第九話 契約、そして脱出
「そっか、君は神獣なんだね」
「きゅう!」
そう鳴いて僕の肩の上に乗った。僕に連れていけと言っているのかな?
「僕と行きますか?」
「きゅ!」
どうやら本当に僕についてくるみたいだ。
「えっと」
指輪の使いかた
この指輪は絆の指輪。絆のある召喚獣と契約しこの指輪に入れておくことで、魔方陣を使わずに召喚できるのに加え一部その召喚獣の力を使うことができる。さらに人にもよるが魔石なしでその召喚獣の属性にあった魔法が使えるようになる。
才能のある人なら大魔法までも魔石なしで使えるようになる。契約の仕方は召喚獣に名前をつけて儀式をするだけ。
儀式の仕方
(省略)
「よし、やろうか」
「名前、ね」
儀式をするにあたってまずはこのカーバンクルに名前をつけてあげないといけない。
「きゅう?」
カーバンクルは僕を見上げて首をかしげている。名前をつけてくれるのを待っているのだろうか?……かわいい
カーバンクルに癒されながら名前を考えるがなかなかいい名前が思い浮かばない。
うーん、僕名前のセンスとかあんまりないからなぁ。カーバンクルだからここはシンプルに
「クー……とか?」
「きゅ~♪」
いいものが思い浮かばなかったのでシンプルな名前にしてしまったが気に入ってもらえたようだ。よかったよかった
「よし、君のなまえはクーだ」
「きゅう!」
僕は指輪をつけてその手をクーに向けた。
「召喚に応じし我が友よ、今、絆の契りを交わし、我が力とならん!」
そう、唱えた瞬間クーの体が輝き指輪の中に吸い込まれた。
「これからよろしくね、クー」
(きゅう!)
指輪の中にいても聞こえるのか。
「とりあえず脱出しようかな」
僕は来た道を引き返し、今度は右の道に進んだ。すると今度は上に続く階段があった。
~四階~
「ここには、モンスターがいるんだね」
新たな魔物が現れた。形は人だが右手がドラゴンの爪になっていて、ドラゴンらしき翼もはえている。左手は人の手の形をしていて杖を持っている。
見たところ接近戦、空中戦にも対応できる魔法使いってところだ。名づけるならドラゴンマジシャンってところかな?
ドラゴンマジシャンは魔方陣を展開した。魔方陣から巨大な炎と氷が放たれた。
「実験といこうか、クー!」
そういって右手を前に向けた。すると右手につけている指輪がひかり、魔法の壁が出現した。そして巨大な炎と氷を反射した。そして反射された炎と氷はドラゴンマジシャンに直撃しドラゴンマジシャンは消滅した。
「これはすごいね」
僕は素直に驚いた。魔法を本当に反射できたことと同時にこの階の敵の強さに驚いた。これを僕が受けていたら僕は跡形も無くなっていただろう。そう考えると少し怖くなった。
この魔法は急激に熱した後に急激に冷やす。または、その逆を高速でするものだと予測する。
これを使えば鉄などの固い金属でも簡単に破壊してしまう。この方法は日本でもできるが、魔法なので魔力や才能によってその威力は上がるだろうし、鉄も簡単に破壊できる方法を生物にするというとんでもない魔法だ。
この魔法をちょっと改良すれば某ド〇クエのメド○ーアみたいなものも作れるだろう。もしかしたら、既に存在しているのかもしれないが。
次に出てきたのはローブのような服を着た魔法使い。顔も隠れているので素顔も見れないだろう。というか魔物の素顔を見てもいいものではないだろうが。
魔法使いは超音波みたいなものを出してきた。魔方陣は見えなかったがクーの力で反射できたので魔法なのだろう。サイレンツが自分の放った魔法を受けおろおろしている。恐らく魔法を封印する類の魔法だったのだろう。
策士策に溺れるというやつだ。魔法使いが自分の魔法で自分の魔法を封印してしまうとはあまり頭がよろしくないのか。まあ、そうしたのは僕だけど。
相手が魔物といえどおろおろしているところを斬るのはなにか罪悪感的なものを感じたので放って先に進むことにした。
次に出てきたのはスケルトン。だがスケルトンの骸骨の所々から蛇が出ている。スネークスケルトンとでもいえばいいか。
(ぐろいなぁ)
骸骨からでている蛇が口をあけた。
(これはメデューサみたいなやつかな?)
僕は反射の壁をはって念のために左にとんだ。本とかでみるメデューサの光線は鏡とかで反射するのがよくあるやつだが生憎そんなものはもっていない。そもそも魔法かどうかすらもわからないので魔法の壁は跳ね返せたらいいなぁレベルで張った。
蛇から放たれた光線は壁を通り抜けそのままその先の水晶に当たった、そしてその水晶は石化した。
「やっぱりそういう類か」
やはり魔法の壁では反射できないものらしい
またもや蛇がレーザーを放とうとしている。
「砕け! 氷岩! “アイスロック”!」
僕はすかさず目の前に氷の岩を設置し先ほどと同じように横にとんだ。レーザーは氷の岩に当たり氷の岩はレーザーを反射するとともに砕け散った。レーザーはスネークスケルトンに当たり石化して粉々に砕け散った。
(光線とかって本当に鏡とか氷で反射できるんだ)
あくまでこの倒し方は……というかメデューサの存在自体空想上の生き物だったので成功する保証はない。つまり少し賭けにでたのだ。氷で反射するのはなんか思いついたのでやってみた程度だ。
(というか今の横にとんだやつ絶対間に合ってなかったよなぁ)
魔法を唱えてから横にとんだのでこの作戦が失敗していたら確実に自分に命中していただろう。つまりただ運がよかっただけなのだ。……ほんとに成功してよかった。
僕はこのまま敵を倒しつつ探索しながら上に続く階段を探した。
運のいいことに遭遇した敵のほとんどが魔法使い系だったので魔法の壁で突破することができた
ーーーーーー
「魔方陣だ」
しばらく歩いていると魔方陣を見つけた。配置からしてどこかに転移するタイプの魔方陣だろう(確証はない)。この道中何度も敵と戦ってきた。僕は能力をもらってよかったと思った。能力がなかったらここまでこれなかっただろう。クーの力もすごいが能力をもってなかったらクーに会う前にゲームオーバーだっただろう。一応神様に感謝しておこう。
僕は魔方陣の中に入った。
気がついたら洞窟の一階にいた。周りに魔法陣はない。指輪はあるので夢とか幻覚だったわけでもない。恐らく一方通行の魔法陣なのだろう。
「とりあえずマシュを探さないと」
僕は急いで落し穴のあった道に進んでいった。マシュが進んだ道とは違うがかなりの時間がたっているため探しに来てくれている可能性がある。どちらにせよこっちのスイッチは押せてないわけだからこちらのルートには進まないといけない。
(いた!)
僕はモンスターと戦っているマシュを発見した。戦っている相手はマジックバット。一度僕がやられかけたコウモリの群れだ。一度僕と戦っているので警戒が強くなっているのだろう
(なんで魔法を使わないんだろう?)
前にマシュは魔法使いと言っていたがずっと短剣で戦っている。どちらにせよ数的にも状況的にもこのままではやられてしまうだろう。
僕は援護のため飛び出した。
と、ここでマジックバットは円を描いて魔方陣を展開した。レインボーバレットの構えだ。
「クー!」
(きゅう!)
僕はマシュの前に出た。
「“リフレクト”!」
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