第10話

 悪神断ちとの一戦を終えた後、彩華は善神として扱われた。二回も殺そうとしてきた悪神断ちのリーダーは気味の悪い笑顔を浮かべながら謝罪をして、さっさとどこかへ消えた。


 残されたのは笑顔を失った善神が一人だけ。


 キョウの死が伝えられたとき、不思議と涙は出なかった。それは伝えられる前に沢山泣いたからだろうか。それとも、今の私に宿る性質は紛れもなく彼のそのものだと思ったからか。


 だから涙なんて出したくなかった。

 だって涙が出たら、それは、つまり彼はもういないと、こんな性質は彼の一部分で、彼ではないと分かってしまうから。


 悲しくて、哀しくて、やりきれなくて、寂しくて、虚しくて、信じられなくて、ただただ嗚咽しか出なかった。

 それらが漸く静まってきて、余裕が出来たが、悲しみだけは振り切ったままだった。


「………………何で死んじゃったのかなぁ………、ずっと一緒に居てくれるって…………言ってくれたのに…………」


 そして、ある一言が漏れた。


………」


………!」



 そう言って彩華は泣き崩れた。

 泣いて、泣いて、たくさんの暴言をはいた。それは全部キョウに対するもので、内容のほとんどがという旨のものだった。


 一通りの暴言を言い尽くして、疲れ果てた彼女は、いつからいたのか分からなかったが、目の前に一人の男が立っていることに気が付いた。


「こんにちは、いい天気だね。お天道様はこんなに輝いているのに彩華はどうしてそんなに泣いているんだい?」

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不幸な神様 アイスティー @optimistically

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