修行生活1日目(2)

あれから5回も病原体を変えて同じことをしたロレンの体力は限界を迎えていた。


「よし、今日の抗体作りはここまで。次は飯食ったら依頼を受けていくぞ。」


ロレン達は真っ白に燃え尽きていた。


「・・・」


ぐにょーん。


ぐでーん


「飯食わねえと力出ねえぞ。」


そう言いユウイチはロレン達を担ぎ上げ、商会にしている食堂に行く。


「おーいおばちゃん。こいつらに飯作ってくれあと水分、俺はいつもの。」


ユウイチは注文を済ますとロレン達を席と机の上に置く。


「おーいロレン君や、大丈夫か。」


「う、ん。ファ、ニ達が、支、えて、くれたから。」


「うんうんまだ喋れるから大丈夫だな。」


(謎の声S:まともじゃねえ。氣と魔力なんて便利なものがなかったら死んでる。ロレンの精神力もすでに大人以上だ。)


「はいよ。梅ジュースとゼリーとヨーグルトの盛り合わせ、後は魚定食だよ。」


そう言ってロレン達の方に梅ジュースと蒸し鶏の盛り合わせを置き、ユウイチの方に米となめこの味噌汁(白味噌)と頭が出っ張った焼き魚が置かれた。


「おっ!今日の魚はハンマースネークヘッドか。美味そうだ。」


「たまたまいいのが上がってね。それより会長さん、その子は大丈夫かい。どうせ甥かなんかなんだろうそこまでやらせて親が心配しないかい。」


食堂のおばちゃんはロレン達を心配する。


「まあ一番下の弟の義息子だが、本人と親の了承はとってある。」


ロレン達の方を見ると梅ジュースをストローでぐんぐん吸い込みゼリーとヨーグルトをパクパク食べたていた。


「それでもさね。」


「一番下の弟いわくプロ試験を入学前に受けさせるらしい。」


おばちゃんは目を丸くする。


「あの試験にかい。こんな年端もいかない子にさせるとか正気じゃないさね。」


「あいつはRランクだ。大変さも知ってるだから望んだ子供にしかやらせていないが、今回は俺が引き受けることになったからな。手は抜かん。」


「そんな大層なランクじゃあ子供も憧れるさね。まあ身体が資本しっかり食べておきな。」


そう言いながらロレンを撫でて去っていくおばちゃん。


「ご馳走さま。」


ロレン達は夢中になって食べ、あっという間に皿から掻っ攫って行った。


「ちょっと待ってくれよ。」


ガツガツ


「ご馳走さま。」


ユウイチは早食いして食べ終える。


「しっかし、ロレン君の曽祖父母は聞く限り俺とユウゾウの同郷だな。」


「そうなの?」


すっかり調子を取り戻したロレン。


「多分な。じゃあ依頼に行く前に武器を観に行こうか。」


「武器?」


「業魔のイメージの参考になるかもしれないだろう。」


そう言いながらユウイチはロレン達を案内した。


「ここが俺専用の武器庫だ。」


そこにはロレンには見た事が無い近代兵器、近未来兵器の数々があった。


「わからない物の方が多いから質問は幾らでもしていいからな。」


ユウイチはそう言うと入り口近くの椅子に使った。


ロレンはズンズン進んでいく。そしてふと目に入ったものがあった。


「ねえユウイチ叔父さんこれは?」


「そいつは銃、所謂豆鉄砲をボウガン以上に威力を高めたものだ。」


「違くて、これの名前は?」


ロレンは銃のなかでもリボルバー製のある1つのみを指差す。


「プロトタイプのリボルバー、ピースメーカー。意味は平和の創り手。」


「じゃあこれは?」


なにやら折りたたみ式のリボルバーを指す。


「渋いものばっかり興味持つな。アパッチリボルバー、メリケンサックとナイフそしてリボルバーを合わせた武器だが欠陥武器と呼ばれるくらいに威力がどの銃、どのナイフを見ても低い。」


「この2つのうちどっちが良い、ファニ?」


「まだまだたくさんの武器があるがその二つでいいのか?」


「うん、この2つが強そう。」


懐かしむようでいてどこか悲しげな表情をするロレン。


「ならどっちも使えるようにファニを特訓するか?」


「「そんなことできるの?」」


「可能ですよ。もっともスライムのみの話ですが。」


「おいおいチェシル、俺のセリフを取るなよ。」


「なんでチェシルが知ってるの?」


ロレンはチェシルが知っている意味がわからなかったため詳細を聞く。


「花の精霊達が教えてくれました。」


「一部の上位精霊や老竜は業魔について知っている奴もいる。特に上位精霊種は物に宿るものが多い。だから何世代もの人の人生を見ていることがある。だから知ってるんだよ。」


「ユウイチ叔父さんもそうなの?」


「俺は少し違う。仙人に教えてもらった。」


「仙人?」


「精霊人に成ろうとした人間だ。今は知らなくていい。プロの冒険者に成れたら自分で探しなさい。」


「はーい。」


「それじゃあこの都市の冒険者ギルドに行こうか。」


そう言うとロレン達は商会を出て行った。

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