ユウイチとセイゴ

「ユウイチ、俺はお前と違って普通に転生したわけでは無いが、改めて久しぶり。」


「ああ久しぶり。お前の場合は肉体そのままに転生したのか?」


「そうみたいだ。ここに来るまでにいくつか知らない症状の病気に見舞わられた。」


セイゴは服から小瓶を出した。


「黒い発疹と肌が崩れやすくなっていた。該当する病気からコレラとペスト、痘系の病気の三種の症状だった。」


その小瓶の中には黒い物体が入っていた。


「ふむ、プロ冒険者しか立ち入り不可能な地域で似たような病を聞いたことがある。」


「ああ、多分その地域に俺はいた。そしてもう一つ発見があった。」


今度はバックからとあるノートを取り出す。


「それはまさか、あの超有名大学ノートか。」


「ああきっかりメモが書かれた大学ノートだ。これを持った人物の名は記してあるがスペイン語らしく読みにくいんだがある程度は理解できた。」


「その前にそれが残っているってことはやはり俺の推測した未来ってことは証明できたってことでいいのか?」


「十中八九な。このノートにはどうやらインフルエンザとなにか複数の別のウイルスが結合し新たな人類の歴史に刻む発見となった書いてある。それも宇宙でな。」


「スペインが宇宙?いやEUか。」


「それだけじゃない極秘事項が書かれたノートだ。施設自体が軍事機密、そして何よりありとあらゆる最先端技術の宝物庫、俺たちが死んでからの記録がご丁寧に様々な言語で残ってたよ。単語を拾って要約したがダークエネルギーを一部観測したがそのダークエネルギーがウイルスと結合し生まれた新型ウイルスで進化を遂げたモンスターにその殆どの建造物と人類の歴史を破壊されたと綴られていた。」


「他はどうしたんだ?」


「そのままだ。つっても指紋認証のシステムは生きてたから俺のを登録しておいたよ。」


「そうか。だがセイゴは冒険者登録とかはしたか?」


「してないが、大方説明は聞いてある。その上できな臭かったから登録はしなかった。今は身分証明書も持ってなかったし、何よりも上層部の人間が賄賂を貰っていた形跡があったから今は裏の世界で生きてるさ。コイツの詮索もされないからな。」


銃を見せながら話す。


「そうか、冒険者ギルドの上層部は潰しておく。それで銃はそこで見つけたのか?」


「いやどっちも初めから持っていた。」


「どういう原理かはわからないがお前は呼ばれてきたと言った感じが一番納得できるな。」


「ああ俺もそう思う。それと妙な記録があった。コイツは英語だから読めるだろう。」


そして今度はメモ帳を出す。


[我が愛しき家族へ、私は既に死んでしまった。他でもない人の過去の制裁によって根源たちは既に復活しているだろう。過去、神の名の元に魔を滅ぼしてしまった代償だ。それが2000年の時を超えてやってきた。私たちは目を背け続けてしまった。信仰という心の拠り所ばかり見ていた。根源たちは牙を剥くだろう。私たちが敬愛なる教徒を殺してきた歴史に復讐する為に。]


「これは明らかな三大宗教に対する復讐と見ていいだろう。この学者は根源、恐らく様々な地方宗教によって信仰されていた精霊信仰及び獣信仰の信仰対象。教徒の殺害という点ではオーディン教も含まれてるしエジプト文明もそうだ。ギリシャなどは少々わかりづらいが半々で見た方がいいだろう。」


「セイゴ、それだけだと世界の祝福に関することは無かったのか?」


「無かった。だが、一部のダークエネルギーの観測と同時に別のパルス波が観測されたとは乗っていたがな。それから推測できるのはダークエネルギーが認識されたことによる反応と考えるのが妥当だしそれが《世界の祝福》の正体では無いかと推測できる。」


「世界の祝福もまたダークエネルギーの一種か。俺たちの時代じゃあ未だ未発見で未解明と謳われたアレがここまで影響を与えてくるとは好奇心は破滅を呼ぶというが正にそうとも取れるしメモから見ると過去の忘れ去られることを強制された制裁とも取れる。」


理論が非常に難しいと思うかもしれないが要約すると物理で習う。有ると思われているが現在の人類の認識では発見できていないものが二つあるダークマターとダークエネルギーと呼ばれるものだ。しかしあくまでこれは総称でありその種類は人類の想像を超えると言われている。ではこの中に魔力と呼ばれるものが含まれてもおかしくない未知なのだ。この場合において《世界の祝福》もその中の一部と考えられる。


「難しいな。俺たち日本人は無宗教だし、信仰と呼べるものは全て取り込みご利益に預かろうとする体質だしクリスチャンはハロウィンを祝う習慣もある。最も信心深いムスリムは歴史を知らないし、仏教はどちらかというと来るも去るも拒まずの精神であり尚も精霊信仰と共に有ると考える宗派も多い。三大宗教の復讐とは早計だったか。」


「だが少なくとも歴史上は魔女狩りを行った宗教はある。」


「しかしそれは三大宗教とは限らないし、民族宗教の中からは迫害、差別を行うものも多かった。」


「ふむ、謎は深すぎるか。俺たちの考えることではないな。」


世界の祝福と魔力による人類の謎は深まるばかりだった。


「だがロレン君と言ったか?プロ冒険者にするのだろう。彼に受け継いで貰うのはどうだ。」


「悪くないが一応ロレン君はまだ5歳だ。スライムの分裂回数能力を応用してあそこまで身体は成長しているがな。まだ早すぎる。」


「ではロレン君のやることが終わってからにするか。」


「ああ後ロレン君に銃の早撃ちの仕方を教えてくれるか。」


「ほう彼も使えるのか。しかし俺みたいな遠距離も早撃ちでさせるには難しいぞ。」


「構わん。彼は努力を惜しむことはしないからな何より今大人の身体で20歳になったらどうなるかな。」


「なるほど、クククやはりお前は変わっていないな。」


こうしてユウイチは友との会話を楽しんで言った。

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