ノレコフ音声

エリー.ファー

ノレコフ音声

 こんな夜更けに皆さんが、私の声を聞いているということを前提に致しまして。

 こんばんは。

 皆さま、如何お過ごしでしょうか。

 このラジオでは、皆さまから届いた質問や、意見なんかをさらり、と読みながら、そこに感想を加えたり、質問に答えたり、答えられなくて一緒に悩んだりしながら時間を過ごしていこうという感じなのでございまーす。

 前は、ね。なんというか、あの、地球だけの放送ということでね。私も、なんというか、じゃあ、こっからできる限り、多くの人の耳に届けていきましょう。なんて、そんな話をしていたんですけれども、ね。

 なんと、次からは火星でこのラジオが聞けるという。

 いやぁ、来たねぇついにっ、ここまでっ。

 本当にっ、ありがたいねぇ。

 と、ね。

 なんちゃってっ。

 冗談で-す。

 SFの小説じゃないんだから、今現代の科学力でラジオが火星で聞けますとか、地球でしか聞けないことに嘆いたりなんて、そんなことはありませーん。ねぇ、初めて聞いてる人、ごめんねぇ。雰囲気とかつかみにくいねぇ、このラジオねぇ。

 いやぁ、できる限り、ラデオネル星人としてのノリとかは封印して、地球のノリに合わせながら話を進めることができたらなぁ、なんて思ってまーす。

 はい。

 えぇと、じゃあ、最初のお便りですね。

 ペンネーム、本当は女の子さんからでーす。

 ねぇ、本当は女の子さん、なんですね。本当は、というかね、そこがまず分からないので、中々謎なペンネームなんですけれども。あの、でもね、ちなみになんですが、ラデオネル星人には性別とかはないんですよ。あんまり、あの厳密なやつではないってことなんですけど。だから、ほら、私みたいに、こうやって地球で出稼ぎに来てるラデオネル星人が多くなってきましたし、母星でも地球と同じ性差を設ける制度を導入するべきなんじゃないかって。そんな話になってますけれども、ね。

 はい、ごめんね大丈夫だよ、本当は女の子さーん、ちゃんとお便り読みますからねー。今から読みますねー。

 はい、ラデオネル星人のみっちゃんさん、ラピオリギオスー。

 はぁい、ラピオリギオスー。

 私は地球人で高校二年生の女の子です。

 うんうん、なるほど。

 吹奏楽部でバリサクを吹いているのですが、最近部活が忙しくていつも帰るとぐったりです。でも、そんなときでも、必ずみっちゃんさんのラジオはかかさず聞いてから眠るようにしています。

 あぁ、ありがたいねぇ。本当にありがとうございます。是非、季吟琴とかタイオプスみたいな、他の星の楽器にも挑戦してみて下さい。あれはね、サックスできると、ほぼいけますんで。

 ところで質問なのですが、私には好きで好きでどうしようもない、吹奏楽部の先輩がいます。その人に告白しようと思うのですが、どうしたら成功するでしょうか。男の人の意見を教えてください、お願いします。

 いいねぇ、青春ですねぇ。はい、さっきの話と滅茶苦茶になるけど、みっちゃん、一応ね、地球の戸籍だと男なので、是非是非、お答えいたしましょう。あのですね、たぶん、本当は女の子さんは分かってて送ってると思うんだけど、実はみっちゃんも高校生の頃は、吹奏楽部でした。で、奥さんとはそこで会いましてですねぇ。今は普通なのかなぁ、地球人とラデオネル星人のカップルを目指したわけですよ。でね、まぁ触手が幾らでも伸ばせる訳ですよ。ね、みっちゃん、はっきり言って楽器全般がもうさ、滅茶苦茶上手いのよ当たり前だけど。だからねぇ、自分の得意なところを好きな人に見せつけてから、告白しました。これが、成功の秘訣かなぁ。

 でもね。

 それで終わらないんだよ。

 その後、結婚という難関があってねぇ。あっち側のお父さんがいるじゃない。まぁ、やっぱり地球人同士で結婚してほしかったんだろうね。猛反対でねぇ、それはもうね、難しかった。

 だからね。

 最終的には、お父さんの米神に触手で穴を空けて直接脳細胞を完全に破壊して植物状態にした上で、寄生してからお父さんの口を使って結婚の許可を取ったよね。

 というわけです。

 えぇと。

 はい。

 なんてね。

 嘘でーす。いやいや、SF小説じゃないんだからねぇ。いやぁ、今ラジオブースの外からマネージャーに真剣にやれって、マジで怒られてまーす。あはは、いやぁちょっとジョークが効きすぎたかなぁ。

 途中から冗談でーす。

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