昼食、母の授業 二限目 マライア王国史
昼食はポークソテーと茄子とピーマンの炒め物、朝の残りの胡桃入りのパンだった。ポークソテーには塩胡椒、茄子とピーマンの炒め物にはトマトソースがかかっていた。
尚、茄子は皮と身は別で炒められており歯ごたえの違いを楽しめるように工夫されていた。まあ、ビアンカ姉さんの嫌いな野菜のオンパレードだった。だが、そこは母の知恵。野菜にはきちんと下味がついており、匂いも酒と香辛料で消してあった。
しかし、嫌いな物は食べたく無いのはしょうがないこと。
「うへぇ野菜食べたく無い。」
「そんなこと言わないのビアンカ。ほら、お父さんを見てみなさい。」
と言って父を見るビアンカ
「今年の茄子とピーマンは出来がいいな。」
と言って美味しそうに食べていた。
「あれは父さんが好きなだけでしょ。」
「だったらレナとロレンの方も見てみなさい。」
レナとロレンは茄子とピーマンをトマトソースによく絡ませてポークソテーと一緒に食べていた。これには文句を言えなかったのかビアンカは
「ううう食べればいいんでしょ‼︎」
と苦悶の表情を浮かべながら嫌そうに食べていた。
ビアンカが野菜を食べている最中。父はふと思い出したように
「そういえばロレンに訓練をつけることにしたんだわ。偶にロレンが動けなくなるかも知れないからそん時はロレンの訓練は無しな。」
と母に言った
「え、そこまでロレンに訓練を施すのあなた、ロレンはまだ小さいしそこまで訓練を施す必要はないと思うのだけど。上の子達だって8歳から始めてすぐやめちゃったじゃないロレンが持つとは思えないわ。」
母はロレンの訓練を止めようとしていた。
「私もそう思うわ。ロレンはもっと村の友達と遊んだ方がいいもん。」
とはビアンカの弁
「違うロレンは私と一緒にチーズの研究をする‼︎」
とはブラコン全開のレナの弁
「みんなの言いたいことはわかる。だがなロレンがスライムの主人の中で最強を目指す以上、元々のハンディキャップは大きい。だからこそ今やるべきなんだ。兄貴と俺もこの頃はから修行していたしな。」
「僕もファニとドラゴンを倒すくらい強くなりたい!」
「ロレンがそこまで言うのなら止めないけどお父さんの訓練は厳しいから。途中で投げ出してもいいからね。」
「絶対投げ出さないもん。」
「父さんの訓練が嫌になったら私と一緒に遊ぼうね。」
「絶対投げ出さないもん!!」
「父さんの訓練が嫌になったら私と一緒にチーズを作ろうね。」
「ぜっったあーーーーいぃ投げ出さないもん!!」
とまあからかわれる可愛らしく涙目で怒っているロレンそれをファニが触手で頭を撫でて慰めていた。
「こら!レナ、ビアンカロレンをいじめないの。ロレンに謝って。」
「ごめんねロレン」
「ごめんロレン」
「ぜったいなげださないゔぉん」
すごく泣いているロレン
「ほらロレン泣かないの男の子でしょ。」
「ないべなんふぁないゔぉん」
「ロレンお母さんとお姉ちゃん達が悪かったね。よしよしロレンは出来る子だから投げ出さないよね。」
とは子を慰める母の愛
「ロレン元気出せ。ほら父さんが母さんの授業終わったら訓練つけてやるから。」
「ゔん、ひっく」
〜
ここで突然だがロレンが泣きだした。事に疑問を持つ方もいると思うので説明しよう。
ロレンはファニと結んだパスによって確かに賢くはなったがあくまでも賢くなっただけであり感情のコントロールは年相応のままである。
これに関しては賢くなる=知識が増えるであり感情のコントロールは経験が必要となる為である。以上説明終わり
〜
とまあ一悶着あったが昼食は終わった。
さてこれから母の午後の授業だ。
「じゃあこれから授業するわね。」
「「「はーい」」」
「これから、私達が今住んでいる国マライア王国の歴史に関する授業を始めます。まず、この国を建国した人はハピネス・ローズ・マライアという女王よ。彼女は《神の祝福》を授かっていたと言われていて確か
「ねえ母さん昨日言った貴族と平民の差別って憲法を守ってないんじゃない。」
とはビアンカの弁
「ええそうなんだけど初代国王が亡くなった後に起きたことが原因で貴族達が勝手な解釈をしてしまったの憲法について終わってから言うからちょっと待ってね。」
「はーい」
「じゃあ2つ目は貴族と平民に関する憲法ね。最初に憲法書の方を言ってから感想を聞くからちゃんと聞いてね。天より与えられし偉大なる祝福を持つ者、此れ文明を創りし祝福を持つ者、生きとし生ける者を災いから護る祝福を持つ者護りけり。はいこれで終わり、じゃあロレンから聞くわよ」
「ええと偉大なる祝福って貴族達が持ってる《神の祝福》かな。でも文明を作りし祝福は解るけど、生きとし生ける者を災いから護る祝福を持つ者は解らないかな。」
「うん、宜しい。では次はレナ。」
「わたしは偉大なる祝福って貴族達が持ってる《神の祝福》は同じで文明を作りし祝福は《ゴーレムの祝福》とか《炎精霊の祝福》とかの物作りに欠かせない祝福だと思う。生きとし生ける者を災いから護る祝福を持つ者は解らないけど病気から守ってくれる祝福を持つ人だと思う。」
