第4話・報酬を受け取った1人と1羽
町の人達と軽く挨拶を交わしたユーナ達が、クエスト依頼達成を
報告する為、町の中央にあるギルド本部の中へと入っていく。
「あ、お帰りなさい、ユーナさん。クエストの方はどうでした?」
「あんなの、余裕、余裕♪」
ニコッと微笑みを浮かべて、クエストの事を聞いてくる受付のお姉さんに、
私は相好を崩す笑顔でVサインを見せる。
「ほう...下手をすると死んでいたかもしれない、あの状況を余裕...ねぇ」
シロが半ば呆れた顔をこぼし、ユーナの嘘をスレッとバラしてしまう。
「やっぱり、ギリギリだったんだ...」
「そ、そうとも言うかな...はは...あはは♪」
ニガ笑いをこぼす受付のお姉さんに対し、ユーナもニガ笑いをこぼして
その場を誤魔化した。
おのれ...このクソ鳥め...せっかく、冒険者としての余裕を見せようと
していたのに、あっさりとバラしおって......。
ユーナがそう愚痴を洩らし、受付のお姉さんに見えない様にシロを
キィッと強く睨んだ。
「と、取り敢えず、これが依頼達成のアイテム『七色の宝玉』だよ!」
そう言ってユーナが、ポーチからクエスト依頼のアイテムを取り出して
受付のお姉さんへ手渡した。
「はい...確かにお預かりしました...。それでは、これがクエスト依頼の
アイテムかどうかの最終確認をしますので、しばらくそこでお待ち下さいね!」
アイテムをユーナから受け取った受付のお姉さんが、軽く会釈すると
何かの装置の中へ、七色の宝玉を入れた。
「スキャンヲカイシシマス...。シバラク、オマチクダサイ......」
「...」
「......」
「.........」
ピ~ンポ~~ン♪
「スキャンヲシュウリョウシマシタ...。コノアイテムハ、マチガイナク
イライノアイテムデス...」
「お待たせしました!無事、このアイテムが依頼のアイテムだと
認証されました!ありがとうございました、ユーナさん、ではこれが
依頼達成の報酬の金貨五枚です!どうぞ、お受け取り下さいっ!」
受付のお姉さんが屈託のない笑顔で依頼達成を告げると、テーブルの下に
用意していた報酬の金貨を取り出すと、それをユーナへ手渡した。
「おお、久しぶりの大きな金額だっ!」
私は金貨の入った皮袋をジャラジャラと鳴らし、金貨のぶつかる音を
楽しんでいる。
「ねぇ、ねぇ!ユーナさん!早く、タバコ販売機へ行こうよ♪」
子どもの様にお目々をキラキラと輝かせたシロが、タバコ販売機のある方向へ
右羽を向ける。
「あんた...ねだる時だけ、可愛い小鳥を演出するんじゃない!」
「うっせぇい!大体、その金貨の半分は俺様の物だろうが!四の五の言わず、
タバコ代をよこせ!」
シロが激昂し、ユーナの耳元に飛んで行き、叫声を上げて抗議する。
「アホかぁ!そんなクソみたいなもんより、食料の方が先じゃっ!」
シロの激昂に、ユーナも負けじと憤怒した表情で怒りを返す。
「はあ!俺は食いもんより、ニコチンの方が優先順位が上なんだよ!」
「じゃあ、あんたはこれから一生、私の買ってくる食べ物には一切合切、
手をつけるんじゃないわよ!」
「いやです~。それはそれ、これはこれ、なんで~!」
ユーナの正論をシロが小馬鹿にした口調で、ひらりと交わす。
「なんじゃ、その理不尽な屁理屈は!あんたはいつも――」
「ごほん、ごほん!ち、ちょっと、ユーナさん...ケンカは他でお願い
できますか?」
「「あ...す、すいませんっ!」」
強い咳払いで威嚇し、口喧嘩を止めてくる受付のお姉さんに、ユーナ達が
申し訳なさそうにペコペコと頭を下げて謝った。
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