公園デビュー、ドッチスライム?

父から少しばかり訓練の内容を変更するため今日の訓練は中止するとの連絡を聞かされたロレンはビアンカに誘われて村の広場で遊ぶことにした。無論レナも一緒である。まあ、いわゆる公園デビューの引っ越してきた人版みたいなものである。


村の広場

「紹介するわ。この子が私の新しい家族で次男になった弟のロレンよ。」


「ロレン、5歳です。よろしくお願いします。」

5歳という年齢相応の自己紹介である。


「へえこの子がロレン君なんだ。可愛いね。」

そう言うのはミーナである。


「うんうん、ロレンは可愛いよね。」

ブラコン姉のレナ、ブレない。


「ねえねえ、ロレン君私はミーナって言うのビアンカお姉さんと同じ7歳よ。アンネおばさんの授業で何回か家にお邪魔することがあるから。お姉さんと一緒に授業するときはよろしくね。」

7歳にしては大人びた自己紹介である。


尚、ミーナも家の子供ほどではないが母の授業を受けている。母の授業では義務教育ではあまり勉強しないも行なっているため村の子供たちに学んで貰おうと村の奥様方が頼み込んでいるのである。


「うん。ミーナお姉さんよろしくね。」

うんうん、やっぱこの子純粋でええわ。


「じゃあ自己紹介も終わったし遊びましょ。」

そう提案したのはビアンカである。


「でも、なにして遊ぶ?」

あまり外に出ないレナちゃん。


「じゃあ、ドッチボールとかどう?」

答えが女の子らしくないビアンカ。


「ボールはどうするの?」

冷静な分析のレナ教授。


「ファニかマッコリをボールの代わりに使えばいいじゃない。」

なんか日本だと動物保護法に引っかかりそうなこと言ってるビアンカ。(バトルありの小説書いてる奴がなに言ってんだ。)


ここでチラッとミーナに目配せをする。その意味を汲み取ったミーナはこう発言した。


「うん、それがいいと思う。ロレン君、ファニを使ってもいい?」


「うん、いいよ。ファニも大丈夫だよね。」

ロレンの問いかけに対しファニは丸印を出す


「じゃあドッチボールのルールを決めましょう。」


〜相談中〜


「それじゃあドッチボールするわよ。」


ドッチボールのルールは以下の通りだ。

初期は外野なしの全員内野配置だ。

外野からの復活はありだけど1チーム1回までで当たるの判定は味方が取ったらセーフ、相手がとったらアウト、ボールが連続で当たった場合は最初に当たった人のみアウト、顔面に当たった場合はセーフとなった。尚、相棒であるモンスターも参加するがラルは審判となるためチーム人数には入れない。ボールの初期位置はファニが外野から回転して入った陣地からと言うことになった。


「じゃあ始めるわよ。レディーズアンドジェントルマン、審判及び実況はラルで送りするドッチボールだ!!尚ゲストには謎の声Sさんをお招きしています。」


「どうも謎の声Sです。姿は見せられないので声だけで、皆さん仲良くドッチボールをしてください。」

謎の声Sの姿は本当に見えず、ロレン達には声だけが聞こえてくる。


「それでは選手の紹介に移ります。あおコーナー我ら家のアイドルロレンアーンドゥ村長の孫娘のミィィィナァ、その相棒の白き鳥の哺乳類ハクチョウノハシのスワーーンヌ。対し赤コーナー実況私ラルの主人である紅色くれないいろの髪がチャームポインツのビアァァンカアーンドゥ我が村が誇る小さな学者ロレンを愛してやまないブラザーコンプレックスレナァァァ、そして、小さな学者の歯止め役秘書兼相棒クリムゾンスライム亜種ミルクスライムのマッコリだああああ!!」


