第七話 優輝死す!?(死にません)
ザバーーーン
「ぷはぁ」
「落ちた先が水でよかった~」
落ちた高さは1階、2階くらい。水の中に落ちたので無傷で降りることができた。この高さでも地面に着地すれば足を捻るくらいのダメージはあったかもしれない。
マジックバットに殺される、落とし穴の着地でのダメージ、この二つがなかったことはかなりの幸運だろう。
マジックバットも流石に落とし穴の中までは追いかけてこなかったようだ。
「にしてもここは何処だろう?」
(思ったより深かったな、4、5階分は落ちたんじゃないか?)
(あれ? この洞窟って4階とか5階とかあったっけ?)
ここの情報を聞いたとき魔法の洞窟は確認されているのは3階まで、最下層とされる3階の最奥には謎の石碑があるだけでその先はないと聞いていた。もし、ここがその先、謎の石碑に隠された先、もしくは存在しないはずの階にいるとするならば僕はとんでもないところに来てしまったのかもしれない。
「とりあえず出口を探そうか」
出口といっても上に行く階段かなにかを見つけなければいけないが
僕は通路を進んで行った。通路にはここ特有の魔石しかなく敵もいなければ宝箱もない。いや、宝箱があるかどうかはわからないが見る限りはただ一直線に通路が続くだけだった。
「それにしてもすごいな~」
ここにある天然の魔石は最初に見たものよりも綺麗で本物の宝石みたいだった。
進みはじめて十数分たったくらい、2つの分かれ道を見つけた。
よし、クラ○カ法則で左に行こうか。
左側に進んだ。
先に進むと下に降りる階段があった。
(まだ下があるのか……ちょっとだけ覗いてみよう)
階段を降りた。
「うわぁ」
降りた先に広がっていたのは薄く虹色に光る水晶だった。先ほど見た水晶もかなりきれいだったがここのはそれを上回る綺麗さだった。
そしてその水晶の道の先を進んで行くと突き当たりには宝箱があった。
ドン ドン
「ん?」
宝箱を発見し少し近づくと足音みたいな音が聞こえてきた
ドォン ドォン
足音が少しずつ大きくなっていく。
ズドォォォォン
最終的に大きな何かが落ちてきた。
落ちてきたのは白色に虹色のかかったドラゴンだ。正式な名前はわからないのでレインボードラゴンと呼ぼう。
とりあえず逃げきれそうにもないから戦うしかないですよねぇ。
レインボードラゴンは魔方陣を展開した。魔方陣から白い風の刃が大量に放たれた。
(あまり気は進まないけど能力フル活用するしかないよねぇ。そうしないと確実に殺される)
「七色の弾丸よ、我が心の光となりて、撃ち放て! “レインボーバレット”」
使った魔法は落とし穴に落ちる瞬間マジックバット達が放った大魔法。レインボーバレットは白い風の刃を相殺しながら何発かがレインボードラゴンに命中した。一発一発の威力は相手のほうが大きいが数ではこっちが勝っている
(う~ん、やっぱりそう簡単には倒せないよね)
魔法はいくつか命中したがあまり大きなダメージは与えられなかったようだ。
「これは剣技とかも試してみようか(自己流だけど)」
戦闘の時のためにこっそり独学で剣技を作ったりしていた。戦闘の知識がほとんどなく、作成の時間もあまりなかったので完成には程遠いが
「貫け、風の刃。輝流剣術その1-“風魔(ふうま)”」
優は剣に風を纏いレインボードラゴンを突いた。しかしレインボードラゴンにはあまりダメージは与えられてないようだ。
風魔は本来はもっと別の技をイメージしていたが今使える魔法はウィンドアローのみ。しかも、ウィンドアローの形を変えることができなかったので今は普通の突きにウィンドアローが上乗せされている感じになっている
(やっぱり今の僕の力じゃダメか)
レインボードラゴンは大きな炎を放った。
「砕け! 氷岩! “アイスロック”!」
「貫け、風の刃。輝流剣術その3-“風三日月(かざみかづき)”」
優は体を回転させ風の衝撃波を放、とうとしたが薙ぎ払った剣から三発ほどウィンドアローが放たれただけだった
レインボードラゴンの放った炎がアイスロックとぶつかりあいアイスロックが溶けてできた水によって炎の威力が弱まり、弱まった炎を僕が放ったウィンドアローが打ち消した。ウィンドアローは弱まった炎を貫通し勢いをほとんど殺すことなくレインボードラゴンに直撃した。
(これも失敗か、やっぱり完成させないと)
今使っている自己流剣術は短い時間で作ったもの。それに、優自身も先ほどのアイスライムやマジックバットとの戦闘もあってかここの世界に合わせて少しは強くなっているとはいえ所詮はただの人間なのでアニメとかゲームでよくある剣圧だけで武器を壊したりとか、音速を越えるような速さで動いたりできない。いまやっているのは今使える魔法を応用してそれっぽくしているだけなのだ。というかそれっぽくもできていない。
(どうすればいいんだよ)
レインボードラゴンの攻略法を考えているうちにレインボードラゴンは今までよりも大きな魔方陣を展開させた。そして魔方陣からとんでもなく大きな白い暴風が放たれた。
(ちょっ)
「キュゥーーー!!!」
(え?)
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
突然聞こえてきた鳴き声とともに僕の視界は真っ白になった。そして、視界が戻ったときに見たのは天国や地獄にいるわけでもなくレインボードラゴンが倒れているわけでもない。ただ、レインボードラゴンがいなくなっていてそのかわりに可愛いリスみたいな小動物がいるだけだった。
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