第8.5話
「この陣は性質を移し替えるものだ、分かるかい? 悪神もどきくん」
昔出会ったとある神はそう言いながら地面に陣を描いた。とても複雑で気色悪い形をしていて、一度見た程度では半分覚えるのでやっとだった。
「この陣はね、亡くなってしまった神様の性質を受け継ぐものなんだ。まぁ、本来亡くなってしまっても転生するからこんなことは出来ないんだけどね」
僕はただそれを希望として聞き入っていた。当時の僕は寂しさからまだ他の人との交流を諦めてはいなく、村に行っては何度も追い返される生活をしていた。だからその陣の話は僕にとって希望そのものだった。
「転生するまでの短い間に性質を盗む……いや戴くの方が耳障りはいいか、とにかくそうして今持っている性質と交換する。そういう陣だ」
「さて、陣は完成だ。あとはちょっとの贄が必要で………僕の血でいいか。よっと………うわっ結構深く切れた。とりあえずこれを陣に捧げるイメージで…………、ほらっ光り出した! 念の為僕は離れておくよ」
結果を言うとその陣は失敗に終わった。その人は贄が足りなかったのかも、と言っていたがきっと僕の性質も関係しているハズだ。そしてこれでこの話は終わりを迎えた。その人は一緒に歩いていたハズなのにいつの間にかいなくなっていた。それが故意なのか偶然なのかは知らないが、とにかくいなかった。
だからもうこの話は終わり、重要なのはその陣なのだから。
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