ラルこれ以上にないくらいノリノリである。


「ラル、御託はいいからさっさと初めてちょうだい。」


「HEY!!マイマスターつれねえじゃないか。もりあげってのは勝負には必要なものだぜ。」

アメリカ映画に出てきそうなキャラになったラル。


「そんなのどうだっていいじゃない。」

どうでもいいと言わんばかりに言うビアンカ。


「いや、盛り上がりは大事。」

ラルの意見に賛成したレナ。


「お、レナちゃんはわかってくれるかい。」


「うんだから勝負に盛り上がりをもっとつけるために勝ったら相手チームの言うことを聞くっていう賭けをしよう。」

欲望のオーラが滲み出ているレナ。


「HEHEY!!そりゃあいいぜシスター。」

野次馬オーラバリバリのラル。


「ちょっとラル、レナ。ロレンは初めてなのよ。ちょっと不公平すぎない?」

経験者で年齢的な意味もあることを考慮して聞くビアンカ。


「大丈夫だよ。ビアンカちゃんロレン君はビアンカちゃんたちのお父さんの訓練を受けたって言うし私も村じゃそこそこ強いし負ける気は無いよ。ロレン君も大丈夫だよね?」

後押しするミーナ


「うん、やったことないけどそこそこ自身はあるしなんかそっちの方が楽しそうだからやろうよ。」

結構乗り気なロレン。


「ロレンがそこまで言うならいいけど。。後悔はしないでね。」

少しロレンが心配そうなビアンカ。


「じゃあ、始めるぜ。3、2、1、GOファニ。」


さあドッチボールの始まりだ。


ファニがくるくると回転しスライムコマとなる。そして時計回りに外野を回っていく。最初に陣地に入ったのは赤コーナーである。なんとレナがすごい威勢でボールに向かって走り手早くボール(ファニ)を取るとミーナ目掛けてオーバースローでボールを放った。


しかし、ミーナは身体を屈ませ避ける。そして、飛んでいったボールをスワンヌがキャッチ。


「む、なかなか。」


「レナちゃんこそ。次はこっちから行くよ。スワンヌ、ロレン君にボールをまわして。」


ロレンはスワンヌからボールを受け取るとレナと同じくオーバースローで投げる。しかし、これは明後日の方向に行き大きく外れ外野まで行った。


「試合は一旦stoopボールは赤コーナーから。」

審判ラルによる指示があった。


ビアンカはボールを受け取る。


「ロレン、残念だったわね。けれどこっちは容赦無く行くからね。」

そう言いビアンカはスワンヌを狙ってオーバースローで投げる。しかし、レナやロレンの投げたボールとは一線を画していた。ボールの回転量がちがいすぎていた。そんなキレのあるボールをスワンヌが取れるはずもなく手?改めて前足を弾かれた。


「スワンヌOUT。」


「スワンヌありがとう。」


「スワンヌ復活はYes or No?」


スワンヌは首を振る。


「おっとここでは復活を使わない緑コーナーこれは作戦でしょうか。」

実況モードに入ったラル。


続いてボールを持ったのはミーナだ。ミーナはサイドスローでボールを投げる。しかし、方向は明後日の方向これは外したか。


ビシュッ


軽くだが弾道が右に曲がりスワンヌの方にいったすかさずスワンヌがキャッチ、すぐさまレナに向かってボールを投げる。レナは避けようするが髪に当たった。


「レナOUT。」


「ビアンカ、ごめん」


「レナ復活はYes or No?」


レナは首を振る。


「赤コーナーも復活を使わない。これで互いに外野が一人ずつとなった。」


「実況解説のラルさんこれからどのような展開になっていくのでしょうか。」

謎の声Sが話す。


「おそらく、ミーナとスワンヌが使った様に外野を使った連携を使うとmeはみているぜ。」


ビアンカはボールを持つ。レナに目配せしパスを出す。レナはそれを幻のファイブマンのようにマッコリに回す。マッコリもまた移動しながら時折バウンドなどを混ぜてパスを回していく。その光景はまるでボールの嵐のようであった。


