第6話 黒髪美少女

「いや、あの…」


突然の事に思わず声がうわずる



星野飛鳥はStarry sky最年少の19歳

長く、綺麗な黒髪

小さな顔に、切れ長な目

クールで、どこか悠々たる雰囲気を醸し出す彼女は西野麻衣に並ぶ人気を誇るメンバーだ。

「あの……聞いてます?」


「え?」


「私のリュックです、黒いやつ。

見てませんか?」


「えーーっと…」


多分、星野飛鳥は僕の事をスタッフだと思っている。

でも僕はスタッフじゃないからなんて反応すれば良いか分からない。


「……スタッフ…ですか??」


‥‥ん?今なんて?


「証明証、ぶら下げてないですよね?」


「しょ、証明書?」


‥‥確か、生田さんは関係者口を入る時に首に下げていたスタッフ証明書を見せていたような……


周りを見るとスタッフさんは全員、証明書を首から下げている。


‥‥あるわけないじゃん!スタッフじゃないんだから!


ここは正直に言ったほうが良さそうだ


「実は僕…スタッフじゃないというか……」


その一言に星野飛鳥が顔を曇らせるのが分かった。



「スタッフじゃない…としたら……

なんでこんな所居るんですか?」


確かに、星野飛鳥の言う通りだ。

スタッフじゃ無ければこんな所にいるのはおかしい。


ん?つまりこれって……


「関係者じゃないのにここに居るなんて…

もしかして……不審者??」


星野飛鳥が一歩、また一歩と後ろに下がっていく。


「いや、あのスタッフじゃないんですけど

招待されてる、みたいな?感じですかね」


慌てて弁明するものの、一度かかった疑いは晴れそうにもない。


「招待されてるのに、こんな所に1人で居る

なんておかしいですよね。

本当に招待されてるんですか?」


だんだんと語気を強める星野飛鳥。


邪険な物を見ているかのように、僕を睨みつけている。


なんとかこの状況を乗り切る手はないのか

生田さんが戻ってきてくれるのを待って説明してもらう?

いや、彼女は周りのスタッフにこの不審者を知らせようと今にも口を開けて声を出しかねない状態だ。


生田さんが隣に居たから、今の今まで周りのスタッフさん達も気にしてなかったのかもしれない。

しかし、生田さんが隣に居ない今は、証明書のない一般人と同じだ

そんな一般人を見て、周りのスタッフさんは僕が招待されている人だとは思わないだろう。


つまり今、星野飛鳥に叫ばれるのはマズイ状況になるだけだ。


「——この人っ—」


「——だから違っ—」


星野飛鳥の声と僕の声がほぼ同時に出たその時、この状況を打破する人物が現れたのだ。



























































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