クオリティオブライフ

架空ヵ国

溶混

2番手とは私にとっては最高のポジションである。

「B子、家庭科室いこう!授業おくれちゃうよ!」

そう話しかけるのは、クラスのヒロインA子である。彼女は美人でやさしく頭もいい、まさに才色兼備という言葉がしっくりくる完璧人間であった。家が近かったこともあり、昔はよく近くの公園で遊んでいたものだ。

「コーヒー飲んでからね」ポケットに片手を突っ込みながら私は答える

「早く行こうよ!」と彼女が私の手を握って連れて行こうとする。彼女の手はフワフワしていて、まるで綿のようなさわり心地だ。

「はいはい」

私達は、家庭科室へと急いだ。

チャイムが鳴り、授業が始まった。

家庭科の授業は1班5人の構成だ。私とA子は同じ班だった。1人1つ自分の好きなものを作るということで、私は赤いバラと白いバラの模様の入ったポーチを作っていた。

「すごーい、B子ちゃん裁縫上手だね。どこかで習ってたりするの?」

A子は驚いた様子でこちらに目を向けた。彼女の驚きにつられて、ほかのクラスメイトも集まってきて、ポーチを眺めるなり賞賛の声が口々に聞こえた。

「習ってなんかないよ。私観察するの好きだから、youtubeの動画見ながら作ったりしてるだけ」

私は裁縫がうまいのか。みんな、これぐらいできると思ってたので素直に驚いた。よくよく考えてみると、私は観察してまねることが得意だった。

「そんなに上手なら動画を真似するだけじゃなくて、動画投稿してみればいいんじゃない。」

「うん……少し考えとく。」

何事もなくその日は終わり、私は家路につく途中ずっとその言葉が頭を離れなかった。確かにこれだけうまかったら、再生数を稼げるかもしれない。ものまねもできるし、うまくいけば、プチ有名人だ。でも一人だと心細いな・・・

「なに悩んでるの!B子らしくないよ!」

「A子?!実はかくかくしかじかで…」

「なんだ、そんなことで悩んでたの!それなら私とやろうよ!」

「いいの?」

「もちろん、B子のためならやるよ!」

「A子いつも本当にありがとう」

私は嬉しさのあまり、大声を出していたのか、周囲の人たちが私たちを見ていた。

「早く帰ろう!」

私たちはそそくさとその場を後にし、その後すぐに撮影準備を行った。動画の構成としては、私の手元を映して、作り方の説明をA子と雑談を交えながらしていくというものだった。はじめての投稿だったが、年齢にそぐわない、高度な技術と、息の合った軽快なトークが好評を呼び、再生数は投稿とともに、増えていった。

「やったねB子!」

「ありがとう、A子のおかげだよ!」

私たちは順調だった。このまま、私たちは有名になっていくのかなと思っていた。動画の下にあるコメントを見ていると

[A子ちゃんとB子ちゃんの顔が見たい!]

[顔出しして~!]

などの内容が多くみられた。

「A子どうする?」

「うーん、私はあんまりみせたくないかな!」

「OK!A子がそう言うならやめとこう!」

それから数週間後A子は死んだ。

横断歩道横の電柱のボタンを押そうとポケットから手をだしたとき、A子は道路へ飛び出し、車にひかれてしまった。鼓動が急激に早くなっていくき、自分の中の何かが死んだのが分かった。頭が真っ白になり、目の前がブラックアウトしていった―――――――――――――――――――――

―――――目を覚ますと私は自分の布団の上にいた。。失神して家に運ばれたのだろう。。時計を見ると午前7時を指していた。。

「「学校に行かなきゃ」」

そう思い、、身支度を整えて、、学校へと向かった。。学校につくと、、A子がクラスメイトと話していた。。私はいつものように話しかけた。。

「A子ちゃん教室にいこう!朝礼おくれちゃうよ!」」

「わかった、じゃあみんな教室に戻ろうか」

A子は少し戸惑いながらも、笑顔で答えた。

B子はその笑顔がうれしくて、完成したポーチから赤色の方のバラの種をA子に渡した。

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