第14話
君。とうとう『至った』んだね————じゃあ僕も切り札使って本気を出そうなっ!!」
この2人の戦いはもう光速すらも超えていた。アルが光速で動くことにも驚いたが、それよりも創太だ。
アルが召喚した神にも匹敵するような配下を召喚しては、創太が片っ端から一切、一発で屠る。
「へえ、さすがだね。どこでそんな力身に着けたの?」
「教えるわけねえだろ?」
「まあ、そうだよねっ!」
と、また光速で戦闘を再開する。創太はアルの動きを読み、一発の音で百発、千発と魔力弾を撃ち、一振りの音で5千回は切っている。
それぐらい今の創太は早い。今の創太なら時間の壁すらも超えて速くなることもできるだろう、経ったひと握りの拳で人を殴れば次元の彼方まで吹き飛び塵になるだろう。
今の創太はそれぐらいを造作もなくやってしまう…できてしまうぐらいには強いのだ。
対してアルは体と{神招来ノ義}で的確な位置で召喚し、時には肉壁、時には攻撃と切り替えて使い、拳で創太を倒そうとしていた。この激しい攻防は無限に続くかとも思われたが、先にスタミナが切れたのはアルの方だった。
アルがだんだん魔力を最大に込めたジャガートに掠りはじめ、そして長く苦しい戦いが30分、体感時間では1日。もしくは10日、50日にもなっているのでは……と。それぐらいに長く、苦しい。
そして中宮創太という人が人の限界を超えて戦っている……そしてついに、終わりという物は万物にあるように、この戦いにも終わりが見える。
「はあっ、はあっ、キミ。本当にどうなっているの、それ」
「さあ、どうなっているんだろうな、俺が一番知りたい」
「で、もう僕魔力ももうほとんどないし、早くやっちゃってほしいんだけど」
その発言は、遠い昔のように思える数分前とも昔々の過去のような戦いの際に放たれた。アルのある言葉を創太は思い出していた。
「アル……お前は戦士か?」
「…ふふふ……フフフフ………アハハハハハ!————そうだった、そうだったよ。ありがとう創太、長年ずっとあそこにいたから、思わず自分を忘れるところだったよ。ふぅ………僕は、戦士だ。————お互い決着をつけよう」
アルは自分を恥じた、なんて無知で子供だったのだろう。と…だがそれは創太には手に取るほどわかる。自分もさっきそうだったのだ。思いを忘れてしまっていたのだ。だからこそ、思い出し、それでもそれを貫こうとしているアルを、誰が責められるというのだろうか。
「1対1。お互い10m離れての一気討ち、それでどう?」
「うん!僕はそれでいいよ」
と創太とアルがお互い10m離れたところで、
「3…2…1…0!!」
始まった。中宮創太という人とアルスという神の戦いの終わりの始まりが、
お互いが背を向けず、ただただ目の前の敵に向かって突進する———創太は両手に相棒を持ち、アルスはその拳を創太に少しでも近づけようとする。
「俺はっ!!!仲宮 創太ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「創無神の名を持つ者。アルスぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」
この戦いにおいて、名を語らなければ失礼だ。そう創太は心から思い、アルも肌でぴりぴりと感じていたようだ。二ヤリと笑い返し同じように腹の底から声を出す。この戦いが、それぐらい創太たちの中で神聖な儀式の様だということを肌から感じていた。
「はああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
「ううううおりゃあああああああああああああああああ!!!!!!」
創太、アルスは。今己が使える全力を使って戦士としてこの戦いに臨み、そして――――
最後には、創太がそのスタジアムに、一人。威風堂々と立っていた。
凱歌は創太が吹き荒らした風が、創太の周りの地面はえぐれているが、それが勝利をたたえてくれている。その中で創太はただ一人、威風堂々と立っていた。
そして創太はその60秒後ぐらいに、あのアルスの部屋に転移させられた。幸いなことにあそこでは戦闘が終わると傷を回復する魔術があったらしく傷は何ともなかった。
「いやあすごかったよ、あれ何?というか…キミすごい変わったよね、髪に白が混ざっているし、魔力の色が変わって見える、それにキミ身長170cmくらいだったよね?なんか伸びてない?」
「まあまあ落ち着け、アルス。順を追って説明してやる。と言っても俺も勝つことで無我夢中であまり詳しいことは話せないがな—————
まず一つ。さっきの現象はスキルだ。俺が会った、見た、聞いたすべての者から少しずつ少しずつ魂の器がいっぱいになるまで吸い取るか複製することができる、代わりに、吸い取るたびに体への影響は半端ない。だからこの体の影響としてこんなことになってしまったんだと思うぞ、そのスキルの名前は————『魂ノ力ヲ顕現セシ者降臨』」
「ふふふ……あははははは!!!!やっぱり、やっぱりキミは神の器だ、キミを選んで正解だった。本当に良かった」
「俺からも質問、なぜスキルや魔力が見える?、神の器って何だ?俺がそれなのか?」
「一つずつ答えよう創太君、まず一つ目。神の器とは、神の力を受け継ぐに値する者に与えられる称号みたいな物だ。称号に『Ω』とかついてなかった?」
「ああ、ついていた」
そして、アルスが見たこともない。凄く真面目な、そして覚悟を含んだ眼でこう創太に放った。
「君が受け継ぐんだ。11代目の創無神の座を」
「ほお、へえええ」
「あれ、あんまり驚かないね。キミ。前もそうだったけど結構肝座っているの?」
「いや、なんとなく予想がついたからな————俺は本的にYESだ。だが俺は何をすればいい?受け継いだら何かあるのか?義務とか、体への影響は……」
「わかった、わかったから。今からすべて説明するから。まず創無神になるにあたって義務は発生しない。敷いて言うなら1代目創無神にある程度の間隔で挨拶に行くぐらいかな。体の影響はないよ、魂が神仕様になるくらいだから、そして創無神が得ることができる力、スキルなどが手に入る」
「その力っていうのは?」
「人によって様々なんだけど、僕はスキル『神の目』。あらゆる神羅万象が見える目と『神召喚ノ義』をもらったね。と言ってももらえない人もいるけど、そこは色々だね。———どう?これが一応創無神になるための説明だよ。理解してくれた?」
「じゃあ後もう一つ。この世界の最高神は、確かプリムじゃなかったか?」
その質問を創太から聞くと、アルは苦々しい顔を噛み砕き、無理に笑顔を作ろうとしているように見えた。
「ああ。そうだよ、うーん…そうだね、少し長くなるけど、じゃあ話そう。創無神の長く苦しい歴史を…」
アルは顔をしかめて、重苦しそうに語り始めた————創無神の真実。その一部を。
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