第7話
≪負けるのか?やめるのか?生きることを、捨てるのか?逃げるのか?≫
(お、俺は……)
創太はその声で目覚めた。どこにいるかもわからない、何処を見ても闇、闇、闇。永劫の、永遠の闇。だからこそ創太は目覚めた。
≪おい“創太”。お前は俺、俺はお前だ、創太。お前は、何がしたい――≫
(俺?というお前は、何だ?)
≪言っているだろう創太。俺は俺、お前はお前だ。だからこそ創太、今こそ解きに来た、“枷”を≫
(枷?お前は何を言っているんだ、というか、俺は死んだ。)
≪だからだ創太。だからこそ枷を外してやる、今こそふさわしい、と言っても使えるみたいだから、ある程度の叡智と、それに負けない意志を≫
(じゃあ創太。話を聞いてくれ、お前は何で死んだ?)
創太は思い出す、あの全てを、奈落に落ち、それでもと、それでもと足掻いたあの想いと、動き出そうと全てを使い動き出す体が、それを雄弁に物語る。その痛みが、全てを思い出させる。その苦しさが、「生きたい」という欲望を掻き立てる。
(お、俺は…魔狼に食われて、でも…魔狼は生きるために……―――アハハハハハハ)
そうして創太は思い出す、自分が、何を、どう思っていたかと、だからこそ、だからこそ創太は目覚める。その思いと、心によって。
(そうか、そうかそうか。思い出した、俺の想い、この心は変えちゃいけない、そう、今は思える。そしてありがとう“創太”、俺も俺。その意味がようやく分かった)
(そうか、それと一つ、この世界は理不尽だ、だからこそ足掻け、かみ砕け、引きちぎれ、それがお前を強くしてくれる。そしてお前は……)
その声が聞こえなくなったのを確認して、創太は、魔力を全身に、ありったけ注ぐ、それは産声、世界を、全てを敵に回しても生きるために戦う。そんな自己主義の化け物が降臨する。
「ああああああああ!!!!!!!」
創太は叫ぶ。ありったけの想いと共に。
――――――――――――ピキ…ピキピキピキ……ピキピキ…バリンッ!
暗闇の空間にヒビが入ったと思うと、一瞬にして広がり、そして顕現した。中宮創太という化け物の存在が。
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