「ミーナOUT。」

ラルは宣告する。


「復活使います。」

ミーナは復活のカードを切った。


「OK やはり流石にロレン一人にするのはまずいと思ったのか緑コーナー復活をつかってきたぜ。」


続いてボールを持ったのはロレンだ。ロレンは先ほどの教訓を生かしオーバースローではなくサイドスローで投げてみる。


ギュイン


ミーナの放ったボールとは比べものにならないくらいの弾道の変化がありボールはそのままマッコリに当たった。


「マッコリOUT。」


「私が復活する。」


そう手を挙げたのはレナだ。


「OK、ここで赤コーナーはレナが復活だ。」


「ロレン、ミーナこの勝負もらったわよ。」

そう宣言したのはビアンカだ。


「それはどう言うことかなビアンカちゃん。私たちと条件は一緒だしレナちゃんの技はもう見切ったよ。」

半分挑発じみたことを言ってるミーナ


「ふふふ、レナの本気はこんなものじゃないもの。それにロレンへの命令権があるんだからレナのやる気は今まで以上よ。」


「こんな生々しいドッチボール見たことないですね。これタイトル付けるなら超次元ドッチスライム?」

そんな謎の声Sの呟き。


「さあ互いに火花を散らす両者この戦いの行く末はどうなるのでしょうか。」

その呟きをサラッと無視するラル。


レナはまたもマッコリとパスを回す。しかし先ほどとは異なりマッコリは分裂し3匹に増えていたその為正真正銘の幻のフォースマンと幻のファ◯ブマンが増えているという事態になった。


「嘘、それってありなの?」


「ありだぜ。スライムは分裂しても1つの個体として見なされる。だから、分裂体をOUTにしたら本体もろとも全てOUTっていうルールだぜ。。」


幻のファイ◯マン改めマッコリたちがレナとボールを回していく正に数の暴力。さあ勝負を仕掛けた、ミーナとロレンは避けるので精一杯だ。


「うぅ、ずるいよ。」

そう呟いたのはロレン、今回はファニがボールと待っている為同じ手は使えない。


「ロレン、勝負とは勝てばいいのだよ。だからお姉ちゃんはロレンへの命令権を絶対に手に入れるのだよ。」


「もはや只の悪役と化している魔王レナ、勇者ロレンどう立ち向かうのか。見所盛りだくさんだ。」


そんな実況をしてるうちにボールはミーナに当たった。


「ミーナOUT。」


「ごめんロレン君。」


「うんうん大丈夫だよミーナお姉さん。後は任せて。」


「なにこの子イケメン。お前が主人公だロレン。」

そう言ったのは謎の声S。


「謎の声Sさん。1人の選手に肩入れするのは良くないですよ。」

謎の声Sにまともなコメントを入れるラル。


「ありがとうロレン君頑張って。」

ミーナがロレンを応援する。


「ラルさんこれなんてタイトルのエロゲ?」

謎の声S、ツッコミ気味のボケをかます。


「そうですねショタとロリの勇者物語でいいんじゃないですか。」

今度はしっかり乗ってくれるラル。


そんな実況席はさておき試合は白熱する。


「フフフ、ロレンお姉ちゃんの技は攻略できてない。だから次で終わりだよ。」


「レナ姉さんには負けない。」


魔王レナに立ち向かう勇者ロレン。しかしボールを持っているのはレナだ。


レナは先ほどと同じようにマッコリと共にパスを高速で回しロレンに襲いかかる。


ロレンは何とかその攻撃を見極めボールを取る。そして素早くボールを投げるためにサイドスローの時よりも更に腕を曲げボールを押し出す形をとる。しかしこのままではボールは明後日の方向へ行ってしまう。そうさせないためにロレンはボールを腕全体で固定し放つ。


「え、速い!」


ロレンの放ったボールは速くレナに当たる。そしてレナを当てても有り余る威力を誇り、そのままビアンカにも当たった。


「嘘!?」


「レナ&ビアンカOUT。よって勝者ミーナ、ロレンペア。」


結果はミーナとロレンの逆転勝ちであった。

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