化して手が付けられない、なんていうときにギルドから出すことのできる依頼であり、この依頼はその時にもよりますが~ランクは強制参加ということがあります。ここまでで何か質問は?」
「ああ 無い」
「そしてランクを上げていただくと特典がございます。C Bはギルドに関係する所での買い物が安くなったりします。そして一番人気の特典はAランク以上になると組める『クラン』でしょうか」
「クラン?なんだそれは」
「クランとは言わば仲間の事を言います、クランになるためにはAランク以上の方をリーダーとし、最低でもBランク以上の方ではないと入ることさえできません。ですがその代わり恩恵は大きく、様々な特典が用意されています。そしてまだギルドには様々なことがあるのですが、さすがに長話も疲れたでしょうし、ここらあたりにいたしましょう。ここまでで何か質問は?」
「ああ 特にない」
「そして最後にようこそ、冒険者ギルド王国本部へ」
気絶した人々の中で、そのギルドの受付お嬢さんは静かに笑うのであった。
「ああそうですね、ギルドカードをお渡ししなければ、はい これ」
こうして渡されたのは、長方形の白いカード。
「ここに血を一滴垂らしたら、これはもうあなたの物です。これには所持者登録、そしてこのギルドカードはなくすとギルドの資格を失います。再発行は出来ますが、金貨1枚を必要としますのでご注意くださいそしてランクが上がるごとに色が変わり、Sランクになると黒に変わります。ではどうぞ」
そうして血を垂らしてギルドカードに自分の名前を刻まれたと思うと、そのあと少し返事とたわいのない会話をして、すぐさまギルドを後にした。
「それにしてもあの子、面白いわね……まあ、私でも一歩、それもコンマ一秒単位で気を緩めたら私も持っていかれてたかもしれないけど、面白い物も見れたしね。」
ギルドマスターでさえ気絶になっているこのギルド本部に経った一人笑みを浮かべている…たった一人、笑みを浮かべているのは「魔王七生軍」色欲のアスモデウス。その一人だった
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