「生きとし生ける者を災いから護る祝福についてどうしてそう思うのか答えてみて。」
「災いから護るというと雷とか天候が真っ先に思い浮かんだけど、それだと偉大なる祝福でも指される《神の祝福》と被るだから。次に思い浮かんだのは病気、病気を治す神もいるけど守れるのはいないから。」
「ありがとうレナ、それでいいわ。最後にビアンカ。」
「私はそこまで考えなかったわ。私が思うに偉大なる祝福って言うのは所謂戦う為の祝福って事でしょう。だから別に神とかドラゴンの祝福である必要は無いし、後から言ってる護るべき祝福を持つ者は、神とかでもいいんじゃないかなって思った。」
「ビアンカらしい感想ね。今言った感想に関しては正解は無いのだけれど答えも解ってないわ。王都の学者の人達はレナの言った説が有力だけどレナの言った通り災いから護る祝福については解っていないわ。それでビアンカの言った感想だけどそれは主に貴族達の考えだよ。」
「どうして解らないの?テーテュースって女神様に聞けば解るんじゃ無いの?」
とはロレンの質問である。
「それはね。女神様は初代国王が亡くなった時に姿を消してしまったの。だから謎のままなの解った?」
「うん解った‼︎」
「最後に教育に関する憲法ね。民草の宝たる子は腐らせるべからず、また子望むべき愛ある正道を親阻むべからず。これは単純に国民の子供の才能を腐らせれることと子供が進むべき道が正しい道なら親が望まない道だったとしてもそれを止めてはいけないって言うことよ。」
「ええと私がロレンと結婚したいと思ったら。母さん達は止めちゃいけないってこと?」
とはブラコン姉のレナの弁
「まあ、間違っては無いけどロレンの同意がないと結婚はできないわよ。」
すると一気に肉食獣の目をし始めたレナ
「ロレン、結婚してください。」
まあなんということでしょう、あのおとなしい6歳の女の子がまるで行き遅れの婚活真っ最中の女性のようになったではありませんか。
「うぅぅ、怖いよ」
この
ギュイーーン(ビーム的な音)
しかし、それを許さんとする者がいた。
「レナ、ロレンが怖がってるでしょ。(おいコラァちゃんと同意の上でと言ったよな。)」
そう奴だ‼︎
「ロレンが大好きなのは解るけどそれは大人になってからね。(まだケツの青い小娘が結婚なんぞ十年早い。)」
一限目を思い出して欲しいこの世界の男女比が1:3だった。つまり男の方が貴重という意味合いもあり、母親は男の子を婿には出さないというような娘を嫁に出したくない父親的心情が義理とはいえ息子であるロレンに反応した結果が母に現れたのである。義理の娘とはいえ容赦ない。
「はい母さん、ロレンごめんなさい。」
流石に上下関係を理解した肉食獣はあっさり負ける。それと同時に母の般若も消えた。
「じゃあマライア王国の初代国王が亡くなった。あとのことについて話していくわよ。さっきも説明したけどハピネス女王陛下が亡くなってからその相棒であるテーテュース様も姿を消したわ。その後についた国王が《神の祝福》ではなくて《水精霊の祝福》でね。ハピネス女王の臣下つまり下の人ね。その臣下だった人達からの信頼が薄くなってしまって王族の権力が落ちたのそれで貴族達が力をつけて上位の祝福を持つ人たちが優れているという風潮になったの。それが今の貴族と平民の差別化に繋がるのよ。」
「どうしてそんなに長く続いてるの?」
ロレンの質問
「勿論、考えが変わったこともあったわ。けどね、度重なる他国との戦争があって上位の祝福を持つ貴族達による守護があってこの国が成り立っているような状況が続いてるの。だから、差別化も無くならなかったの。」
「じゃあ、どのくらい戦争があったの。」
ビアンカの質問
「大きな戦争は5回あってそれぞれ10年以上続いていたわ。」
「へえーそんなにあったんだ。」
「まあ5回とも別の国で1つは考え方の違いによるものね。そんなこんなで、貴族と平民の差別化は続いたの。けどね、王国憲法は貴族達でも改正できないの。その理由は初代国王が相棒であるテーテュース様と神々の契約を結んだことでこの国がある限りこの憲法は絶対的なものになった。だから、もしビアンカ達が貴族に平民如きがって言われても王国裁判にかければ貴族が悪いことになるわ。神々の契約は王族の神の認めた人物でしか結べないし、それが《神の祝福》を持つ者とは限らないの。」
「どうやったら認められるの?」
レナの質問
「それは母さんにもわからないから答えられないわ。そろそろ授業は終わるから、おやつの時間になるまで遊んで来なさい。あっあとロレン、お父さんは水牛のところにいるわよ。」
「ロレン、ファニは今預かる。」
そう母とレナが言ったのでロレンはファニをレナに預け水牛のところに向かうことにした。
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