第3話・あっという間の出来事

「テ、テメエ等!俺様を無視してんじゃねぇぞっ!」


「うっさいな...!こっちはこいつに物申すのに忙しいんだから、

気安く話しかけるな!関わんなっ!」


「そうだ!俺だって、こいつにまだ言いたい事が山程あるんだ!

邪魔してると、消し炭にするぞっ!」


ユーナとシロが目を見開いて怒号し、盗賊を説教で窘める。


「ひぃ~ご、ごめんなさ……って、待てやゴラァ!?何で俺様が

女や鳥如きに謝りを入れなきゃいけねぇんだよ!」


ユーナ達に窘められ、思わず謝罪の言葉を口にしそうになった盗賊が、

ハッと我に返ると、怒りでプルプルとその身を震えさせる。


「この...命だけはと思ったが、俺様をコケにしやがって...もう許せねえ!

キサマ等を殺した後、エモノを頂戴するとするぜ!死ねやぁぁ―――ッ!!」


怒りが頂点に達した盗賊が、持っていた武器を振り上げてユーナ達へ

目掛けて突撃してくる。


「うるさいっ!」


パァァァ―――ンッ!!


「へ......っ!?」


突撃してくる盗賊へユーナが腕をスーッと向けた瞬間、盗賊の頬を

物凄いスピードの何かがかすめていった!


「私...さっき言ったよね?私に関わるなって...!」


パァァァ―――ンッ!


「ひぃぃやわぁ~っ!?」


そう言ったユーナが、再び盗賊に腕をスーッと向けた瞬間、今度は

盗賊の振り上げていた斧が粉々に砕け散った。


「そ、そそ、その手に持っている武器は...ロストアイテム拳銃ピストルっ!?」


「そして、俺も言ったよな...俺の邪魔をするなってぇぇ――――ッ!!」


シロはゆっくりとタバコを吸いあげた後、思いっきり吐き出す!

すると吐き出された煙が大きな火炎の剣となって、盗賊の頭上から

叩き潰そうとしている。


「な!?タバコの煙が火炎に変化す―――――――ギャアァァッ!!」


盗賊が最後まで台詞を言う前に、その姿をこの世から完全に消し去った。


「嗚呼!そのタバコで思い出したぁっ!あの時、あんたがぁ......」


「あの話をまたぶり返すのかっ!あれは何度も言うが俺のせいじゃなく、

完全にお前が失敗しただけだろうがぁぁ......!」


「はん...何を言ってんだか......」


「ふん...キサマも大概だろうが……」


ユーナ達は盗賊の末路なんぞ全く気にもせず、先程繰り広げていた

悪口合戦を再びスタートさせながら、ギルドへと歩いて行く。



悪口合戦を言い合いながら歩く事、約数十分...。



ギルド本部があるカロンの町へユーナ達が到着すると、町の人達が

ユーナ達の帰還に安堵の表情を浮かべて、笑顔で出迎えてくれた。

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