青の挑戦状と薄紅銀の婚約指輪
「ファニ、ロレンと結婚したいんだね。{ジョリジョリ(短刀を研ぐ音)}」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
「うん主人と合体したい。」
(謎の声S:この度は作者に代わりまして、非常に不健全な言葉を用いてしまったことを深くお詫び申し上げます。しかしながらも作者は青少年に悪影響を与えないよう独特な表現で有名な国語辞典を参考にしておりますので何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。改めまして不健全な表現を作者が使ってしまったことを深くお詫び申し上げます。)
「ファニ、それはどういう意味かしら。(ほほう親の前で堂々と貞操を奪いたいとはいい度胸だ。)」
「違うよ。母さん私は主人と業魔を早くしたいの。」
「もう、ファニったら紛らわしいこと言わないの。でもなんで人型になる必要があるのかな?」
「なんとなくその方が良さそうだと思ったから。」
「ふふふふふふふふふふ。」
大気が震える。
「まあまあアンネさん。ロレンの将来のことは当人に任せるのが大切ですよ。」
ユウイチ、よくぞあの場に足を踏み入れた。
「そうね。今のうちにロレンをお母さん好きにしておかないと。」
ボソっと小さい声で呟く母
「…………」
聞いてしまった人物は既に般若によって悟りを開かせれていた。
「ねえファニ、僕は業魔できると思う?」
「できるよ。だって主人は主人だもん。」
理由が理由になっていないファニ
「ファニよ。君は以前主人がいたようだが何があったかを聞きたいのだがいいだろうか?」
般若の精神攻撃から復活したユウイチがロレン達が前々から気になっていた質問が飛ぶ。
「ごめんなさい私思い出せないの。思い出そうとするとなんか主人のロレンの顔しか浮かばないの。」
「そうか悪いことを聞いた。ではここに来るまでに何があったかは覚えているかい。」
深くは追求せずここに来るまでの経緯を聞くユウイチ。
「うん、炎に包まれた街を見たのしか記憶に無いけど。それで気がついたら森にいた。」
「火事のあった街で転移系が使えるモンスターが訪れたもしくは住んでいたか。あとで調べるとしよう。ありがとうファニ。」
「うん、じゃあ主人に業魔のやり方を教えて!」
「うーんこればっかりは感覚としか言いようが無いのでな。代わりに人型のなり方と細胞についてもう少し詳しく教えようか。」
「うん、お願い。」
こうしてユウイチとの楽しい食事の時間は終わった。
◆◆◆
現在ユウイチとロレンを含む子供組は森を進んでいた。
「ふむ。オーガグリズリーか。」
前方5メートルに4メートルは越えよう毛皮越しでもわかるほど発達した筋肉を持つ額に角を生やしたクマ系モンスターがいた。クマ系モンスターは《犬の祝福》で契約できるモンスターにあたり千のような虎系モンスターと双璧を成す哺乳類系最強種の一角だ。
「さて少しばかり叔父さん達、シンキョウの闘い方を見せようか。ロレン君、ファニよ、氣と魔力を互いに送り合ってよく見て起きなさい。」
そう言いユウイチはオーガグリズリーに向かい歩いていく。
ロレンとファニはユウイチの指示通りロレンは氣をファニは魔力を送る。すると互いの中を循環するように巡りまわり見えない景色が感じられた。そしてユウイチとオーガグリズリーに二つのナニかを循環させているように見えた。
「さて
オーガグリズリーは二足になるそしてその剛腕を振りかざす。
ユウイチは腰を落としてガゼルパンチによるカウンターを放つ。その際ユウイチの循環していたものがオーガグリズリーの中に二つのナニかが入っていった。
ガゼルパンチを耐えたオーガグリズリーはその有り余る筋肉を使って今度は両腕を用いて爪をふりかざす。
がユウイチは背を向けロレンの方に歩いてきた。
「これがシンキョウの闘い方だ。」
バタッ。
ロレンは観た。ユウイチの流したものがオーガグリズリーの循環しているものを止めていたことを。
「さてこのオーガグリズリーは生きているから今のうちに目的地に行こうか。」
そう言い歩を進めた。
◆◆◆
ルタと闘った件の桜と銀木犀の木が見えてきたのだが....
