第2話・お先に失礼します!
ズゴゴゴォォォ―――――ッ!!
ダンジョン内の震動がどんどん激しさを増し、崩れた岩壁や天井の岩が
あっち、こっちから落ちてくる。
「わわわ...!?揺れが激しくなってきた...シロ、ここを急いで
脱出し―――」
「――って、いないっ!?」
私はさっきまでそこにいたシロが突如と消えている事にビックリして、
辺りをキョロキョロと見渡すと、遠くの方にいるシロを発見する。
「嗚呼、あの野郎!もう、あんな所にっ!?」
シロの後を追うように、私は崩れてくる岩を避けながら、全力で出口に
向けて走って行く。
「おっと、危ない!?」
「のわぁ、危なっ!?」
「うわ!こっち方は、行き止まりじゃんかっ!?」
私の進行を邪魔をするかのように、次々と天井から落ちてくる
岩たち...
そして、崩れた岩で出来た、瓦礫の山の行き止まりポイント。
「くそ...あの鳥野郎め、俺にはそんなの関係ないって顔で優雅に
飛びやがって!」
シロが落ちてくる岩たちを、ひょいひょいと交わし、行き止まりポイントは
その上をスイーッと飛んで行く。
「...と、こんな所でボケッとしている場合じゃなかった!急いで
ここを脱出しないと、瓦礫の下敷きになっちゃうっ!」
次々と落ちてくる岩を、私は右や左へ素早く避けつつ、駆け足で出口に
駆けて行く。
「わ...眩しい!?この光は...外の光!?」
「こら、遅いぞユーナ!何をチンタラとしてやがったんだ!さっさと
こっちに来やがれ!」
「あ、あの野郎...」
私を放って、自分だけでちゃっちゃ逃げて行った分際で、なんちゅう
言い草だ...。
ユーナは自分の不手際で発動させた罠なのに、理不尽な怒りをシロヘと
ぶつけていた。
それから何とか無事ダンジョンを脱出できた私達は、崩れて入れなくなった
ダンジョン出入りの前で少し休憩を取ってから、ギルド・ガーディアンのある『カロン』の町に通じている森の中へと移動する。
「いや~それにしても、さっきはめっちゃ危なかったなぁ~!もうちょいで、
あのダンジョンと一緒にお陀仏コースだったよ!」
「本当に酷い目にあったぜ...。あれほど押すなと言ったのに、間もなく、
躊躇もなく、速攻で押しやがって...お前はもうちょっと、自制心を
持ちやがれってんだ!」
自分の仕出かした事に、全く悪びれる事もなく笑っているユーナに、
シロが苦笑しながら、ユーナへ反省しろと訴えてくる。
「シロにだけは言われたくありませんよぉ~だ!タバコがきれた瞬間、
ニコチンくれ~ニコチンくれ~と、のたまうシロなんかにはねっ!」
「それ言うならお前だって、食い物のストックがなくなったら、食い物を
食わせろ~食い物を食わせろ~と徘徊するじゃねえか!特に酷かったのは、
俺を見て『お!鶏肉発見♪』...と抜かしやがった時だ!」
「ぐぬぬ...」
「うむむ...」
ユーナとシロがその時の事を思い出し、睨み合った二人の視線からは
バチバチと火花が飛び散っている。
1人と1匹が睨み合っていると、近くの木の影からバッと何かが飛び出し、
ユーナ達の前に立ち塞がった。
「ふふ...これはこれは、良いエモノと出くわしたものだな。おい、そこの女!
命が惜しくば、てめえの持っている食料...いいや、持っている全ての荷物を
置いていきなっ!」
「大体、あの時だって、あんたが出しゃばってこなければ......!」
「ハン!てめえこそ、あの後にやらかしているじゃねぇかぁ......!」
いきなりユーナ達の前へ現れて、下卑た言葉で凄む様に脅迫してくる
盗賊だったが、当のユーナ達からは完全に無視されてしまうのだった......。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます