叡智の主人達 ※注意※この話は食事中とその前後には大変不快な思いをさせる可能性があります。

ロレンのはビアンカ達がお風呂に入った後も眠っている十に氣を送ろうととにかく踏ん張っていた。


「ふぬぬぬぬ。」


「ロレンまだやってたの?」

お風呂から上がってきたばかりのビアンカが聞く。


「うん。」


「もうそれくらいにしておいて絵本を読もう。煮詰まっても何も出来ないよ。」

こちらもお風呂上がりの銀髪の濡れたレナである。


「分かった。」


「じゃあ絵本を読むからみんな私のベットに来て。」

ロレンとレナはビアンカのベットに入る。ロレンは寝ている十を抱えて。


叡智の主人


とある4人冒険者居ました。

4人の冒険者はそれぞれ人気の無い《世界の祝福》を授かっていました。

1人は《ゴキブリの祝福》を

1人は《屍喰グールの祝福》を

1人は《ゴブリンの祝福》を

最後の1人は《スライムの祝福》を

4人はギルドに登録するときに出会いました。

4人はみんなそれぞれ人気の無い《世界の祝福》だったのですぐに意気投合しました。

4人はパーティこそ組みませんでしたが互いに情報を交換したり、自分達の相棒の有用性を見出したりと様々なことを4人でやりました。


4人は最終的に自分の相棒を増やし軍を成す事で強くなりました。


結果、4人は街の英雄にまでなりました。


しかし、ある日 《スライムの祝福》を持つ人と他の3人が仲違いをしてしまいました。


そして《スライムの祝福》を持つ人は街を出て旅に出ました。


他の3人は街で冒険者を続けました。


それから5年の月日が経ち戦争が起こりました。


街に居た3人も戦争に参加します。


戦争では神やドラゴンと言った上級モンスターの主人達を筆頭に行われました。3人も案を出しましたが下級モンスターの主人だからと言って見向きもされません。


3人の住んでいる国の軍はどんどん押されています。その原因は3人の言ったところばかりでした。


しかし軍の偉い人は自分が悪いとは認めず自分の意見を通したままでした。


3人は軍の偉い人たちは信用できないと他の冒険者たちに呼びかけました。しかし、下級の《世界の祝福》を持つ者言うことなど街の英雄といえども国の英雄とまでは言われなっかた3人の英雄はただの井の中の蛙。信用もなくやはり聞いてくれません。


そうしている間にも軍はどんどん負けていきます。


この戦争は敗戦かと思われたその時です。


敵国の軍の中心に一つの隕石が落ちました。


「国王の友人として助太刀に入った。」

そう宣言するは黒いドラゴンの背に乗り仮面を被り黒のロングコートを着た白髪の青年でした。


「「オオオオオオォォォォォォ!!!」」

国軍に活力が戻り雄叫びが上がります。


「軍の元帥はいるか。」


「は、ここに」

3人の考えを拒否した軍の偉い人が答えます。


「オマエはこの3人の言うことを拒否したな。」

まるで戦争の状態を見れば解るとでも言うかのように言います。


「私には何を言っているのかわかりませぬ。」

軍の元帥は図星を突かれたので冷や汗を掻きますがごまかそうとします。


「とぼけるな!!」

青年が一括します。軍のもの達は思わず一歩引きます。


「おまえらが下級の《世界の祝福》だからと言って意見を聞かなかったのは目に見えている。なぜならば、俺はこの3人と共に戦術を練ったものたちなのだから。この戦、指揮権はこの3人に移譲する。」