「枯れてる?」
レナが口にする。確かに前回訪れた時まで葉を伸ばして生き生きとしていた桜と銀木犀が既に無残な姿で倒れ枯れていた。
「ああ完全に木の根元も栄養が行き渡らなくなって枯れちまっている。」
ユウイチは冷静に分析する。
「どうして枯れちゃったんだろう?」
ミーナもまた疑問を口にする。
「おそらくチェシルが世話をしなくなったことで枯れたのだろう。」
「でも木ってそんなすぐに枯れるもの?」
ビアンカは普段から森に遊びに来ているため木の枯れるスピードもなんとなくではあるが理解している。故にユウイチの言葉に疑心を抱いている。
その間にチェシルが桜と銀木犀に駆け寄っていた。
「「チェシル。」」
ロレンとファニがチェシルの気持ちを察した。
チェシルは覚えたばかりの触手でめいっぱいの薄紅と白の水のシャワーを噴射した。
まるでチェシルが泣きながらもお世話になった恩師への努力の成果を見せてチェシルなりの供養をしているようだった。
そして桜と銀木犀から光が出てきた。
「私達の世話をしてくれたスライムとその主人の方。」
頭の中に直接声が聴こえてきた。ロレンはあたりを見渡すが誰もいない。
「誰?」
だがチェシルは知っていた。
チェシルは桜と銀木犀にシャワーを浴せるのをやめ、ロレンを触手で桜と銀木犀の元へ引っ張る。
「チェシル?」
そしてロレンの手を桜と銀木犀の両方に触れさせる。
するとロレンの視界は花を満開に咲かせた桜と銀木犀が現れた。そしてその木の下には薄紅の髪をした美しい女性と銀色をした妙齢の女性が立っていた。
「私達は、」「花の」「精霊。」
「名は」「無い。」
なんとも聞き取りづらい喋り方である。一人一人交互に喋っているのだが何故か自然と頭に入ってくる。今気がついたがロレンは身体を動かしたり声を出すことができなかった。
「私達は」「死ぬ」「はずだった。」
「寿命で。」「でも、」「彼女は」「栄養」「くれた。」
チェシルを指差しながら言う花の精霊
「彼女の」「祝福」「持ってた」「絵を」
「描いてた」「少女」「そして」「中年」
「どっちか」「彼女の」「面倒」「見て」
「もらい」「たかった。」
どうやらチェシルと契約をしてもらいたかったらしい。
「だから」「それ」「知らせる」「ために」
「咲かせた」「花。」
「でも」「気付いて」「貰え」
「なかった。」
花が不自然な咲き方をしていたのはそのせいらしい。
「でも」「あなたが」「来た。」「契約」「して」「くれた。」「だから」「安心」
「した」「彼女」「の事」「あなたは」
「彼女の」「居場所」「だから」
「護った。」「これで」「最後」「花は」
「あなた達が」「咲かせて。」「私達は」「もう」「いなく」「なる」「から」「身体」「彼女に」「あげる」
「最後に」「あなたの」「こと」「教える」「あなた」「最恐と」「約束」「した」「だから」「あなたの」「記憶」「無い」「でも」「教える」「無理」「だから」「ヒント」「教える」「あなたと」「彼女の」「業魔」「記憶」「関係」「ある」「もの」「出て」「くる。」「それと」「あなた」「最恐と」「約束」「した」「天秤を」「祓うこと」「あとは」「自分で」「見つけて。」「それじゃあ」「彼女を」「よろしく。」
「「さよなら」」
ロレンの視界はそこから元に戻された。チェシルは桜と銀木犀を取り込み姿を変えた。
「これは業魔?いや進化か!?」
ユウイチはチェシルの方を見る。
チェシルは薄紅色の髪と銀色の髪が綺麗混じった髪で眼は緑色の20代の美女になった。
「チェシル、レナ姉さんにアレをお願い。」
「はいロレン様。レナ様失礼します。」
チェシルはレナの頭に光を灯す。
「ロレン?」
突然振られたレナ慌てながらもチェシルを受け入れる。レナの奥底に眠る何かが浮かび上がった。
「マッコリ、[業魔・母なる淑女]」
マッコリがレナの全身を光と共に包み込む。その光が止んだときレナは10代後半ほどに成長していて髪をワスレナグサであしらわれた簪で纏められていた。
「チェシル、[業魔・桜翁、犀花]」
チェシルはロレンの中に入り込んで成長させ、桜の形をした5枚に別れた刃の手裏剣を2つと一本の銀木犀の花の飾りと一体型となった簪に似た棒手裏剣が握られていた。
そしてロレンの服が忍び服に変化してロレン自身は20代ほどにまで成長した。
ロレンは懐かしさと悲しさを思い出した。思い出したのは、死んでしまった曽祖父母の記憶。それ以上は思い出せない。だがロレンの心は瞬く間に成長を遂げた。
レナはまだ思い出せそうで思い出せない何かがあった。だが1つだけ思い出したもの、否変わらなかったものがあった。
そんなレナにロレンは宣言する。
「レナ姉さん。僕の記憶が戻ったら結婚して下さい。」
レナに向けてベースが薄い紅色の金属で作られ、周りをシルバーでできた銀木犀が飾られた桜の婚約指輪を送った。
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