第六話 魔法の洞窟
そして魔法の洞窟についた
魔法の洞窟に入るとそこには最初の洞窟とは思えないきれいな道がそこにはあった。ところどころに水晶のような石があってその全てがとてもきれいだった。
「驚いたでしょ? これ全部魔石なの!」
「うん」
確かにこれはかなり驚いた。天然の魔石は初めてみたがここまで透明感があってきれいだと思ってはなかったからだ。
ウィンドウルフから手にいれた魔石はちょっと透明感のある緑色の石という感じでとてもきれいと言うには遠かった。しかし、ここにある天然の魔石は違う。透き通るような透明感で緑色のものも今持っている風の魔石と比べても格段にきれいだった。きっと前の世界でなにかしらの宝石と偽っても気づかないだろうと思えるほど。僕もマシュに説明されるまで魔石だとは気づかなかったほどだ。初めての洞窟でこんなきれいな光景が見れるとは。
というか魔物から手に入る魔石とここにある天然の魔石は何か違いがあるのだろうか? 見た目だけか、それとも同じ風の魔石でも魔物からドロップしたものと天然のもので秘められた力とかが違ったりするのだろうか?また今度聞いてみよう。
「ここにその氷の魔石を持っている魔物がいるんだよね?」
「そうよ。……まあ、魔物じゃないんだけど(ボソッ」
「?」
後半何て言ったか聞き取れなかったが気にしないことにした。
先に進んでいくとかなり魔物がいた。さすがは異世界の洞窟といったところか。
できるだけ戦闘は回避しつつ進んでいくと分かれ道についた。
「ここからは二手に別れていくわよ」
「なんで?」
純粋に疑問に思った。確かに二手に別れたほうが効率とかはいいかもしれないがこういう世界の洞窟といえば分かれ道があったら一つがあたりで残りがはずれの道。RPGならはずれの道の突き当たりとかに宝箱があってアイテムを手に入れるとかはあるが現実的に考えてそんな都合よく宝箱やアイテムが落ちてるなんてことはほとんどないだろう。そう考えると二人で行動したほうが賢明ではないのだろうか?
「この洞窟には魔石に紛れて2つスイッチがあるの。ここの2つの分かれ道から右側と左側に1つずつあるからわたしが左、優が右ね」
なるほど、と納得した。確かにそういうことなら二手に行動したほうが効率がいい。
目の前の壁に違和感があったがここが隠し扉とかになってるのかな?ゲームならこの先に大きな部屋があってボスと戦闘なんてことになる。そういうことも考慮すると戦闘の練習はしておいたほうがいいのかもしれない。
実際まともに戦ったのはウィンドウルフのときだけなのでこのままボス戦になれば確実に足手まといになってしまう。そう考えた結果実践で戦闘に少しでも慣れておこうと思った。幸いここの魔物は初級レベルが多いみたいなので練習相手にはいいだろう
「でもマシュさんって魔法使いだよね、一人で大丈夫なの?」
ふと疑問に思ったことを聞いた。魔法使いといえば遠距離で魔法のイメージなので一人だと危なくないのか?と心配になる。あくまでゲームとかアニメのイメージでの考えなので実際は違うのかもしれないが
「大丈夫だよ!接近戦もちょっとはできるし、この層の敵ならわたしの接近戦レベルでも倒せるから。それに、やばくなったら逃げればいいしね」
「そっか」
「それに優が行くほうが敵がつよいからわたしのほうは冒険者なりたてでも勝てる強さなの」
いまさらっとすごいこと言ったな~。こっちのほうが敵強いの?勝てるかな~?