有無を言わさずと言った口調で言う青年。


「それはできませぬ。何よりあなた様に権限がない。」

そうなってはたまったものではないと反論する軍の元帥。


「これを見ろ。」

青年はある書状を出した。


「それは王家の印が押された軍の委任状!?」

軍の元帥は驚愕します。その書状にはこの戦争のみ軍の全権限を青年に託せと書かれていました。


「わかったら、とっと行け。」

軍の元帥は項垂れながらも戦場から引いていきます。


「3人とも詳しい話は後だ。右翼、左翼、中央の指揮は任せた。俺が敵を錯乱するその間に頼む。」


それは相棒こそ違いましたがその声はかつて道を違えた戦友の《スライムの祝福》を持つ者でした。


「「「わかった。後は任せろ!!」」」


その道は違えど同じ街で生まれ同じ街で冒険者となった彼らにはかつての仲違いなど街を守ることに比べればどうと言うことなどありません。


「行くぞ。スライム達よ。」


青年がそう言うとドラゴンと先程放たれた隕石が崩れ無数のスライムとなった。


「[榴成群りゅうせいぐん]」


スライム達は一匹一匹は砲弾となり敵軍の主人やモンスターを攻撃していきます。


「右翼の中で《蟻の祝福》の奴は居るか!」

指揮権を任せられた《ゴキブリの祝福》を持つ者が叫びます。


「はい。私と彼女がそうです。」

女性達が手を上げます。


「巣を作るタイプが蟻塚なら盾や防具の隙間を埋めて補修してくれ、穴を掘るタイプなら前線に来て貰うが良いか。」


「はい、私が前線に出ます。」

手を上げた女性が返事を出します。もう1人の女性は防具などの補修に回ります。


「じゃあ俺と一緒に相棒コイツらに乗れ。残りの面子は前線で年長者を伍長とし編成を組んで戦え。なるべく同じ属性で集まれよ。」

そう言い《ゴキブリの祝福》を持つ者が乗り込むはもちろんゴキブリ。その中でも大きめの種類のトールコックローチ体長は3mそれだけでも十分にキモい。女性は引いてしまったが勇気を振り絞りゴキブリの背に乗る。


