ロレンのストーリー
右拳から放つは最速を、拳におけるツイストドローをファニ達に向けて放つ。
ファニ達も負けていない。
ファニは俺の攻撃を細胞を器用に操り回転させ後ろに威力を流し込む。
チェシルとレイは流しきれない威力を支えることでフォローに入る。チェシルは綿花を生成しクッションを造り上げる。レイは空気中の水分の流れを操りベクトルを分散させる。
「「「[合技・過酷]」」」
ファニ達は自分達の各々の特質すべきものを全力で出した。
ファニが望みし原生の過酷さ
チェシルが望みし現生の過酷さ
レイが望みし源生の過酷さ
それらは平等にして不平等の過酷さ
矛盾の過酷さは時に地獄と呼ばれる。死んでも死に切れない過酷さ、それこそがファニ達の出したロレンに対する
毒の煉獄
だが俺は身体に身を委ねた。本能というプログラムを呼び覚ますためにそして心を制御するために。
今度は呑まれるな!
否、もっと深く行くんだ
「俺達は原初の毒を制し、獄に魅入られ、全てを混ぜ合わせる混沌。スライム、細胞を極めしものだーーー!!」
『そう、俺達が目指し到達した奇跡、今ここで超えて見せよ!未来よ。』
俺達は自分達の中から出てきた闇に包まれた。
闇の中には
「ほうロレンが来たか。」
髭を生やした妙齢の男がいた、
「アンタは?」
「俺か俺はロッツォ、前にお前の身体を借りた者さ。姉貴から聞いているだろう。」
「ねえ主人。この人多分本物だよ。」
ファニが言うとチェシルも肯定の意を示す。
「王封、遺物?」
「根源精霊か。少し違うとしか今は言えない。」
「なあロッツォを俺はお前なのか?」
俺は一番気になる質問をした。
「答えられない。」
「そっか、なら。」
俺達は拳を引いた。ロッツォは後ろにスライムを顕現させた。
「心ある者ならば。」
ロッツォは俺の言葉の意図を組み静かに宣言する。俺もまた答えねばと心からのセリフを
「己が心、我が
人間ではなくニンゲン
人でなくヒト
それを意味するは
「「ぶつけ合え!!」」
支えることを拒否した対等なる個に他ならない。
人は支え合わなければ生きていけない。否堕とさなければ生きていけない。だからこそヒトの物語を紡ぐ。
不平等無き平等成る「動」をもってして智なき原生の野生と呼ばれる社会を築く。
今まさに
「中々の鍛錬だなロレン!」
「お前こそなロッツォ!」
だがこれは俺達の闘いだ、だからこっちも行くぜ!
「ファニ[最小魔王・一丸魔王軍]その身に刻め魔王の国を!」
自分の持てる業魔に匹敵するの切り札の一つ。この闘いでは業魔を使わずにやると決断しなければいけないそう悟らせるナニカをロッツォから感じていた。
「ほう、ニンゲンのままにリミッターをスライムにより外させたか。だが長くは持たねえだろ。こちらもやらせてもらう。ファル[細胞国]孤高なるニンゲンのその先を誘え!」
ロッツォも負けていなかった否、自分の数倍はあろうかという威圧感。ユウイチや父の比では無かった。
既にイメージによる攻撃の起動を無意識に捉えてはかわす。立体起動線領域戦闘を予想しながらもこちらが負けることがわかる程に実力差は明白。
「[最小魔王・魔憲]ファニ、チェシル物語を語れ[
ロレン達の持つ現在使える最強の技。それでも絶対に届かないとすら思わせる強さの片鱗。氣がロッツォから漏れてでていた。
それでも拳を前に突き出す。
いとも簡単に拳を握り潰すロッツォ。
痛みは感じない。
「まだまだだな。ファル[魔憲・獄仙]」
彼の出した技はファニ達の見た時の数百倍はあろうかという威圧感と共に迫ってきた。
「きばれ!」
直撃だった。まるで全てを飲み込むような感覚が俺の体内を巡る。
そして今一度自分が手にした最後の力の本質の強大さを理解した。
「[
獄の力を全て吸い上げ無の力に変えさった精霊の力を。
「ほほう原初の精霊か。確かに《スライムの祝福》あろうと契約が可能だな。「魔憲・千尋]」
キーン!!
「[水]」
微かに聞こえた耳鳴り、そして身体に来る恐怖と共に身体をひねる。それだけではなくレイも水膜をロレン達に貼り付けた。
「良く攻撃を避けた。」
「探知と誘電加熱か。」
「[魔憲・千尋]」
ロッツォは答えを言うほど愚かではなかった。
「チェシル、魔力をファニに受け渡せ。」
「わかりました。」
「フッ。」
さすがはチェシル、俺の意図をすぐに理解したか。
「ファニ、今までを超えるぞ!」
更なる高みを想像する。人間の想像の最強のその先を目指して。
「[
これこそが
好きなことを無理矢理合わせてできた友は本当に欲しかった友か?
否
真の友はぶつかり合って尚も互いに歩み寄ろうとする者
わが細胞もではなく同じこと無理矢理ではなく相反しながらも歩み寄ろうとすることをやめなければ真の友と呼べるだろう。
それが
そしてもう一人
「レイ、今やるぞ。[業魔]」
「承認、ようやく。」
今の今まで一度もレイと心を通わせたということが無くただ力を恐れてしまった自分を今一度、恐怖しろ。
「恐怖とは生の起源、絶対悪にして絶対正義たる野生において最も大切な生きる術。生きろ[「」]」
初めての業魔の形
細胞の起源
天上天下唯我独尊・魔王軍がさらなる高みへと至る
「[
チェシルの発展の理
レイの源流の利
それらを統べるファニの螺旋の履
今ここに未完の技が完成した。
だがロッツォとの差は一向に縮まらない。それほどまでに強大で最高峰の山が目の前に佇んでいるということ。
「シンキョウの弟子から毛が生えた程度には成れたか。だがまあ完成した技を作り上げたようだがそれで通用するかな?」
「通用はしないさ。もう勝てないと理解した。だからここからは無知の蛮勇ではなく無知の知の無謀さ。」
笑うに堪えない戯言。逃げる選択肢を頭に入れない。生き残る可能性の最も高い手段を捨てよりによって死に向かうがごとく戦いを挑む。
「それはまさに愚の骨頂と呼ぶにふさわしいくらいに愚かで無知な存在だろう。だが誰よりもロマンと未来への生存戦略において最も計算高い結論。挑戦者、この俺のいない未来を創って見せよ。」
ロッツォは細胞国を解除した
「[I am chicken, because I need love.]」
「詠唱か。」
もはや止める隙すら与えてもらえない。この状況で俺はただその言葉を聞くしかなかった。
「[I look love. But parent love do not look.]」
この詠唱の内容の意味は俺も知っていた。そう先祖たちとの修行において言葉を習ったことがある。親愛を求めた心の奥底で心底弱虫で信愛で何とか生きようとしたという思いが俺にじんわりと伝わってくる。
「[Big small monster is my heart.]」
それが詠唱の最後だった。
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