第5話 スタッフ??

「……生田さん!!!

挨拶にくるなんて聞いてなかったんですけ

ど!」


「そりゃそうですよ、お礼を言いたいと本人

からの希望でしたから。

サプライズの意味合いも込めて、内緒にし

ておいたんです」



西野麻衣が部屋を出て行った後、入れ替わりで入ってきた生田さんと一緒に通路を歩いている。


「その様子だとサプライズは成功したみたい

ですねー

よかったよかった」


「いや、めっちゃ驚いたんですからね!」


それがサプライズじゃないですかー

けらけら笑う生田さんのポケットから突然

着信音が鳴り響く。


あ、すいません…ちょっと失礼


「もしもし生田です

ああ、はい、はい

……分かりました、すぐ行きます」


「祐希さん、すいませんが少々ここでお待ち

頂いてもいいですか?

すぐ戻りますから」


「え、いいですけど…」


‥‥ここでお待ちをって言われてもここ通路だよな


忙しそうにスタッフ達が通るこの通路で1人突っ立ってるのは迷惑になりそうだ。


「大丈夫です。すぐ戻りますから

そんな事より、絶対にここに居て下さい

ね?

勝手に何処かに行かないでくださいよ」


そういうと生田さんは通路の奥へと走り出した。


1人取り残さた僕はとりあえず邪魔にならないように通路の脇に移動する。


‥‥にしてもスタッフさん達も大忙しだよな


機材を運ぶ人もいれば、段ボールを運ぶ人、話し合いながら歩いている人…



改めて見るとライブをするのにも沢山の人が携わっているんだなと実感する


‥‥そういえば昔はスタッフになりたいって本気で思った時期もあったよな


スタッフになるには色々と条件があるらしい。


イベントに参加したことない人


まずこれが絶対条件らしい。

つまり“ファン”は絶対にダメだということだ

何故かって?


Starry skyは恋愛禁止のアイドルグループ


つまり“ファン”がスタッフになれる事はまず無い。

もしもがあったら困るからだ。


スタッフになれたら毎日メンバーに会える

そんな妄想も、今目の前にいる人達は関係ないと言わんばかりに忙しそうにしている。


そんな気持ちでスタッフになってもこの仕事は続きそうにはないな

いや、ここにいる人達はそういう気持ちではスタッフになってる訳じゃないか…



忙しなく動くスタッフをボーッと見ながら何となくそう考えていた。

そう、ただひたすらボーッとしてたのだ

横に立っている人にも気づかないくらいに


「……あの…」


突然、横から声がしたことに驚いた。

思わず、はい!と返事をしてしまう。


横を見ると黒髪の少女がこちらをじっと見つめていた。


「私のカバン見てないですかね?

黒いリュックなんですけども」


2つの大きな目が真っ直ぐに僕を見ている。


僕はこの人を知っている

向こうは知らなくても、僕は知っているのだ


‥‥星野飛鳥だよね?





































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