食べ物大好き娘とタバコ大好き鳥+ポンコツっ娘の大冒険

アオ&アオ

第1話・押したくなるよね?

...とある、ダンジョン内。


「ねぇ、ねぇ、シロ。この宝箱がそうなんじゃないの?」


「ああ...いかにもって雰囲気で置いてある宝箱。恐らくそいつで

間違いないだろう......」


「よっしゃ!やっと見つけ出したね、依頼アイテムの入った宝箱♪」


私は屈託のない笑顔を浮かべて、やっとの事で探し出した宝箱を見つめる。



この歓喜をあげて喜んでいる人物は、私こと...『ユーナ・クロース』と言い、

ギルド・ガーディアンの初級冒険者。


そしてシロと呼ばれていたのが、私の冒険パートナーだ。



「何をボーッとしてやがる!早くしやがれ!こんなジメジメした所に

いつまでもいたんじゃ、俺様の大事な羽毛とタバコがしめっちまう

だろうがっ!」


「うっさいな!何が、大事な羽毛にタバコだ......」


私のパートナーのシロは、その身を羽毛で包まれているんだけど、


ううん。包まれていると言うよりか、身体の一部と言った方いいのかな?


まぁ、簡単に述べるのなら、私のパートナーは世間で言う所の......



鳥というやつだ。



しかも、小鳥タイプ。



それに加え、鳥なのに大のタバコ好きときて、タバコを吸っている時の

口癖が...


「タバコがうまいぜ!」


...だ。


え?何故、鳥なんかをパートナーにしているのかって?


それは...


「グアギャォォ――――ンッ!!」


「ちっ...ローベアか、うっとしいなっ!」


苛立ちを見せたシロが、くわえていたタバコをスーッと深く吸い込み、

その吸った息をローベアへ向けて思いっきり吐きかける!


「焼き尽くされろやぁぁああ――っ!熊野郎ぉぉぉおお―――っ!!」


「グ...ギシャァァァァ――――――ッ!?」


すると、シロの口から轟音唸らせる火炎が巻き起こり、ローベアが

真っ黒に焼き焦がされた後、炭素化して崩れ落ちる。


「ふ...タバコがうまいぜ!」


「相変わらず、容赦ない攻撃だな......」


このシロが放った火炎はシロいわく、タバコ技と呼ばれるモノらしいが、

そんな技の名前なんて正直聞いた事がないので、こいつが勝手に作った技

なんだろうと、私は思っている。


ま...こんな感じで、こいつそんじょそこらの冒険者なんかより、めっぽう

強くて頼りになるのだ。


さて、私達の紹介はここまでにして、話を本題に戻しますか。






「んじゃ、開けるね...」


ガチャガチャ...ガッチャンッ!


「お!どうやら、鍵はかかっていないみたい...」


ギィィィ―――――ッ!!


「おお!あった、あった!これがクエスト依頼の『七色の宝玉』だね♪」


ポケットから取り出した、ギルドカードを七色の宝玉にかざすと、

『ピンポ~ン♪』と、正解を告げるベルの音が鳴り響く。


「うっし!やっぱり、これが七色の宝玉みたいだ!」


宝箱から七色の宝玉を取り出して、持っていたポーチの中へ

しまい込む。


「ん...これは...?」


「ここにはもう用はねぇ...さっさとズラかるぞ、ユーナ!

...て、何をジィィーッと、宝箱の中を覗いているんだ?」


「イヤね...宝箱の底に、スイッチらしきモノがあるんだよね?」


ユーナが宝箱の底にあるボタンを見つけ、シロヘ向けてちょんちょんと

指を差す。


「ボタン!?それは絶対に罠だ!決して、押すんじゃないぞ!」


「はは...わ、わかってるってば♪」


叫声を上げて注意してくるシロに、私はニガ笑いを浮かべて返事を

それとなく返す。


でもさ。


こういうボタンって、罠だと思っていても押したくなるのが冒険者の

サガなんだよなぁ。


なんかこう、いかにも押して下さいって、アピールしてくるだもん。


だからさ、つい......


「ポチッとな!」


「ちょ、待てぇぇぇええ―――――ッ!?お前、今ポチッて言ったよな!?

ま、まさか...押したのかっ!?」


シロが目を丸くし、嘘だろうと言う表情でユーナを見てくる。


「テヘ...♪うっかり、手が滑っちゃった!」


「うっかりしたやつが、ポチッとなんて言わねぇよっ!」


「そんなに怒んないでよ...。もしかしたら、宝が眠っている扉が開く

スイッチだったかもしれな―――」


ズゴゴゴゴ―――――ッ!!


案の定、シロの言うように罠を起動させるスイッチだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る