ファニと五女の共同研究

レナは洞窟の物置部屋となっている一室に居た。

「よいしょっと、ファニ、マッコリそれはこっちにどかして。」

レナ達は父に言われた通りまず掃除をしていた。


「これはあっちに置いといてと。次は、コレは本?」

その時レナが見たものとは


【男を上手く落とす方法ベスト10(R18)】


そう其れは正しく悪魔エロ魔道書グリモアール出逢った。興味を示したレナは魔道書エロ本を開く。無言のままページをどんどんめくっている。最後のページに差し掛かると

「フフフ、フハハハハ!!!コレで世界ロレンは我が物だ!!」


もうキャラがブレブレの姉である。しかしこの姉はまだ気づいていないまだロレンが真理エロに興味がないことに。


魔道書エロ本に気分を良くしたレナはそのままチーズ作りに入っていく。と言ってもただスライムに分裂してもらってチーズの中に入ってもらうだけである。


「マッコリ、ファニ、このチーズと同じ味になる様にできるかやってみて。臭いチーズは塩漬けの方に入ってやって」

そう言って取り出したのは無茶苦茶臭いチーズと青黴と白黴のチーズの切れ端だ。


マッコリとファニはそれぞれのチーズを食べた。そして細胞レベルの分裂体を作り発酵させてないチーズの中に入っていく。そこからは時間経過が必要となるためレナは魔道書エロ本お読み直すことにした。


時間にして30分後未だ読書に夢中なレナをファニが突き触手で臭いチーズを頼んだ塩漬けのチーズを突き丸印を出した。


「コレもうできたの?」

と疑問の声を上げながらチーズを切って食べていく、するとあの臭くて食べづらかったチーズが臭さがまるでなくなり、そのクセのある味だけが残った。コレならば、誰でも食べれる万人向けのチーズだ。


続いてマッコリの方も塩漬けの方はできたらしい。レナがチーズを切って食べてみると此方はファニと違い臭いチーズの味ではなくどちらかというと全くクセのない味でチェダーに近い味である。そのためサラダに向いていそうだとレナは思った。


更に30分後、今度は青黴と白黴のチーズができたぞとファニが伝えてきた。

見た目もまた同じ様に黴の生えたチーズと同じ柄をしている。レナがチーズを切って食べてみるとその味は実に本物と遜色無い味出逢った。


「ファニ凄い!コレならいろんなチーズを短い時間で作れる!」


とファニを絶賛していた。マッコリも何とか再現しようとしているもの中々上手く出来ない。どうやらマッコリは黴のチーズには再現することが難しい様だ。それを察したレナは


「マッコリ、次は自由に美味しくなる様に作ってみて。」


かなり大雑把な指示だが実はコレが1番良い指示だったりする。マッコリはファニの様に触手を操る技術を持たないため未だに細かい作業をしたことが無い。その為細かい指示を大したりするよりも大雑把な方が今のマッコリには合っているのである。また黴というのは生きている血液には感染しづらくクリムゾンスライムの亜種であるミルクスライムのマッコリには意外と相性が悪い。マッコリの分裂体がチーズに入り込むと先ず分裂体たちは血液環境に近づけられる様にチーズに含まれる凝固作用を抑え始めた。そして次に美味しくしろとの指示があったので生クリームを目指して作ることにした。

そして待つこと30分後、マッコリができたと伝えてきた


「美味しくできたかな?」


と言いながらチーズを切って食べていくとそのチーズの舌触りと言ったらまるでソフトクリームとバターを掛け合わせた様なキメの細かい滑らかさとサッと溶ける口どけの良さを持ち、味はまるで濃厚且つ繊細な花の蜜の様な甘さが合った。


「美味しい!!」


これにはレナも大満足である。


「ファニも自由に作ってみて。」


ファニも自由に作ってみろと言われたのでファニはロレンが好きそうなチーズを作ることにした。ファニはチーズの中に入り込むと先ずはマッコリの時とは逆に凝固作用を活性化させ脂肪酸の最小分子構造の1つであるプロピオン酸を作っていく、更に他の炭素との化合物の割合をいじり始めた。

そして待つこと40分後、ファニはできたのと触手で丸を出して伝えてきた。


「これは硬い。」


なのでチーズを削って食べることにした。

その味は余り美味しくなかった。


「ファニ、コレ美味しく無いよ。」


レナが率直な感想を述べる

するとファニは触手で木の様な模様を連続的に動かしていた。


「えっと炎?」


すると触手が丸に変わり、更にチーズを指して再び炎のマークを作る。


「チーズを焼くの?」


触手が丸に変わる。しかしここで火を使うわけにはいかない。なのでまず母にお願いするためにチーズを籠に入れ家に向かった。


家にて

「このチーズをファニが焼いてほしいって?」


「うん、ファニがそう言ってる。」

そう言ったレナから視線をファニに移す。ファニは先程と同じ様に触手で炎を表現して次にチーズの方を指した。


「うーん、確かにそう言ってるのはわかるのだけれど今日の分の薪は後は夜に使う分しかないし、明日の分を使うにしても最近日差しが少なくて雨が多いから薪を取っておきたいのよ。」


「うーん、それじゃあ火は使えない。チーズが焼けない。どうしよう。」


レナが困っていると母が助け舟を出してきた。

「それじゃあラルちゃんに焼いてもらったらどうかしら。」


それ妙案とばかりにレナは目を見開いて

「うん、そうする。」

と言って外に出て行った。


「ビアンカは村の広場にいると思うから」


と出ていく間際に母が呼んでいたのでレナ達はビアンカとラルを探しに村の広場に向かって行った。


村の広場

「ラル、[閃光花火]して」

ビアンカがラルに指示を出していた


「あいよ、ビアンカ」

返事をしたラルは手のひらからまばゆい閃光をした火花が何層にも散らばり花をかたどっていく。その姿はとても幻想的で美しかった。


「ビアンカちゃん、ラルちゃん凄い綺麗たよ。」

そう呼ぶのはビアンカと同い年の村長の孫娘のミーナである。ミーナの《世界の祝福》は《カモノハシの祝福》である。相棒はハクチョウノハシのスワンヌ、雌だ。


このカモノハシ系のモンスターはクチバシがゴムの様な弾性を持つ他に雄個体には解毒が極めて難しい毒を種類ごとに異なって毒を持っている為、非常に厄介だが雌個体にはその毒の抗源を母乳に含んでいる為、運が良ければ解毒できることの多いモンスターでもある。

尚、スワンヌは雌個体の為毒は持っていない。


他にも村の子供はいるのだが親の手伝いをしていたりして今はいない。


「ビアンカ姉さん見つけた。」


「あら、レナ。チーズの研究をしてないなんて珍しいじゃないどうかしたの?」


するとレナは籠から例のファニの作ったチーズをチーズを取り出して

「コレをラルに焼いてほしい、母さんに一度頼んだけど薪がなくなりそうだからって断られた。」


「そうなんだ。コレはファニとマッコリのどっちが作ったの?」


「ファニ、それでファニが焼いてって言ってるから。」


ファニがもう一度炎を再現したものを触手で作った。


「ねえ、このファニってスライムはレナちゃんの契約しているスライムなの?」

と突然ミーナが口を挟んできた。


「違う。弟のロレンの契約しているスライム。」


ファニが丸印を出す。


「このスライムすごい賢いよ。こんなに賢いスライム育てたってここまで触手を上手に使ってるところ村の契約している人の中じゃ見たことないよ。」

ファニのことを褒めるミーナ


「ファニは特別賢いし、父さんの言ってたことによると前に主人がいた可能性が高いそうよ。」

何故か得意気に言うビアンカ


「そうなんだ。ロレン君とはまだ会ったことがないから会ってみたいな。」

とまあロレンのことが気になり会ってみたいと言ったミーナで会ったがビアンカとレナはバツ悪そうな顔をした。


「ロレンは父さんに訓練をつけてもらってるからなかなか遊びに来れないと思うわよ。」


「そう、あの上の方のお姉ちゃん達が誰一人として投げ出したあの訓練。」


「え、大丈夫それ。」


「大丈夫じゃないわよ。ただでさえ父さんの訓練は辛いのに、ロレンったら意地でもやるって言って。」


「そうなんだ。ロレン君に会って見たかったなぁ。」


ファニがいい加減痺れを切らしたのか触手でレナを突いていた。


「ごめんファニ。ビアンカ、ラルに頼んでこのファニが作ったチーズを美味しくなる様に焼いて。」

とレナがビアンカに再度お願いする。


「ええ良いわよ。ラル、美味しくこんがり焼くわよ。[竈の灯火ほのお]」


「あいさー!」


ラルの手から魔法陣が生み出され程よい焚き火の炎が生み出された。そしてその炎はチーズを包んで少し焼き目作る。するとチーズから美味しそうな甘い香りがしてきたところで火から下ろす。上手に焼けました。


「みんなで食べるわよ!!」


「「「おー!!」」」

ビアンカの音頭と共にレナ達が焼けたチーズを食べていく。こんがり焼けたチーズは発酵食品特有の濃厚且つほのかな酸味を兼ね備えていてそこに香ばしさが加わり苦味渋味が出てチーズの材料である牛乳の甘味と発酵させた際にできたプロピオン酸の旨味が絶妙に混ざり合ったチーズとなった。また、食感が焼くことによって先程の固いものとは異なり表面はカリッと中身は幾層もの空気が混ざり合い非常に軽い食感となっていた。無論、ビアンカ達の感想は


「「「「美味し〜い!!!」」」」


「シュークリームと胡桃を合わせたみたい。!!」

とはミーナが


「カボチャのジャムタルトとドングリクッキーを合わせたみたい!!」

とはレナが


「モンブランみたい!!」

最後にビアンカが各々感想を述べていた。しかしながらおやつの時間の前にこんなに食べて夕飯は食べれるのだろうか。気がつけばもうすぐ3時であった。ビアンカとレナはミーナと別れて家に帰ることにした。


「また、今度遊びましょミーナ。」


「うん、ビアンカちゃん。都合の良い日にロレン君つれていてね。レナちゃんもまた今度ね。」


「うんミーナまた今度。」


と言っておやつを食べに家に帰っていく。全員がチーズを口つけながら。のちに村長の家から牧場のチーズのことが漏れ村中の女性陣の井戸端会議の話題になったという。


〜補足〜

プロピオン酸が発生するチーズはトmとジェrーに出てくる様な穴のあいたチーズとなります。(スイスのエメンタールチーズが有名。)穴があく理由としては、タンパク質を分解する際ににプロピオン酸とある気体を発生させるのです。本編では空気と書きましたがその気体によって層を形成しあのようなチーズの食感に至ったわけです。実際には作れないチーズですがもしかしたら遺伝子組み替えによってできる様になるかもしれないので今後に期待しましょう。

後、マッコリの作ったチーズは特徴的にマスカルポーネチーズをより甘味と酸味強くしあものをイメージして書いたのでもしこの話を聞いてマッコリのチーズを食べてみたくなった方はクリームチーズなどが食感が近い部類なのでそれにレモンの蜂蜜漬けなどを加えたものを元に味を想像していただけると幸いです。尚、フレッシュチーズなどの塩味の無いものに甘味を足してデザートにする食べ方があるのでそれを参考にしました。(マスカルポーネは一応食べたことはある)






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