そのまま前線の近くに来ると女性を下ろした《ゴキブリの祝福》を持つ者は女性に指示を出します。


「貴女は相棒とこの辺りに中央に繋ぐように穴を掘ってくれ。」

女性は意図はわかりませんでしたが、指示に従います。


「俺は他の奴らと前線で敵を食い止める。」


「はい。」


《ゴキブリの祝福》を持つ者は飛び去り前線に向かいます。


「いくぞゴキブリ達よ。[食生活発]」


ゴキブリ達は羽を震わせ音を鳴らします。


すると相棒であるゴキブリ達の他に近くの森から野生のゴキブリモンスターが出てきます。その数およそ10000、それを操るは《ゴキブリの祝福》を持つ者。


「[食残飯抜]」


ゴキブリ達は敵の柔らかい部分を重点的に狙い襲っていく。その光景は正に地獄絵図。右翼の戦線は瞬く間に復帰した。


あなたの家の台所ももしかしたらそんな光景が映るかもしれないから、掃除はまめにね。


「左翼は消耗が激しい。だから、お前らは一旦下がってろ。」

そう叫ぶのは《グールの祝福》を持つ者。


「しかし、それでは前線が保たれません。」

国軍の1人が叫びます。


「馬鹿野郎!なんのために俺たちが居ると思っていやがる。前線は俺と相棒に任せろ。[グールネクロマス]」

次々と地面からグールが出てきて左翼の前線に加勢します。


しかし、敵軍も黙って殺られるわけにはいきません。兵士の1人が火竜に火のブレスを吹かせます。グール達は燃えていきます。


「ふ、[八熱地獄・大車輪]」


グール達は火だるまになりながらも敵に突き進んでいく。そして敵にぶつかると敵はそれほど燃えてはいないのにもがき苦しみます。


「グールは死んでいるからな。きちんと受けるところさえ見極めれば動けるんだよ。」

これで左翼の面々は休息を取ることができます。


右翼こっちは終わったぜ。後、中央頼むぜ。」

《ゴキブリの祝福》を持つ者が《蟻の祝福》を持つ者の作業が終わったことを伝えます。


「中央の貴族どもてめーらは無駄に力があるし加減ってモノを知らねえ、だから簡単な指示にしといてやる。全員敵の手前に攻撃しやがれ。」


「貴様、下級の《世界の祝福》の分際で。」


「この軍の全権が中央の指揮を俺らに任せたんだ。国家反逆罪になりたくなければとっとやりな。」

貴族達は《ゴブリンの祝福》を持つ者の指示に激怒しますが国家反逆罪となってはたまりません。怒りをぶつけながらも敵の手前の地面に攻撃します。


「いまだやれ!」

《ゴブリンの祝福》を持つ者が《ゴキブリの祝福》を持つ者に向かって合図を出します。


「おう、お前ら全員退避しろ!」


疑問をあげる者もいますが左翼と中央の軍が退避していきます。


ズドドドドドド


水が左翼と中央の戦線に吹き出しました。

瞬く間に川のようになり土砂を流して敵を殲滅していきます。


「よっしゃ。行くぞゴブリン達。」

ゴブリン達はいつの間にか右翼へ移動しておりそこからグールと交代でどんどん前線を上げていきます。


ゴブリンは体格が小さく頭も人間のイタズラ小僧ほどには回るため敵の足を引っ掛けたりして敵を翻弄していきます。


「そろそろだな。[小魔遊戯こまあそび]」

ゴブリン達は主人の指示のもと、様々な遊びを模した攻撃を仕掛けていきます。


鬼ごっこのように敵をおちょくるように逃げたかと思えば、おびき出し敵を囲み網を張ると袋叩きにしていく。


「でかいの来るぞ。みんな隠れんぼだ。」


ゴブリン達は土砂流しによって起きた地形変動に乗じて各々隠れていく。


敵軍にいる神族ルゴスによって極光の矢を生み出し隠れているゴブリン達に向かって放つ。


「[スライム甲榴弾]」

極光の矢と青年のスライムがぶつかる。


ズドーーーーーーン


爆発が起き両軍に降り注ぐが、青年達の国軍は既にゴブリン以外は避難していて然も肝心のゴブリンも物陰に隠れているため被害はゼロである。

対して敵軍には爆発により死者こそ出なかったものの火傷により被害が出ていた。


「我、一騎打ちを申し立てる。」

先程、神族ルゴスによる攻撃を仕掛けた将軍である。


「承知した。」

青年も承諾し、スライム達を集めてドラゴンの姿にします。


「我が名ハンニバルとその生を共にするケルト神話主神ルゴス。」


「我が名エンツォとその生を共にするはドラゴンスライムズ。」


「「いざ、尋常に!」」


「[メテオブレス]」


「[極矢の導き]」


ルゴスは先程よりも巨大な極光の矢を放ち、ドラゴンスライムズは登場したときに降らせた分裂体のスライムを集合させた隕石ブレスを吹きます。


そして2人の技がぶつかると爆音と共にキノコ雲が巻き上がります。


「[業魔]」


ドラゴンスライムズがエンツォの身体を包んでいく。


「[竜の禊]、[処刑竜エクスキューター]」


そして現れたのは右手には刀身に東洋竜の彫刻があしらわれた刃渡り30cmほどのナイフを持ち、左手には弓には西洋竜の彫像を持ちいて弓の弦を抑えるところが東洋竜の彫像となっているボウガンを収めた籠手を装備したエンツォの姿であった。


「そのようなことがスライムに可能だとはな。」

将軍の問いにエンツォは答えない。


「こちらも行くぞ。[閃光閃日せんこうせっか]」


先程とは比べ物にならないほどの速さと威力の光の攻撃が放たれた。


エンツォは避けない。否、避けられない。避ければ確実に国軍の兵士が死ぬからである。この戦いは一騎打ちされど巻き込まれれば自己責任となる。そのため一騎打ちの名誉は傷付かない。しかし、それでは一騎打ちが終わった後に国軍は負けることを予見したエンツォは避けない。


エンツォはボウガンに矢をセットすると最も威力の乗る距離に矢が当たるよう予想し更に攻撃の核となる部分に的を絞りギリギリまで待って放つ。


爆発は起きず各々の技を完全に相殺する。


「な、私達の最強の技が!」


ハンニバルとルゴスの最強の技が完全に相殺されたことで見せた動揺による油断。青年はそれを見逃すほど甘い人物ではなかった。


空中にいるルゴスに向かって跳躍し、一気に間合いを詰める。


ルゴスは主人の指示を聞く間もなく反射てきに光の矢を10発ほど放つがエンツォは一つ目を首を捻って避け後から五発を足と身体を捻りその遠心力で回避して残りの弾道から流れながらもルゴスに近づく。


身体が接触しそうな位置まで間合いを詰めるとナイフで頸動脈を切ったかと思えばすぐさま頭をナイフで刺して固定し膝蹴りを顎に当てる。サッとナイフを引き抜く。


この一連の流れは一切の無駄が無く的確に脳を揺らし流血の意識を逸らしていく神技であった。止めどなく流れ出る血はルゴスの体力を減らし顎の衝撃によって朦朧としている意識を更に昏倒させていく。流石の神族もこれにはなすすべがなく神界へと送還された。


「我が国の負けだ。皆の者白旗を上げろ。戦争は終わりだ。」

ルゴスを倒されたハンニバル将軍は降伏し、兵を撤退させる。


「国軍よ。見たか!聞いたか!戦争は終わりだ兵士よ攻撃をやめい。」

エンツォも兵を下げるよう指示します。


こうして、戦争は終わり4人の英雄はその功績と名誉を称え

『叡智の主人達』

そう呼ばれるようになりました。


この絵本はある壁画をそのまま訳して書かれたものですが、《スライムの祝福》を持つ者のスライムドラゴンズは未だに発見はされておらず、どのような進化を辿ったかは定かではありません。しかし、壁画自体は歴史を描いたものであることが証明されているため、ただの物語というわけではない。あなたはこの真実にたどり着けるでしょうか。



「はい、終しまいもう寝ましょう。」


「うん、ロレン、ビアンカ、ファニ、ラルおやすみ。」

そう言い今日は自分のベットに入っていくレナとマッコリ。


「うん、おやすみ。」


「おやすみ。」


ロレンとファニも自分のベットに入って眠りにつく。十はファニと一緒に固定しながら寝かせている。


叡智の主人達のようになりたいと願って。


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