こっちの道のほうが敵が強いと聞いて心配になってきた。いまの自分の実力と言ったら村人Lv1に毛が生えたレベルだろうに……
「わ、わかったよ」
だからと言って魔法使いの女の子を危ないほうに行かせるのも気が引けるので承諾した。
そして右側の通路に進んで行った。
ここで修行しながら行こう。
少し進むと四角い生き物がいた。
最初の敵はアイスライム。一応ここに生息する魔物の情報は多少調べてきた。ただでさえ戦闘初心者なのに敵の情報も知らずに戦っても殺されるだけだろう。まあ、調べる時間が少なすぎたため名前くらいしか調べられてないが……。
そう考えてるうちにアイスライムが突進してきた。僕はそれをかわして剣で斬る。まだ、剣に慣れていないのもあって致命傷は与えられなかったようだ。まず、体が氷だからそれなりに硬い。アイスライムから魔方陣が出てきて、大きな氷の塊が放たれる。僕はそれをなんとかかわして魔法を唱えた。
「貫け! 風の刃!“ウインドアロー”!!」
僕の手から風の槍が放たれる。
ピョン ピョン
アイスライムはウインドアローをかわした
まじかよ、予想以上に素早いじゃん。
アイスライムはまた、氷の塊を放つ。今度は先ほどよりも一回り大きい。魔力を多く消費して威力を上げたようだ。現実だと消費魔力を上げて魔法の威力を上げられるのか。これはかわしきれそうにないので、僕は相殺することにした。
「砕け! 氷岩! “アイスロック”」
アイスライムが放った氷よりも少し大きい氷の塊を放った。2つの塊はぶつかり合い、氷の破片を周囲に飛び散らせながら砕け散った。飛び散った氷の破片がアイスライムに当たり、当たった破片が次々とアイスライムにくっついていく。
アイスライムは綺麗な四角からゴツゴツになった。アイスライムは動きにくそうにしている、氷の破片がついたことにより体の形と重量が変わり動きがかなり鈍くなったようだ。
「よし、もう一度。砕け! 氷岩! “アイスロック”!!」
アイスライムはかわすことができずに氷の塊に押し潰された。
アイスライムを倒した
優は経験値を56ポイント
氷の魔石をてにいれた
まあ、この世界に経験値とかレベルなんて概念ないしモンスターを倒せば都合よくお金が手にはいるわけもない。魔石は売れば金になるかもしれないが。
次にでてきたのは、マジックバット。やはり、小さな敵は複数体出るのが定番、6、7体は見える。この数を一人で相手にするのはやや厳しいかとも思ったが修行のためにがんばってみることにした。
マジックバットの1体が突進してきた。僕はそれに合わせて剣を振った。剣は突進してきたマジックバットに当たり真っ二つに切り裂いた。やはり、個体の体力は少ないようだ。僕がマジックバットの1体を倒したのが引き金になったのか、他のマジックバット達が一斉に魔法を発動してきた。火の玉に氷の塊、風の槍に雷など色々な魔法が飛んできた。
「やばっ!」
僕は魔法を全てかわそうと試みようとしたがチート能力やとんでもなく身体能力を持っている人ならともかく僕はこの世界に適応するレベルにしか強化されてないので(コピー能力は持っているが)かわしきることはできない。
「無理!」
避けきれないと判断した僕はとっさに左側の通路に逃げた。
(無理無理無理だって! この数を一人でなんてやっぱり無理だって!)ダッダッダッ
後ろを見るとマジックバット達が追いかけてきている。仲間を殺された怒りが大きいのか見逃してはくれないようだ。
「やばっ」
僕が走っていった先は行き止まり、まさに絶体絶命だった。マジックバット達は円となり大きな魔方陣を展開させた。
「これ死んじゃうパターン?」
大きな魔方陣から大量の魔法の弾が放たれた。それと同時に僕は最後のあがきと右に大きくとんだ。右側には壁しかないが壁際にいるほうが被弾率は低いと思い壁際によることにした。もしかしたら奇跡的に生き残ることができるかもしれない。
バコォ
「うわぁぁぁぁぁ!!」
違う意味で運がよかったのかぶつかった壁に穴があき僕はそのまま穴に落ちていった。
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