感謝
「なんでだよーなんで返しちゃうんだよー。」
風の精霊ことスーホが目の前にいた。
ロレンは未だ傷が癒えていない事に気づく。ファニとチェシルの気配も感じない。
「じゃあ今絶望させればいいかなー。ボロボロだしー!」
風を、竜巻を展開するスーホ。
だが止める者がいた。
「なんでーそいつをー守るのさーレイ。」
水の精霊、レイだ。
「ダメ。」
「だーかーらーなんでー?」
「根源。」
「レイのー根源はー違うでしよー。」
「根源。」
レイは主張を一点張りにする。
「わからないなー。いくらーレイでもー邪魔するならー手加減しないよー。」
「[水]」
レイはロレンの傷を無にし万全の状態に治療した。
「なんでー癒すのかなー。[風]」
ロレンを竜巻で攻撃する。
「ちっ!どいてろ!」
ロレンは前に出てレイを守る。
竜巻を己が身体のみで腕を刀にして斬撃を繰り出した。
「なんでーあなたースライムーいないのにー斬ってるのー。」
「氣と魔力の使い方は難しいな。」
「貴方ー魔力ー使ったのー?」
「こんな感じか?[擬似・鍛錬山]」
ロレンの肉体が盛り上がる。
「これだけーならー[風]」
今度は鎌鼬が出る。
「チェスト!」
今度は拳圧で鎌鼬を全てスーホに押し返した。
「効かないよー僕風だものー、ってうわぁ。」
血飛沫が上がった。
「どうしてー魔力ならー効かない筈だよー。」
「さあ、なんでだろな?」
不敵に笑うロレン。
「なんかー知ってるなー[風]」
スーホは傷を治した。
「ああ知ってるぜ。後1秒後に弾丸がお前に届くことをな。」
レイの水の弾丸がスーホを狙っていた。
「なっ!」
スーホの関節が全て外れた。
「スーホ。」
レイはスーホに向かい怒りの眼差しをぶつける。
「もーなんでーレイはー怒るのかなー?」
関節をすぐさま戻しレイの怒りに疑問をぶつけるスーホ。
「根源。」
「レイはー水がー根源でしょー。」
「違う。」
「えーそう言ってたよー。」
「信仰。」
「えー信仰ー?わからないよー?アールブ達じゃないのー?」
「主人。」
「その人はー僕たちのー主人にー慣れないよー?」
「私だけ。」
するとレイの身体が崩れ透明なスライムとなった。
「レイはースライムだったのー?」
「違う。」
「じゃあなんなのー?」
「原初。」
「難しいーわからないーもー勝手にーすればー。あー面白くないなー。」
スーホはとうとうロレンに力を押し付けるのを諦めたらしい。
「契約。」
スライム状の形態のままロレンに契約を迫るレイ。
「出来ないと思うぞ。」
「契約。」
うむを言わさぬリピート。
「わかったわかった。」
ロレンはしょうがなしに手を前に出す。
「我が名ロレンを持って生の根源たる
の汝、名において
全なる一を覗かん。」
契約ができてしまった。それに疑問に思う間も無くロレンに柔らかな感触が伝わる。
「ありがとう。」
レイが人間体になり抱きついてきた。
「帰る。」
そしてロレンは現実に引き戻された。
「主君戻って来ましたか、…水の精霊様!?」
「大丈夫。」
「あーなんか契約した。」
「「しゅじ〜ん!」」
2人の女性がロレンに抱きついてきた。1人はチェシルだ。もう1人はファニの色の髪を持つ美少女だ。
「お前ファニか?」
「ぞうだよ〜じゅじん〜。」
「ブァニもでぎるようになっでだんてす。」
どちらも涙と鼻水を垂れ流しロレンに必死しがみついていた。
「そうかあ、心配かけたなあ。」
ロレンもまた一筋の涙を流した。
それは自分がこんなにも愛されそして好いてくれる相棒たちが居ることにロレンは心満たされた。そして心配してしまったことを悔やんでいた。
「ありがとう、ファニ、チェシル。」
涙は止まらない。
ファニとチェシルはただ、ただロレンに抱きついて思いを伝え、今は生きていることに感謝した。
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