カクヨムの企画に投稿する話のテーマをカクヨムにしよう―――という、マトリョーシカのようなひらめきにまずやられてしまう作品だが、それはそれとしてラブコメ要素も抜かりがない。
作品のためと引きずり込んで、あの手この手で迫る後輩女子。気があるんだかないんだか、真面目なんだか違うんだか、とんとんと途切れることのないテンポで先輩男子を翻弄する様は、なんとも小悪魔的な魅力がある。
一方、翻弄される先輩男子も、こちらはこちらで食わせ者。振り回されるツッコミ役ながら、ここぞで外さぬ男前で、しかしてとんだ間抜け者。女心を弄ぶ、とんだ悪党に違いない。
分からないまま、あるがまま、自然体でラブコメしてんじゃないよと、どうにも言いたいこの二人。分かり合う日が来るのか否か、私にはそれが分からない。